2024年:補聴器メーカー各社の特徴と評判、上位6社を徹底比較
補聴器は、メーカーによって個性があり全然違います。
補聴器は、メーカーによって特徴があり全然違います。
世界的に人気の補聴器メーカーは全部で6社あります。 *
当店では6社すべての補聴器を取り扱っていますが、メーカーによって聞こえ方や特徴が異なります。
特に一部の難聴の方は、メーカーによる音質との”相性”が、聞こえに大きく影響します。
この記事ではカタログには書かれていない、補聴器メーカーの特徴、お客様に試聴していただいた結果、補聴器技能者たちの評判などをご紹介します。
補聴器の人気メーカーの比較と特徴
補聴器は一人ひとりの聴力を測定して、耳の状態に合わせて音質を調整するものです。しかしメーカーごとに調整で変えられない特徴があります。本記事では調整で変えられない特徴や評判を比較していきます。
多くの補聴器メーカーは、製品ブランド名と会社名が異なります。
本記事では、ブランド名を表記しています。なおカッコ内には国内の販売代理店ではなく、製品開発元の社名を記載しました。
・オーティコン(デマント)
・シグニア(WSオーディオロジー)
・スターキー(スターキー)
・フォナック(ソノヴァ)
・リサウンド(GNヒアリング)
・ワイデックス(WSオーディオロジー)
※ブランド名順、()内は社名
オーティコン
オーティコンは、北欧のデンマーク王国に本社を置く補聴器メーカー「デマント社」が展開する補聴器ブランドです。
オーティコンの補聴器は「Brain Hearing(脳で聴く)」をコンセプトに開発されています。デマント社は、耳だけでなく脳についても独自に研究を行い、その結果を活かして補聴器を開発しています。
2016年に発売されたOpn(オープン)シリーズから、他社とはまったく異なった“言葉と背景雑音を自然に分けるオープンサウンドナビゲーター”というテクノロジーを搭載。2021年には世界で初めて補聴器専用の“AI雑音抑制”機能を開発しました。
2024年6月発売の最新シリーズIntent(インテント)は、これらの特徴をさらに強化・改善したモデルになっています。
オーティコン補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判
オーティコン補聴器を含めて、いくつかの補聴器の試聴サービスを実施している補聴器専門家の評判を紹介します。
「スーパーの中などのにぎやかな場所で、横や後ろから声をかけられても言葉の聞き取りを助ける機能はオーティコンだけの特徴だと思います」
「自分(認定補聴器技能者)で試聴してみましたが、まわりの様々な音に対して、方向感や立体感が感じられました」
「とても自然に聞こえる」
オーティコンは、こういった感想をいただくことが多いです。
一般的な補聴器だと、言葉以外の雑音はすべて抑えるように機能するのですが、オーティコンの補聴器を使ったあるお客様からいただいた、「後ろから近づいてくる自転車の音がしっかり聞こえ、危うくぶつかりそうになるところを避けられた」というお話が印象的でした。
皆さん、それぞれ色々な表現をされますが、実際に使った方の評判をまとめると、次の二つになります。
○ まわりの音が360度、色々な方向から立体感をもって聴こえる
○ 騒がしい場所で人と話すときには、騒音が小さくなって、人の声が際立って感じられる
オーティコン補聴器の特徴
一般的に音を聞くのは耳だと思われていますが、実際に音を感じ、理解・分析しているのは脳です。オーティコンは、音を聴いているときの脳の働きを調べ、脳がどのように音を処理しているのか、その原理を研究しています。
脳を研究した結果、オーティコンは他社にない独自機能の開発に成功しました。
2016年に発売されたOpnシリーズから、研究結果を活かした補聴器になっています。
Opnには他社とはまったく異なった、”言葉と周りの雑音を自然に分けるオープンサウンドナビゲーター”というテクノロジーが搭載されました。
これ以前の補聴器は、どのメーカーも”多少は不自然さがあっても、雑音の中で言葉の聞き取りを助ける機能” を開発していました。
オーティコンのテクノロジーには様々なメリットがあるのですが、人の話を長時間聴いていても負担が少なく疲れにくいこと、雑音がある場所でも音の方向感覚が分かりやすいことが特徴です。
オーティコンの最新補聴器「インテント」
2024年に発売された最新シリーズ「インテント」では、Opnのテクノロジーがさらに進化。補聴器内部のコンピュータ・チップが新しいものに変わり、強力なAI雑音抑制機能が搭載されました。非常に騒がしい場所を含めた様々な場面で、自然な聞こえと言葉の聞き取りが両立できるようになりました。
Opn以降のオーティコン補聴器は、騒がしい場所で人と話すときには、人の声を補聴器が検知し、声以外の雑音を小さく抑えることで、相手の声を聞きやすくします。
同様のPRはメーカー各社が行っていますが、オーティコンの補聴器は、この機能が360度の全方向に対して働くのが特徴です。
自然な聞こえを好む方には、オーティコン補聴器の最新モデル「インテント」がおすすめです。
なお、他社と比べた場合のデメリットとして、周りの雑音が一定以上に大きく、健聴者でも聞き取りが難しい場面では、他社の雑音抑制技術の方が優れている可能性があります。もしくは学校の先生の声を生徒が聞くように、距離が3m以上離れているような場面では、それを得意としている器種を選んだ方がいいでしょう。
・周りの音が自然に聞こえる中で、人の声をよく聞き取れる。
・聞こえてくる音の方向感覚がつかみやすい。
・脳科学の知見を最も早く補聴器開発に取り入れたメーカー。
シグニア
以前はシーメンスという名前だった補聴器メーカーです。
現在は製品ブランド名がシグニア、開発元となる本社はWS Audiology社、日本法人の社名はシバントス社になっています。
後述するワイデックスは関連会社なのですが、製品の特徴はまったく異なります。
シグニア補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判
シグニアの補聴器は、補聴器を使っていない、買ったけど使わなくなった方の声を聞いて開発されてきた歴史があります。
たとえば補聴器を買ったけど使っていない方の不満というのは、次のようなものがあります。
・洗い物をしているときに、食器同士がぶつかる音が気になる。これじゃ、普段から着けているなんてできない。
・レストランや居酒屋のような騒がしい場所でも会話がしたいのに、そこで聞こえづらいんじゃ補聴器を買う意味がない!
・補聴器を耳に着けた時の自分の声に違和感があって、人と話すのがイヤになった。
・真正面の声は分かるけど、横や後ろから声をかけられた時に分からない。
これらの補聴器に対する悪い評判は、世界各国で実施されたアンケートで集まった補聴器ユーザーの声の一部です。シグニアの補聴器は、こういったお客様の声に合わせて機能を開発してきた歴史があります。
シグニア補聴器を数多くのお客様に提案している補聴器専門家の間では
「ミドル価格帯の雑音抑制のパフォーマンスが良い。」
「お客様のよくあるご要望に対しては、補聴器の機能と調整を適切に行えば、およそ応えることが出来るので、調整しがいがある」
「騒がしい場所で補聴器を使うアクティブな方に、安心しておすすめできる」
という評判が多いです。
補聴器の雑音を心配している方、補聴器を使っていて快適性を求める方には、おすすめの補聴器メーカーです。
おすすめの補聴器はコレ!
シグニア補聴器の特徴
シグニアの補聴器は「言葉以外の音は聞こえない方が良い」「できるだけ快適に使いたい」「あまり大きな音は聞きたくない」という方におすすめです。
シグニアが得意とする雑音と言葉の分離機能は、2015年に発売されたBinaxシリーズ以降、とても強力なものになっています。この機能は、極めてうるさい場所にいるときは、顔を向けた方向の声だけを拾うというものです。横や後ろ、斜め前からの音だけでなく、言葉であっても強力にカットします。
他の補聴器メーカーと比べて、不自然さが出る可能性があるものの、より大きな雑音に対応できる仕組みです。
実際にシグニアの補聴器を使った方を対象に、にぎやかな居酒屋での聞き取りを調査した結果、軽度難聴者に限れば、なんと”耳のいい人を超えて言葉が分かった”という報告*もあります。
この他、シグニアの補聴器は、着け心地にもこだわりがあります。補聴器を使うと、自分で自分の声も変化して聞こえることは一般的です。これに唯一対策しているのがシグニアです。自分の声を録音して、自分の声だけ増幅しないOVP機能が搭載されています。
*参考:シーメンスホワイトペーパー「最新指向性技術の補聴器vs健聴者の聞こえ」
シグニア補聴器の最新シリーズ「IX」の特徴と評判
2023年に発売された「Signia IXシリーズ」では、騒音下での言葉の聞き取りを助ける2種類のロックオン機能が初めて搭載されました。
1つ目の「ワードロックオン機能」は、たとえばサトウさん、カトウさんなどの似た単語が登場したとき、もしくは7時と1時(シチジとイチジ)という似た単語が会話の最初に登場したときの聞き取りを改善してくれます。
2つ目の「スピーチロックオン機能」は、実際の会話で行われる距離2mまでの声をマイクが自動で追いかけてくれる機能です。旧来の補聴器は顔の真正面の声のみ集中的に拾おうとしていましたが、スピーチロックオンでは、最大5人の声にフォーカスすることができるようになり、複数人での会話の聞き取りが改善されました。
また旧シリーズ「AX」では、充電式のオーダーメイド耳あな型補聴器も発売しています。こちらは電池を交換する手間がなく、取り扱いがとても簡単です。
・補聴器を使うことによる疲れやうるささが少ない。
・雑音のある場所では(少し不自然でも)雑音をとても強力にカット。
・補聴器の初心者・軽度難聴の方におすすめ。
スターキー
スターキー社は、昔からオーダーメイドの耳あな型補聴器を得意としているアメリカの補聴器メーカーです。元アメリカ大統領のロナルド・レーガン氏が、在任中にスターキー社の補聴器を使っていることを公表したことで、一躍有名になりました。
世界最小で外からまったく見えないオーダーメイド耳あな型補聴器や、充電式のオーダーメイド耳あな型補聴器などを世界で最初に開発しています。
スターキー補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判
スターキー補聴器についての評判は、オーダーメイドの耳あな型補聴器に偏っています。
「耳の穴が小さなお客様から“目立たない補聴器しか着けたくない”とご要望いただいたときは、必ずスターキーのIICサイズを提案しています。耳の穴の形によりますが、極小サイズのIIC補聴器は、スターキーが一番小さく作れると思っています」
「取り扱いが簡単な補聴器が必要な高齢のお客様には、オーダーメイドの充電式耳あな型補聴器を最初にご提案しています。誤解されがちですが、耳かけ型の補聴器よりも簡単だと思います。最近はマスクを使う方が多いので、スターキーを提案することが増えています」
「音楽好きのお客様には、補聴器のメーカーによる音質の聞き比べをおすすめしていますが、ジャズとロックがお好きな方には、特にスターキーをおすすめしています」
スターキーの補聴器は、まだあまり日本で普及していないのですが、それでも取り扱っている補聴器技能者の方からは、こだわったコメントをたくさんいただきました。
スターキー補聴器には、自立心に溢れ、ジャズやロックが好きな方にファンが多いようです。
スターキー補聴器の特徴
スターキーは耳の型に合わせて作るオーダーメイド耳あな型補聴器を得意としています。自信の表れか、アメリカにあるスターキー社の直営店では、ほぼオーダーメイド耳あな型しか販売していないそうです。
その中でも小さく目立たない補聴器が得意で、当社で開催する「耳あな型補聴器のメーカー比較大会」において、見た目の小ささの部門では、スターキー社が毎回1位です。
2020年には、世界で初めて充電式のオーダーメイド耳あな型補聴器「Livio」を発売しました。その後、数年は充電タイプのオーダーメイド耳あな型補聴器が他社から発売されなかったため、充電タイプの耳あな型補聴器をお求めのお客様は必ずスターキーを選ぶ、という状況が続きました。
最新の充電式オーダーメイド耳あな型補聴器「Genesis AI(ジェネシス エーアイ)」
2024年に、最新シリーズ「Genesis AI」が発売されました。補聴器の内部に複数のセンサーと、高性能のコンピューターが搭載されています。
内蔵のセンサーは、聞こえだけでなく健康と安全に役立つ仕組みになっています。
スターキーの補聴器は、全メーカーで唯一、転倒検出防止機能が搭載されています。
補聴器を使っている時に、万一転倒すると内部のセンサーがそれをキャッチ。事前に登録されたご家族へ、スマホ経由でGPS情報と合わせて緊急連絡を発信してくれるのです。
補聴器を使うご本人が高齢であれば、ご家族にとって安心いただける機能です。
Genesis AIでは、充電式だけでなく、超小型の耳あな型補聴器や、スマホとBluetooth接続できる小型の補聴器など、10種類もの形状が同時に発売されました。これまで以上に、たくさんの選択肢の中から、自分に合った補聴器が見つけやすくなっています。
・世界で一番小さな耳あな型補聴器を開発している。耳あな型補聴器のメーカー比較(当社開催イベント)で、見た目の小ささの部門で1位。
・充電式のオーダーメイド耳あな型は、取り扱いしやすくマスクの邪魔にならないので人気。
フォナック
フォナックは現在、世界シェア1位の補聴器メーカーです。
世界シェア1位ですから、どんな難聴の方にも対応できるよう商品開発を行っています。様々な補聴器を開発しており商品ラインナップが豊富で、フォナックの補聴器には数多くの機能が搭載されています。フォナックの補聴器を選んでおけば、器種選びの大きな間違いはないでしょう。
関連会社にユニトロンという補聴器メーカーがあります。こちらはフォナックブランドで最新モデルが発売された後、しばらくしてから似た製品がユニトロンブランドで発売されています。
フォナック補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判
「(先天性難聴の学生さんなど)大学で講義を受けているお客様には、遠くの小さい音の増幅が得意なフォナック補聴器を提案することが多いです。先生の言ってることがわかるように」
「お仕事が現役の方でビデオ会議が多い方には、フォナックをおすすめすることが多いです。中継器などの余分な装置を使わずに、パソコンと補聴器のBluetooth接続を一番最初に実現したのがフォナックだと思います。スマホだけなら昔から他社でもありますし、パソコンとの接続も今なら他社補聴器にもあるかも知れません。しかし仕事用の道具ですから、ビデオ会議中に上手く動かないとお客様を困らせてしまいます。一番実績があるフォナックを信頼しておすすめしています。」
「補聴器の機能や特徴は、こだわり始めれば色々な要素、たとえば言葉の聞こえ、雑音の抑制、サイズと見た目、値段などがあります。絶対にゆずれないピンポイントなご要望がお客様にあれば、それに合わせて提案しますが、実際にはいくつかの要素でバランスを取ることになります。そうすると色々と試聴しても最終的にフォナックになることが多いです」
フォナック補聴器の特徴
フォナックは世界シェア1位の補聴器メーカーですから、商品ラインナップが豊富です。さまざまな補聴器を開発しており、どんな難聴の方にも合う補聴器があります。
●歴史的に小児の難聴、先天性難聴が得意
歴史的にフォナック補聴器は、先天性難聴のお子様が、学校の授業で先生の声がはっきり聞こえることを目指し開発されてきました。
通常の教室の中で、先生のいる位置から教室の後ろの席まで、およそ5メートルほど離れています。昔からフォナックは授業中という静かな環境の中、5メートルの距離で聞き取れることを目標にしていたようです。
先天性の難聴のお子様に特化した補聴器(スカイシリーズ)があり、お子様用の小さいサイズの補聴器、間違った操作をしないためのチャイルドロック、子供が好む様々な補聴器カラーをラインナップしています。
フォナックは補聴器本体とは別に”ロジャー”という無線マイクシステムを開発しています。これは補聴器と組み合わせて、遠く離れた人の声でも耳元で話してくれているように、とてもハッキリ聞き取れる道具です。このロジャーを使いたい方や高度以上の難聴の方には、フォナックのファンが多いです。
●ビデオ会議におすすめ
2021年に発売された「フォナック パラダイス」シリーズ以降、パソコンとステレオのイヤホンマイクとしてBluetooth接続ができます。これは他社にない世界で唯一の特徴です。コロナ流行以降、多くの人がテレワークで働いていますが、テレワークのビデオ会議には、フォナック補聴器のBluetooth接続が特におすすめです。
※他の補聴器メーカーにも、Bluetooth通信に対応した補聴器は様々ありますが、それぞれ少しずつ機能が異なっています。
もちろんビデオ会議だけでなく、音楽やYouTube、Netflixなどの動画を楽しむときにも、フォナック補聴器のBluetooth接続機能は役に立ちます。
●色々なバランスを考えるとフォナックを選ぶことがある。
これまで私たちは多くのお客様に、補聴器メーカー各社の音の聞き比べサービスを提供してきました。聞き比べた結果、一長一短があった時、皆さん何を優先するかで悩まれます。
たとえば耳あな型補聴器を最小サイズで作ろうとした時、フォナックはスターキーほど小さくは作れないことが多いです。
雑音を抑制する機能では、やはりこれを得意とするシグニアと比べると(同じ価格帯では)少しだけ劣ることがあります。軽い難聴の方にとっての聞こえの自然さでは、オーティコンの音質が好まれるケースもあります。
しかし補聴器の小ささや着け心地、雑音の少なさ、離れた距離での聞き取りなど、様々な面を考慮して、同じ価格で比べた結果、最後にフォナックを選ぶ、というケースが比較的多いです。
様々な機能が必要な方、もしくは自分に必要な機能がまだ分からない方にとって、フォナックは堅実な選択と言えるでしょう。
補聴器経験者にとって、自分に必要な機能が絞り込めているなら他のメーカーが合っているケースもあります。
●その他のフォナック製品や機能の特徴
他社にあまりない製品や機能としては、下記のものがあります。
・世界で唯一、チタン製の極小耳あな型が作れる。
チタン素材の特性として、人体への影響が極めて小さく、皮膚のアレルギーや汗をかいた後のかゆみが気になる方にもおすすめです。
チタンの鈍い輝きはとてもクールです。
・非常に騒がしい中でのことばを聞き取る
フォナック製品の上位モデルには、雑音下で声を聞き取りやすくする両耳間通信指向性マイクを搭載しているものもあります。この機能は騒音の中でも聞きたい声が聞き取れるよう、顔を向けたごく狭い範囲の音だけを選んで拾い上げてくれます。
フォナックの最新補聴器「ルミティ」シリーズ
2022年に発売された「フォナック ルミティ」は、活発に活動する人々のため、周りの環境の変化に合わせて、聞こえ型が最適化されるように進化しています。
ルミティシリーズから、マイクの指向性を話し声の方向へ自動的に調節する「スピーチエンハンサー」が搭載されました。これにより従来の器種と比べて、雑音の中で横や後ろから会話を聞く機能が向上しました。
ルミティシリーズからは、スタイリッシュな形状の「スリム」、水や汗に強い「ライフ」といった形状が増え、補聴器を使う環境にマッチするものを選ぶ事ができるようになりました。
フォナック補聴器の値段と機能の関係
世界シェア1位で、さまざまなテクノロジーが搭載されているフォナックの補聴器ですが、唯一のデメリットは値段です。フォナックの補聴器は、最高級モデルと上から2番目のモデルには、非常に多くの機能が搭載されています。これらがご予算内であれば、おすすめのメーカーです。
上から3番目以下のモデルになると、搭載機能を減らす傾向があります。ご予算によっては、慎重に他メーカーと比較していただくことがおすすめです。
・シェア1位だけあって、機能面は充実。ほとんどのニーズに対応可能。
・補聴器のお店選びで迷ったらフォナック取り扱い店を選ぶのが堅実です。
リサウンド
リサウンドは「GNヒアリング社」が開発・販売している補聴器ブランドです。
リサウンドは他社にない特殊な機能を開発することが得意です。iPhoneと連携する補聴器アプリや、耳の穴の形状をレーザーで3Dスキャンするテクノロジーなど、他社があまり取り組まない分野に挑戦してきました。その結果、業界初となる技術を生み出しています。彼らが開発した機能が、あとから他社に取り入れられ、業界のスタンダードになっているケースは少なくありません。
リサウンド補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判、「音質」が高評価
リサウンド補聴器の音質は、特定の方にフィットする傾向があるようです。
「音の加工が少ないようで、自分で聞いてみても自然に感じます」
「伝音性難聴もしくは混合性難聴の方に試聴していただくと、ご満足いただけることが多いと思う」
「最近の補聴器は、最大音量の制限を強くかける器種が増えていますが、リサウンドの補聴器は、しっかり大きくする調整がしやすい」
と評判です。
リサウンドの補聴器は、特定の方向けに音質や機能に特徴があり、一部の難聴の方には、特に上手く適合することがあります。その難聴は、中耳炎の経験や、治療後も残る後遺症などによって発生する伝音性難聴です。また伝音性難聴の方が高齢化した場合に起こる混合性難聴の方も、リサウンドの補聴器が適合することが多いです。
近年、ほとんどの補聴器は、加齢性難聴の方の聞こえを改善させるため、様々な機能が開発されています。これらの機能は伝音性難聴の場合、マイナスに働くケースがまれにあります。リサウンドの補聴器は、調整によって余分な機能を停止させられることから、正しく調整すると伝音性難聴の方に好まれます。
リサウンド補聴器の特徴
●世界初、専用の装置で作る「オーダーメイド耳あな型」
リサウンドのオーダーメイド補聴器を作るときには、目で見て分かりやすく面白い、Otoscan(オトスキャン)という耳の穴の形状を測定する装置に特徴があります。
Otoscanは、耳の穴の形状をレーザーで3D撮影する装置です。補聴器メーカーの中で、リサウンドが最初に導入しました。耳の手術を経験した方、耳の穴が曲がっている方、綿棒で耳を掃除した時にぞわぞわ感じてしまう体質の方には、Otoscanによる耳型採取がおすすめです。
●リサウンド補聴器のスマホ連携機能
補聴器とスマホを通信・連携させる機能は一般的になりつつありますが、これはリサウンドが業界初(2014年)でした。2017〜2019年頃までは補聴器と連携できたのはiPhoneだけだったため、高校生くらいの難聴の学生はリサウンドの補聴器を指名して、ご両親にiPhoneをおねだりする、そんな場面もありました。
今ではiPhoneのスマホアプリと補聴器が通信するのは当たり前になりました。近年、Androidスマホに対応した補聴器を最初に発売したのもリサウンドです。音質設定などを自分で変更したい方に、スマホアプリが好評です。
リサウンドの最新補聴器「リサウンド・ネクシア」
2024年現在、リサウンドの最新補聴器はリサウンド・ネクシアです。ネクシアには充電式の耳あな型補聴器モデルがあります。充電器ケースまでオーダーメイドで作られており、取り扱いの簡単さには定評があります。補聴器本体のボタンも大きなデザインになっており、取り扱いの簡単さをお求めの方におすすめです。
聞こえ方の面では、2022年発売のリサウンド・オムニア以降追加された「フロントフォーカス」により、それまでのリサウンドの補聴器よりも騒がしい場所での聞こえが150%改善しています。
・中耳炎の経験者や、耳の手術の経験者には、音質が良いと人気。
・3Dレーザーで作ってもらったオーダーメイドの耳あな型補聴器の着け心地が良い。
・Androidスマホのアプリでも、補聴器を操作出来て便利。
ワイデックス
ワイデックスは、デンマークで創業された補聴器専門のメーカーです。
現在、グローバル本社はシグニアと同じ、WS Audiology社です。WS Audiology社が展開する製品ブランドとして、シグニアとワイデックスがあります。
同じ会社ではありますが、この2ブランドは補聴器の特徴がまったく異なります。
ワイデックス補聴器の試聴サービスを提供している補聴器専門家の評判
「小さい音の増幅が得意で、小さい言葉やボソボソ声の聞き取りが得意」
「他メーカーの補聴器で、言葉の聞き取りに満足できなかった、補聴器経験者の方から人気」
「ワイデックスを使っている人は、なぜかずっとワイデックスを使う」
補聴器は本来、聴力に合わせて音を加工する装置ですが、音の加工は微かな音質の劣化を招きます。その点ワイデックスの補聴器は、音質が劣化しないことに強いこだわりを持っています。
その音質へのこだわりから、カタログを読んでも他社のような分かりやすい機能はありませんが、ワイデックスの音質には根強いファンがいます。
実際、ワイデックスの音質を気に入って満足される方は、補聴器の初心者よりも経験者の方が多いです。他メーカーの音質を経験した方が、ワイデックスに買い替えることは多くありますが、ワイデックスの音質に満足していた方が、他のメーカーに買い替えるケースは多くありません。
ワイデックス補聴器の特徴
ワイデックス補聴器の特徴は、小さな音に対する感度が強いこと。そして音の加工による音質劣化を防ぐこだわり。この2点です。
全てのワイデックス補聴器には、一円玉が布団の上に落ちた音さえ拾うマイクが搭載されています。もちろん実際に一円玉の音は聞こえなくても良いのですが、この性能が役立つ場面は、会議・会合など、距離5メートル以上離れた場所での会話です。
ワイデックスの補聴器は、会議・会合など、静かな場所で遠くの声の聞こえを改善したい方には、特におすすめしています。
ワイデックスの最新補聴器SmartRIC
ワイデックス補聴器の特徴である「音質を劣化させず、不自然さを感じさせない」というこだわりが、さらに強く出ているモデルがSmartRICです。
SmartRICは、他社にない「ゼロディレイ テクノロジー」を搭載しています。
通常の補聴器は、マイクに音が入り、その音声信号が内部にあるコンピュータで処理され、スピーカーから音が出る構造になっています。この一連の処理に、どうしてもミリ秒単位で音が遅れてしまっていました。
「ゼロディレイ テクノロジー」では、この音の遅れ(ディレイ)を1ミリ秒以下に抑えることに成功し、ますます音質に磨きがかかっています。
2024年に登場したSmartRICは、耳に装着した時に安定感がある形状になるのと合わせて、マイクの位置・角度が改善され、より顔を向けている正面方向の音をさらに正確に拾いやすくなり、これによって騒がしい場面における正面の人との会話がより聞き取りやすくなりました。
・授業・会議・会合での聞こえを良くしたい方に人気!
・すでに補聴器を使っていて、買い替えの際には試聴してみる価値あり!
メーカーごとに特徴のある補聴器
この記事に書いた補聴器メーカーを比較した特徴は、メーカーのカタログにはまったく載っていません。
メーカーの公式サイトを見ても、以下のようなことはわかりにくいと思います。
・遠くまでの言葉の明瞭度を優先しているか、言葉は近くだけでも日々の快適性を優先しているか。
・補聴器が故障する可能性について、耐水性に優れているか、それとも汗にも強く作られているか。
・補聴器を着けた時、どの機種がどれくらい目立つのか、逆に目立たないのか。
・テレビのセリフをハッキリさせたい、会議でしっかり聞きたい、電話の言葉を分かりやすく等、特定の場面に適しているか。
・メーカーごとに耳せんの形状は異なるが、それぞれどんな耳の形に適合するのか。
評判の良い補聴器メーカーは結局どこ?補聴器ユーザーの評判がネット上に少ない理由
補聴器を初めて使う方から「どんな補聴器メーカーが人気なの?」「実際に使った人からの評判が良いメーカーはどこ?」というご質問をよくいただきます。
しかしここまでの記事でご紹介した通り、補聴器はメーカーによってそれぞれ特徴があり、それによって得意な聴力や環境があります。
逆に言えば、聴力や使う環境によっては合わないことがあります。
補聴器は医療機器なので、薬みたいなものとお考えいただくと分かりやすいと思います。
血圧の薬だけでも種類があるでしょうし、適量は人によって変わります。
血糖値や腎臓の数値やそのほかの持病によっては、一緒に使うと副作用が出てしまう組み合わせもありえます。
耳の状態と補聴器メーカーの組み合わせはとても重要なので「どのメーカーの評判が良い」と簡単には言えないのです。
実際に、ある補聴器ユーザーにとってはベストな器種でも、別の人にとってはまったく合わないということがあります。
過去、一部の企業が過度なPRで誤解させてしまった歴史的な経緯などもあり、現在では誤解を招かないために、日本補聴器販売店協会の広告ガイドラインでは「ユーザーの具体的な症例や評判の良さを用いたPRは禁止」とされています。
補聴器を選ぶときには評判の良さではなく、自分の耳に合うか、自分が使う環境に合うか。そういったことを基準にしていただければと思います。
実際に売れている補聴器メーカーの世界シェアランキング
自分に合った補聴器を選ぶ際、まったく初めてならランキング上位のメーカーから試していただくことをおすすめします。器種別のランキングというのは、聴力によって自分にはまったく合わない可能性があること、また日進月歩で新機種が登場することから、あまり参考になりません。
少し古いデータ(2019年時点)になりますが、全世界で売れている補聴器メーカー(ブランド)シェアのランキングは下記のとおりです。実際によく売れている補聴器メーカーのうち、ランキング上位のものをいくつか試聴してみることをおすすめします。
補聴器の機能・性能は、どれほど研究開発に投資しているかによって、大きく変わってきます。
研究開発費は、メーカーの企業規模におよそ比例しています。特別なこだわりが無ければ、最初に試聴する補聴器は、大手の評判の良いメーカーの中から選んでいただくのが良いと思います。
- 国内では、世界ランキング上位の6ブランドの他にも、いくつかの補聴器メーカーがあります。
- ☆パナソニック
- ☆リオネット補聴器
- ☆NJH
- ☆コルチトーン補聴器
- ☆マキチエ
- シャープ
- パイオニア
- オムロン
- など
- 日本メーカーの補聴器売上高をすべて合計しても、先にご紹介した人気メーカー1社より小さく、どこも小規模と言わざるを得ません。
- ☆は、日本補聴器工業会に所属する企業。なお前述の補聴器メーカートップ6社も日本補聴器工業会のメンバーです。
補聴器は器種が多いから、無料の試聴体験がおすすめ
当店では、主要な補聴器メーカー6ブランドの全製品を取り扱うことで、カタログだけでは見えてこない、それぞれの特徴を把握しています。
お客様から聞こえのご相談をいただくと、お一人おひとりのご要望をおうかがいし、聴力を測定した上で、おすすめの補聴器を2~3器種ほどご提案しております。
おすすめの補聴器をいくつか試聴していただき、聞こえ具合、使い勝手、ご予算に合ったものをお選びいただくのが、一番ご満足いただけると考えております。
聞こえと補聴器については、何でもご相談ください。
主要補聴器メーカーのほぼ全器種から最適な補聴器をご提案します。
- 補聴器はメーカーだけでなく、形状や価格による違いもあります。
- 購入前に、比較検討することで自分に合った補聴器を選ぶことができます。
- 補聴器の種類、耳あな型・耳掛け型・ポケット型の特徴
- 高い補聴器と安い補聴器、値段の違いとは?
【監修】
補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。