テレビで紹介された補聴器を、もっと詳しく解説します
TOKYO MXテレビ「カンニング竹山のイチバン研究所」にて、当社サービスをご紹介していただきました。この番組は、世の中にはまだまだ知られていないイチバンを紹介しているのですが、プロショップ大塚は「無料の補聴器レンタルで納得と安心イチバン!」として紹介していただきました。
テレビでは時間に限りがあったので、この記事では番組の内容に触れながら、難聴の方の困りごととプロショップ大塚のこだわりサービスを詳しくご紹介していきます。
人生100年時代、いずれはみんな難聴者!?
難聴の原因には、病気やケガなど様々あります。しかし医療が充実している日本の場合、難聴になる原因の多くは加齢つまり老化現象です。
音を聞く力を指す聴力は何歳から低下し始めるのでしょうか。そして会話に困るまでに聴力が低下し、難聴になるのは何歳でしょう?
下のグラフを見てみて下さい。
実は聴力そのものの低下は、30歳ですでに始まると言われています。
これは健康上の問題になるとか、会話に困るというレベルではありません。
例えば、学生のころの100メートル走の記録を維持できないようなものです。普通のことですから、あまり心配いりません。
その後も加齢とともに徐々に聴力は衰えて、平均的には60歳で”ちょっと聞き取りづらいな、困ったな”と感じる人が出てきます。このデータは、コロナの感染流行によってマスク着用が当たり前になるより古いものなので、今ではもう少し早く会話に困ることがあるようです。
70歳に入ると、より多くの人が聞き取りづらくなります。日本人を対象にした大規模調査の結果では、75歳以上で難聴の自覚がある人は約40%という結果※でした。
皆さんご存知の通り、いわゆる団塊世代が生まれたのは1947年から1949年です。2021年現在70歳を超えましたから、聞こえづらい方がどんどん増えています。
同時に、多くの若い方にとっても、聞こえづらい方とコミュニケーションする場面が増えてきています。
※ 参考 http://www.hochouki.com/files/JAPAN_Trak_2018_report.pdf
マスクで言葉がハッキリしない!
近年、聞き取りづらさを感じているのは高齢者だけではありません。
コロナ感染予防のため、マスク着用をしての会話が日常的になりました。
マスク着用やパーテンション越しでの聞こえに関する意識調査では、相手の声が聞き取りづらいと感じた経験がある人は、なんと8割以上!
この調査は、20~70代男女1,000名を対象にしている調査ですから、聞こえに困っているのが高齢者だけでは無いことがよく分かります。
この調査では聞こえにくいと感じた場所についても調べられており、特に聞き取りづらさを感じるのはスーパーやコンビニのレジがもっとも多く、毎日の日常生活のなかで聞こえにくさを感じていることが分かります。
- 補聴器は聞き取りづらさを解消し、楽しく会話できることが目的の道具です。コロナの感染流行でマスク着用が当たり前になり、耳のいい人でも言葉が聞き取りづらい場面が増えています。
- そんな中、補聴器メーカーのスターキーとシグニアは、マスク着用に特化した「マスクモード」をいち早く発表。既存の補聴器を販売店で再調整するだけで、マスク着用した状態での聞こえを改善する音質の提供を始めました。
- ・スターキー 【Made for Mask】マスクモードのご紹介
- ・シグニア マスク越してもで聞きやすい新シリーズSignia Xperience
難聴かも?と気づくタイミング
実は難聴なんじゃないか?と最初に気づくのは、ご本人の場合もありますし、身近なご家族やご友人が先に気づく場合もあります。
基本的に、耳の良い健康な人であっても、聞き取れなかったり、聞き間違えることがあります。
それは、たとえば混んでいるファミレスで会話しようとして、周りのテーブルの音が邪魔になっている時。もしくは静かな場所だとしても、距離が2メートル以上離れた会話。
こういった状況では、耳が良い人であっても聞き間違える可能性があるのですが、聴力が少し低下していると、さらに聞こえにくくなります。
周りの方が気づくようになるのは、もう少し難聴が進行した後というケースが多いようです。
私たち補聴器店への相談であるのは
「テレビのボリュームが大きすぎる。近所まで聞こえてしまう」
「玄関チャイムを押しても(聞こえていなくて)出てこない」
「電話をかけても(呼び出し音が聞こえなくて)出てくれない」
「電話しても(聞こえないから)一方的に話して切ってしまう」
などがあります。
ここまでになると難聴がかなり進行している状態です。早めに補聴器を使っていただくのが良いと思います。
音が小さくなるだけではなく、言葉がハッキリしない
加齢にともなう難聴の場合、まず小さな音が聞こえにくくなります。その後、言葉が聞こえているのに、何を言っているのかハッキリしない、という状態になることがあります。
加齢による難聴の方は、周波数の高い音(キーが高い音)から聞こえにくくなっていくことが特徴です。
日本語の五十音は、a,i,u,e,oという母音と、s,h,f,k,tなどの子音の組み合わせになっています。
「あいうえお」という母音は周波数は低いので、加齢性の難聴でもかなり進行しなければ聞き間違えることはありません。
これに対して、子音の中でも周波数の高いs,h,f,k,tは、比較的早い段階から聞き取りにくくなります。
そのため、たとえば白い(shiroi)と広い(hiroi)、高菜(takana)と魚(sakana)、佐藤(sato)さんと加藤(kato)さんなどは聞き間違えることが多くなります。
ここでポイントになってくるのは「聞こえない」のではなく「微妙に聞き間違える」ことです。
ハッキリ聞こえなかったとき(この人、こう言ったんじゃないかな?)という推測で判断してしまいます。
人によっては、推測が正しいと思い込み、的外れな返事をしてしまう方もいます。
この逆に聞こえてきた言葉が合っているのか自信が持てなくなり、返事をすることを戸惑ってしまうことも出てきます。
こういった聞き間違いの例やその時の人の行動は、あくまで一般論。耳の状態や聴力、聞こえの困りごとなどは一人ひとり異なります。
身体や健康の困りごとは本当に一人ひとり異なります。背が高い人は似合う服を探すのに悩みますが、背が低い人はそれがコンプレックスになる場合もあります。これを「身長の困りごと」という風にひとまとめにはしませんよね。
聞こえの困りごとが一人ひとり違うことについては、下記の記事で詳しく書いています。こちらもぜひ読んでみて下さい。
「喫茶店でお友達と会話ができるようになりたい」中等度難聴の女性
「30人を前にプレゼン、質疑応答も聞こえるようになりたい」営業職の男性
さて聞こえの困りごとを補聴器で解決したい場合は、一人ひとりの耳に合わせた”調整”がとても重要になってきます。
一人ひとりの耳に合わせた”高精度”な補聴器の調整
補聴器を使っていく上で大切なことは、自分にとって必要な言葉が分かることです。
もしお友達が使ってよく聞こえている補聴器を、お借りして使ったとしても、よく聞こえるようにはなりません。これは先に紹介した聴力や耳の形が一人ひとり異なるためです。
自分にとってよく聞こえる補聴器というのは、自分の聴力と耳の形に合わせて調整された補聴器のことです。
この調整では、どんな精度で調整できるかがとても重要になります。
ここでは、現在、世界で最も高精度に耳に合わせた調整方法”実耳測定によるフィッティング”を簡単にご紹介します。
耳の穴の形が一人ひとり違うから、最適な音が鼓膜に届くことが大切です
人間の耳の穴の奥には、鼓膜があります。音が聞こえるということは、音が鼓膜に届き、鼓膜を振動させているということです。
よく聞こえるようにするためには、一人ひとりの聴力に合わせた最適な音が鼓膜に届くことが大切です。
同じ音を聞いても、耳の穴の大きい人と耳の穴の小さい人では、鼓膜に届く音の大きさが異なります。
プロショップ大塚では、鼓膜に届く音圧を直接測定する実耳測定器(REM:Real Ear Measurement)を導入しています。
実耳測定は、補聴器の調整技術として最先端のテクノロジーです。
実際に鼓膜に届いている音を測定することで、耳の穴がどんな形だったとしても、また補聴器の形が小さくても大きくても、その人に合った最適な音質調整ができるようになりました。
今まで以上にお客様一人ひとりの耳に合わせて、聞こえを改善しつつ、うるさくなく、安全な補聴器をお届けできるようになりました。
よく聞こえる補聴器を手に入れるためのコツ
ベストな調整の補聴器だったとしても、補聴器を初めて使う場合、取り扱いを覚えたり、聞こえ方に慣れが必要になるなど、少し時間がかかります。
ここからは補聴器を上手に使いこなすためのノウハウをご紹介していきます。
補聴器でよく聞こえるまでにかかる時間は、平均2ヵ月
加齢による難聴の場合、聴力は少しずつ低下しています。人の言葉だけでなく、生活の中にある様々な音も長い年月をかけて少しずつ少しずつ聞こえにくくなっていった結果が加齢性の難聴です。
補聴器は、人の声だけ抜き取って大きくするわけではなく、耳のいい人に近づける道具です。
そのため人の声以外の音も、補聴器をつけない時より大きくなります。
この時、例えば食器の音、水の流れる音、紙をめくる音など、小さく小さく聞こえていた音がよく聞こえると不快に感じることがあります。
不快さを感じずに、かつ人の言葉がよく聞こえるようにする対策として、段階的に補聴器の音量を上げていくという耳のリハビリがあります。
補聴器が初めての方の場合、最初は補聴器の音量を小さめにしておき、不快さを感じない状態で毎日5時間以上は補聴器を耳につけていただきます。その後、一週間か二週間に1回のペースで、補聴器の音量を徐々に上げていくと平均的には2か月、長い方でも3か月以内にリハビリが完了します。
このリハビリが完了する頃には、言葉を聞き取るために十分な音量の補聴器を、不快さを感じることなく耳につけることが出来るようになります。
なお、このリハビリが必要になるのは、相当程度、難聴が進行してから初めて補聴器を耳に使う方の場合です。
近年の補聴器は雑音を自動で抑える機能が発達しており、軽い難聴のうちから補聴器を始める方の場合、ここでご紹介したようなリハビリは、ほとんど必要ありません。
- 自分の耳に合ったよく聞こえる補聴器を手に入れるためには、リハビリだけでなく、機能やデザインも大切です。
- 取り扱い優先のデザインと、目立ちにくいデザインの補聴器はまったく変わってきます。
- メーカー選びの参考に。聞こえを改善したい場面と必要な機能についても書いてます。
- 2023年:補聴器メーカー各社の特徴と評判、上位6社を徹底比較
- 補聴器のデザインによる違いについてはこちら。
- ・補聴器の種類によるメリットや特徴【サイズがわかる画像付き】
補聴器の3か月無料貸出サービスを始めたワケ
ここまで難聴について、補聴器について、一般的なことをご紹介させていただきました。
「意外と難しいな」と感じた読者の方もいるかも知れません。
難しいことは私たち補聴器の専門家の仕事なので、その点はあまり心配なさらないで下さい。
プロショップ大塚が、補聴器の3ヵ月無料貸出サービスをはじめたのは2009年のことです。
今と比べて、高齢者の間でインターネットはあまり使われておらず、スマホを持っている人はほとんどいませんでした。
2009年当時は補聴器でよく聞こえるために必要な調整や、そのために必要な期間についても、まったくと言っていいほど一般の方に知られていなかったのです。
当時、当社に限らず補聴器業界は「試聴のお貸出しは2週間まで。補聴器は買ってから、少しずつよく聞こえるようになります」とお客様に説明することを当たり前にしていました。
そんな中、弊社の補聴器部門をはじめた大塚政男は「このお客様は、まだよく聞こえる状態になっていない」と思えば、こちらから「あなたのお耳は、よく聞こえるまでにまだ時間がかかるから、もう少し試聴を延長しませんか?」とケースバイケースで提案していました。
お客様に合った提案していても、今とは時代が違いますから、こちらのサービスを遠慮されるお客様がいらっしゃったり、重い難聴なのに補聴器をつけたらすぐによく聞こえると思い込んで怒ってしまう方がいらっしゃったり、、、「補聴器を使ってよく聞こえるための方法」があるのに、それを皆さんに知っていただくことが出来ず苦労していました。
そういった経験を重ね、お客様の聞こえの改善はもちろん、気持ちの安心や納得まで考えた結果、2009年に補聴器の3ヵ月無料貸出サービスが始まりました。
このサービスを始めてから試聴の無料期間中に、リハビリも器種の比較も、全てのサービスが提供できるようになりました。
補聴器の3ヵ月無料貸し出しサービスについて、詳しく知りたい方はこちら。
【監修】
補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。