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片耳難聴によるお困りの事例と対策、補聴器の活用

片耳難聴によるお困りの事例と対策、補聴器の活用

片耳難聴とは、片方の耳だけが聞こえづらかったり、全く聞こえない状態のことをいいます。一側性難聴とも言われます。生活や仕事の中では常に不便を感じるわけではありませんが、複数の人が話す会議などでは声の方向が分からず、誰が何を話しているか理解しにくくなります。
また、聞こえにくい方から話しかけられると内容を理解しづらくなり、時には話しかけられたことに気づかずに誤解されることもあります。聞こえが良い方向から話しかけられれば十分に聞き取れるため、ご本人が困っていても、周りの理解を得ることが難しい場合が多いようです。この記事では片耳難聴の原因・対策・実際の事例についてご紹介します。

片耳難聴の主な原因

片耳難聴の多くは病気や先天性の難聴によるものです。加齢性の難聴では片耳難聴になることは少ないでしょう。片耳難聴になる主な原因は5種類です。

①突発性難聴

片耳の聞こえが急激に悪くなる病気です。難聴と同時にめまいが起きることもあります。治療によって改善する可能性がありますが、そのためには一刻も早く治療を開始する必要があります。急に聞こえが悪くなったと感じる方は、一刻も早く医療機関に受診してください。

②メニエール病

めまいと片耳難聴が繰り返し起こる病気です。めまいが発生すると、聴力が低下しますが、めまいが治まると聴力が回復します。しかし、めまいが起きるたびに聴力が低下し、最終的には片耳難聴になってしまうことがあります。つまり、この病気では、めまいが重なる度に聴力が低下し、やがて完全に回復しなくなるという特徴があります。
メニエール病には、めまいだけのタイプ・難聴だけのタイプなど種類があります。突発性難聴と同様に、疑わしい場合は自己判断せず、すぐに専門医に受診しましょう。

③中耳炎

中耳炎により、片耳の聴力が低下することがあります。中耳炎と一言で言っても様々な種類や症状は様々です。数日で治るようなものもあれば、長引いたり、難聴などの症状が出ることもあります。
中耳炎による難聴は、治療によって多くの場合改善することができます。しかし、治療を受けても聞こえづらさが残る場合は、最終的には片耳難聴の状態になってしまうことがあります。

④おたふくかぜ

子供のころにかかることの多い病気ですが、実は難聴の原因にもなります。おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)は、ムンプスウィルスというウィルスに感染することで発症します。多くの方は軽症で、後遺症もなく完治します。なかには不顕性(ルビ:ふけんせい)感染といって、感染しても症状が出ない方もいらっしゃいます。
しかし20,000例に1例程度に難聴を合併する1)と言われています。おたふくかぜによる難聴は、多くが片耳難聴であり、難聴の程度も重くなることが多いです。

⑤先天性難聴

片耳難聴の原因は様々ですが、生まれつき片耳難聴の人もいます。以前は、周囲が気づかずに小学校などの健康診断で初めて片耳難聴であることが判明するケースもありました。
しかし、現在は「新生児聴覚スクリーニング」という、生後すぐの赤ちゃんの聴力検査が行われるようになってきました。これにより、早期に片耳難聴であることがわかり、適切なフォローや治療を受けることができるようになっています。

片耳難聴で聞こえに困ったときの対策

まずは医療機関での治療

片耳難聴になる原因として様々な病気がありますが、治療によって聴力が改善することがあります。まずは耳鼻科を受診して、適切な治療を受けましょう。治療を受けたにもかかわらず聴力が元に戻らない場合、補聴器やCROS補聴器などのさまざまな対策があります。

治療で難聴が改善しなかった場合、補聴器で聞こえの改善

片耳難聴の方が、補聴器で聞こえの改善しようとした場合、効果があるかどうかは『どれくらい小さな音が聞こえるか?(いわゆる難聴の程度)』と『言葉を聞き取る力』によって変わります。
一般的には難聴の程度が軽く、言葉を聞き取る力が保たれている方が効果的であることが多いです。もし音を聞く力が低下していても「言葉を聞き取る力」が保たれていれば、補聴器は効果を発揮します。

ケース1:にぎやかなところでの会話や、不意の呼びかけが聞き取りにくくて困っている。

<ご本人のお悩み>
「向かい合っての会話では聞こえにくさを感じることはないけど、このまえレストランでウェイターさんに左側から話したときには、何を言われたのかさっぱり分からなかった」

「食事しながら会話をすると聞き取りづらいことがあるし、自分ではわからないんだけど、離れたところから急に話しかけられた時の声掛けには気づいていないこともあるようで補聴器で何とかならないかな、と思っています」

この方の場合、当店にいらっしゃる前に耳鼻科を受診されていました。病院で聴力検査を受けて、検査結果と合わせてご紹介状を持ってのご来店でした。検査結果を拝見すると、たしかに左側の聴力だけが低下しており、右耳はまったく問題ない様子。先生のコメントも「補聴器の試聴をご希望です。左耳のみ装用」とのこと。
なおご本人の感覚として”正面で向かい合っての聞こえには困っていない”ということでしたが、静かな場所で正面から話しかけられるような状態であれば、人は片耳だけでも十分に言葉を聞き取れることが分かっています。

静かな場所でも聞き取りづらい方向(この方の場合、左側)からの声、もしくは正面であっても雑音が多い場所では、片耳しか使えないと聞き取りづらくなるのです。このお客様の場合、ご本人の希望も耳鼻科医の勧めも、左耳だけに補聴器を試聴することでした。
またご本人からは「補聴器を試してみたいけど、常に困っているわけでもないから、補聴器を買うとしても、金額はできるだけ抑えたい」というご希望もありました。日本で流通している補聴器は、非常に多くのメーカー、多くの器種があります。片耳難聴は特に一人ひとり耳の状態が異なるため、自分に合った器種を選ぶ必要があります。

このお客様のケースでは、当店の補聴器3ヵ月無料試聴サービスをご利用いただきました。試聴期間中、6回ほどお店に通っていただき、器種を変更し、困っている場面で問題が解決できるだけの必要最低限の機能がある中で、一番お値打ちな補聴器を選ぶお手伝いをさせていただきました。

3ヵ月間の試聴期間を最大にご利用いただき、最後に補聴器をご買い上げいただいたときには「お友達とお食事をしているときも会話が楽しめるようになった」「家族に話しかけられたことに気づけるようになった」「効果を感じるので毎日使うようになった、これだけ使うことを考えれば金額的にも満足」とのご感想をいただきました。

 

ケース2:突発性難聴で、急に聞こえにくくなり、音の方向がわからない

<ご本人のお悩み>
「ある日、急に左耳が聞こえなくなり、病院に行ったら突発性難聴と診断されました。治療していただいて聴力は少しずつ戻ってきたのですが、先生のお話では”これ以上、治療しても今より聴力が改善するのは難しいから、生活で困っていることがあるなら補聴器の装用も検討してみて下さい”とおすすめされました」

「今も左の方向から話しかけられると、なにか言っているのは分かるのですが、言葉がはっきりしません」

「聴力は一番ひどいときよりは良くなっているんですけど、病気をしてから話しかけられても音の方向がわからなくて。誰もいない方向に振り向いてしまったり、車が近くを走って怖い思いをすることがあるんです」

この方はご病気で左耳が聞こえづらくなり、片耳難聴になってしまいました。聴力に関しては、難聴の程度は中くらい、言葉を聞き取る力も若干低下していました。しかし、突発性難聴のように、急に片耳難聴になった場合、その変化に様々な不安を感じられることがあります。この方の場合、言葉が聞き取りづらいことはもちろんですが、音のする方向を間違えることに不安を感じている様子でした。

そこで言葉の聴こえの改善だけでなく、音の方向の分かりやすさも踏まえた器種をお選びし、補聴器を3ヶ月間試聴していただきました。人が音の方向を認識する仕組みは解明されており、片耳難聴でも良い方の耳を十分に使えば、方向をある程度認識できる可能性があります。

この方は右耳には問題がなかったので、病気で聴こえが低下した左耳だけに言葉の聴こえと音の方向感、両方の改善を意図した補聴器を試聴していただきました。補聴器の音に慣れ、音の方向感を取り戻していただくことを狙って、試聴から6週間ほどは、一つの器種を継続してご利用いただき、毎日8時間ほど使っていただきました。この方の場合、言葉の聴こえの改善については、すぐに効果を実感していただけましたが、音の方向感について効果を感じられるまでに時間がかかりました。

試聴期間が終わるころには
「今までよりも音の方向をより正確に感じることができるようになってきた。」
「車がどこから近づいてきているのか分かるようになった。歩いているときも安心できる。音が入ってくることがうれしかった」
というご感想をいただきました。

 

ケース3:職場で聞こえない側にいる上司の声を聞き取りたい。

ご本人のお悩み
「子供のころから片耳難聴だったけど補聴器は着けていなかった。聞こえない右耳から話しかけられると聞こえにくくて困るけど、座る席に気を付けて、話す人が正面や左側になるように工夫してた。」

「最近異動があって、職場の環境が変わってしまった。上司が常に右側にいるので指示が聞こえにくく、急に声を掛けられると聞き洩らしてしまうこともある。仕事の内容的に席をかえてもらうことも難しくて困っている」

この方は子供のころの病気による片耳難聴でした。医療機関で聴力検査をしても、ほとんど音が感じ取れない程の難聴です。補聴器を使用する前は、生活の中で工夫することで対応していました。しかし職場の異動によって、今までしてきた工夫ができなくなってしまったのです。そのため、初めて補聴器を試そうと当店にご来店されました。

聴力測定を行いましたが、難聴の程度が重く、補聴器で音を大きくしても、ほとんど音が聞こえないほどの難聴でした。そこで、この方にはCROS(クロス)システムをご紹介しました。CROSシステムは、難聴側から話しかけられた音声を、よく聞こえる耳に届けてくれます。

このシステムは、CROSと補聴器、2つの装置を組み合わせて使用する機器です。難聴側にCROS、聞こえの良いほうに補聴器をつけます。CROSと補聴器は通信しているので、CROSのマイクに届いた声が補聴器から聞こえてきます。これによって難聴側から言われた言葉を聞き取ることができるようになるのです。

CROSを使用したところ、席の位置を変えずに上司の声が聞こえるようになりました。お仕事でのミスやストレスが大幅に減り、快適に働けるようになったとのことです。重い片耳難聴であっても、CROSを活用することで、聞こえない側からの言葉の聞き取りを改善できるケースもあるのです。

『ロジャー』と補聴器を組み合わせて
聞こえない方向をカバー

補聴器メーカーのフォナックから発売されている『ロジャー』をつかうと、にぎやかな環境でも、聞き取りにくい方向からの話し声や、離れた人の声が聞き取りやすくなります。

例えば会議室での聞き取りや、広い会場での講師の声などを聞くときに便利です。聞きたい相手が遠方にいたり、とてもにぎやかな場面での使用が目的の場合、CROSより有効な場合があります。

 

詳しくはこちらの記事をご覧ください。

フォナック製ロジャーおよびロジャー対応補聴器の助成金と自己負担する時の価格

片耳難聴のご本人や周りの方が、今すぐできる対策

補聴器やCROSを使わずに、もしくは併用したうえで、本人や周囲の方々が工夫をすることで、問題の解決や改善を目指す方法もあります。
工夫によって聞き取り能力を改善させる方法は、ヒアリング・ストラテジー(聴取戦略)といいます。2)ヒアリング・ストラテジーを活用することで補聴器を装用しなくても聞こえの困りごとを軽減することができるでしょう。

 

ご本人ができること

ご本人の努力や工夫でお困りごとの改善を目指す方法は「自己努力系の対応」3)ともいわれます。

・聞こえやすい位置をキープすること
難聴側に相手がいると、話し声を聞き取ることは難しいです。相手が正面から聞こえる耳側に常にいるように、席や立ち位置を工夫しましょう。グループでレストランに行ったときは、端の方に座って、自分の正面から聞こえやすい側に会話相手が収まるようにするのも有効です。
聞き取りたい側に顔を向けるだけではありません。雑音があって聞き取りにくい時は、雑音の音源(換気扇・そうぞうしい人)が聞こえにくい耳の方にあるように立ち位置を調整しましょう。自分の頭が壁になって、聞こえる耳にとどく雑音が和らぎます。雑音が和らぐことで、聞きたいお話に集中することができるでしょう。

・物音が聞こえたら目視確認。
物音が鳴っても、片耳難聴の場合はどこで音が鳴ったのかを判断することは難しいです。周りを見渡して、どこから物音がしたのかを確認すると良いでしょう。

・ご自宅の”音”の環境を整える。
音が反響しやすかったり、外部の騒音が入りやすい環境は、聞き取りに悪い影響を及ぼします。カーテンを厚手のものに変えたり、フローリングにカーペットを引いたり、反響音が発生しにくい環境作りをしましょう。食器洗い洗浄機や洗濯機は、家庭の中での騒音発生源になります。そういった物を使っているときは、こまめにドアを締めて、居室に騒音が届きにくい環境を作りましょう。

 

周りの方が協力できること

片耳難聴の方が周囲にお願いして、聞き取りやすい環境を整える方法は「他者依頼系の対応」3)ともいわれます。

・職場や学校では聞こえやすい席に移動させてもらう。
昔から学校では近視のお子さんの席を黒板の近く、前の方に配置するなどの配慮が行われてきました。同じように片耳難聴で先生の声が聞き取りにくいなら、席を変えてもらうには十分な理由になります。ぜひ相談してみましょう。

・可能な限り正面からしゃべってもらう
前述の聞こえやすい位置をキープすることと、その理由に関連したものです。

・にぎやかな環境では重要な会話を控えてもらう。
片耳難聴の方は雑音の多い中での会話を聞き取ることも大変です。そのため、にぎやかな場所で会話があった時は、大事な会話は静かなところで話すようにお願いすることも有効です。

・職場の環境を整える
自宅程自由に変えられるわけではありませんが、無理のない範囲で職場の方と相談しましょう。外がうるさい場合、ドアを閉めてもらうなども簡単なことですが、とても有効です。

・周りの方に片耳難聴を理解してもらえるリーフレットを配る。
ここまで「他社依頼系の対応」をご紹介しましたが、ご自分で周りの方にすべて説明するのは簡単なことではありません。片耳難聴の当事者組織である、きこいろの公式ホームページではご家族や職場の方向けに リーフレットを配布しています。本ページと合わせて、片耳難聴の当事者が作ったリーフレットも活用いただくと、周りの方に理解してもらいやすくなります。

片耳難聴は遠慮なくプロに相談してみて下さい。

片耳難聴の場合、「片耳は聴こえているから、特別な対策を急がなくてもいいのではないか」と思うことがあります。しかし、日常生活で不便を感じる場合は、私たちプロショップ大塚では相談だけでも大歓迎です。ご紹介したヒアリングストラテジーの実践方法を知るだけでも、生活が少し便利になることがあります。
また「すこし補聴器に興味が湧いたけど、まだ詳しく相談するほどではない」という方は、下記の記事をご一読下さい。
補聴器を始めるタイミングについて

参考文献

1)国立感染症研究所感染症情報センター,多屋馨子:流行性耳下腺炎(ムンプス、おたふくかぜ).国立感染症研究所.https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/529-mumps.html,参照(2023-4-10).

2)Dillon H : 補聴器ハンドブック原著第2版. 中川雅文 監訳, 医歯薬出版株式会社 ; 2017: 408-413頁.

3)岡野由美:聞こえ方は、いろいろ 片耳難聴Q&A,学苑社;2023:76-91頁.


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