人間が音の方向を理解する仕組みと、音の方向が分かる補聴器


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補聴器は音の方向の理解を助けてくれる!?

人間が音の方向を理解する仕組みと、音の方向が分かる補聴器

人間は聴力が低下すると、音の方向が分かりにくくなります。人間が音の方向を理解する3つの機能、両耳間時間差、両耳間音量差、耳介効果について解説します。また難聴の方が、音の方向を理解することを補助する補聴器を紹介します。

音の方向が分かる仕組み

人間が音の方向を理解できるのは、3つの仕組みが適切に働いているためです。これまで専門家の間でよく知られてきた仕組みは、両耳間音量差、両耳間時間差、耳介効果の3つでした。

音が両耳に届く音量の差(両耳間音量差=ILD:interaural level difference)

両耳間音圧差とか両耳間レベル差ともいいます。

人間には左右2つの耳があります。
何か音が聞こえた時、その音源が正面より左側にあれば左耳には強く大きな音が、右耳には弱く小さな音が届きます。
この現象は、音が飛んできたときに、人間の頭部によって音がさえぎられ、小さくなるために起こります。
左右の耳に届く音の強さの差分のことを、「両耳間音量差=ILD」といいます。人間は無意識にこの差分を感じて、音の方向を判断しています。
ILD
なお両耳間音量差による音の左右方向の判断は、主に音源が2000hz以上という高周波数の音に対して、よく機能します。

音が両耳に届くタイミングの時間差(両耳間時間差=ITD:interaural time difference)

人間は、何か音が聞こえた時、左右の耳に音が届く時間の差によっても、音の方向を判断しています。

何か音が聞こえた時、音の発生源が左側にあれば、左耳までの距離が近い分、左耳に早く音が届きます。右耳には、少し遅れて音が届きます。

左右の耳に音が届く時間差を「両耳間時間差=ITD」といいます。人間は無意識に、左右の耳に届く時間差を感じて、音の方向を判断しています。

右方向からくる音は、先に右耳へ、遅れて左耳へ届きます。

ITD

両耳間時間差(ITD)による音の左右判断は、主に2000hz未満という低周波数の音に対して、主に機能します。
両耳間時間差(ITD)は、先に説明した両耳間音量差(ILD)の特徴と似ていますが、別の機能です。人間は、2000hz以上の音の方向は両耳間音量差(ILD)で判断し、2000hz未満の音の方向は両耳間時間差(ITD)で判断しています。

人間が音の方向を判断するとき、低い周波数の音より、高い周波数の方が正確に判断できるようです。

真正面、真後ろの判別は、耳介の効果

人間は「真正面」「真後ろ」からくる音の方向は、耳介の働きによって判断しています。

外に出ている部分全体を耳介(じかい)といいます。

耳介

この「耳介」という部分は、音の方向によって、音を増幅したり減少させたりする働きがあります。前方から来た音については、高周波数の音、低周波数の音、両方を増幅します。後方から来た音に対しては、耳介が障害物になり、高周波数の音を大きく減少させます。

この結果、後方からの音は、周波数が低く感じられます。つまり、人間は周波数の低い音は後方から来るように感じます。具体的には、この耳介効果による方向判断に、超高周波数である7000~10000ヘルツの音が重要です。

もし、この超高周波数の音の聴力が低下していると、耳介効果による音の方向判断は難しくなります。

実際に体験してみたい方は、目を閉じて音を出すだけで簡単に確認できます。たとえば、スプーンとフォークを目の前で叩いた時と、頭の後ろで叩いた時では、音の高さが違って感じられます。

人間は、高周波数の音と、低周波数の音との大きさの差で「高周波数成分が少ない音は、だいたい後方から来る」と認識しています。

音の方向が分かるオススメ補聴器「スターキー社のMuseIQ 1600 IIC」

人間が音の方向を理解する3つの機能は、聴力が低下して難聴になると、うまく機能しなくなります。補聴器を使って、音の方向理解を補助する場合は、小型の耳穴型補聴器がおすすめです。

音の方向を補助する機能が強力で、プロショップ大塚でオススメしているのは、スターキー社の「MuseIQ1600 IIC」の両耳セットです。

スターキーMuseIQ本体

スターキーMuseIQ装用

外からは、全く見えません!

機能の解説、おすすめ理由
・補聴器が小さく、マイクが鼓膜に近いため、耳介効果が効果的に働く。
・他社メーカーには無い機能として、10000ヘルツまでの音が出せるため、耳介効果が効果的に働く。
・補聴器による音質の変化が比較的少なく、両耳間音量差(ILD)が分かりやすい。
・上記の機能がある器種の中では、最も値段が安い(両耳500,000円)。

具体的には、下記の方にメリットがあります。
・サッカー選手、バスケットボール選手、テニスのダブルスなど、チーム球技でボールや声掛けの方向を瞬時に理解したい方。
・路上で、自転車や電気自動車などの接近に気付かず、ぶつかることが心配な方。
・工事現場など、危険を音や声で伝える場面がある方。
・広いオフィスで働いており、人に呼ばれたときにすぐ反応したい方。
サッカーをする人
※低周波数と高周波数は、音が届く距離が異なります。
 同じ大きさ(音圧)の音であっても、音の周波数によって、音が届く距離は異なります。低周波数の音は、エネルギーが大きく、遠くまで届く性質があります。また回折といって、障害物があっても、回り込んで届くという性質があります。
高周波数の音は、距離による影響が大きく、少しの距離で、音がどんどん小さくなります。

そのため低周波数の音を両耳間音量差(ILD)で判断しようとしても、左右で音の大きさがあまり変わらないため、判断することが出来ません。両耳間音量差(ILD)と両耳間時間差(ITD)では、前者の方が精度が高いのですが、低周波数では両耳間音量差(ILD)が分からないため、両耳間時間差(ITD)で音の方向を判断するようになっています。


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私が書きました

この記事は大塚祥仁が書きました

大塚 祥仁
【認定補聴器技能者】

2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様によく聞こえる生活をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器、難聴、耳鳴りなどについて、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。

保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者

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