補聴器に関わる資格の違い ― 認定補聴器専門店・技能者・言語聴覚士・相談医とは?

補聴器に関わる資格の違い ― 認定補聴器専門店・技能者・言語聴覚士・相談医とは?補聴器に関わる資格の違い ― 認定補聴器専門店・技能者・言語聴覚士・相談医とは?
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補聴器の相談先は、なぜ分かりにくいのか

補聴器について調べ始めると
「認定補聴器専門店」「認定補聴器技能者」「補聴器相談医」「言語聴覚士」など、
似たような言葉や肩書きが出てきます。

ちょっと分かりにくいですよね?

この背景には、補聴器が医療と日常生活のちょうど境界にある道具である、という特徴があります。
難聴の原因や安全性の確認には医師の視点が必要である一方、補聴器は日々の会話や外出、仕事など「生活の中で使い続ける道具」でもあります。

そのため
・医学的な判断を担う立場
・補聴器を測定・調整する立場
・生活やコミュニケーション全体を見る立場
・それらを支える店舗や体制
といった、役割の異なる専門家や組織が関わる構造になっています。

問題なのは、これらが上下関係や序列ではなく、
それぞれ異なる役割を持っている点が十分に説明されていないことです。
結果として「だれ(どこ)に相談すればいいか分からない」という不安が生まれます。

このページでは、補聴器に関わる主な立場を整理し、誰が何を担い、どこまでが役割なのかを分かりやすく解説します。

ご自身の状況に合った相談先を考えるための“ヒント”としてお読みください。

補聴器に関わっている人たち(医師・専門店・専門職)

補聴器に関わる立場は多く見えますが、役割ごとに整理すると、4つに分けて考えることができます。

それぞれ優劣の関係ではなく、目的の異なる専門性です。

 

まず、補聴器相談医は、難聴の原因や治療の必要性など、医学的な判断を担う立場です。

次に、認定補聴器技能者は、補聴器の測定や調整、使い方の説明といった実務を担当します。

言語聴覚士は、聞こえを数値だけでなく、会話や生活の困りごととして評価して、必要に応じて聴覚のリハビリテーションを行う専門職です。

そして、認定補聴器専門店は、医療機関と連携しつつ、これらの専門性が継続的に提供されるための体制や環境を支えています。

 

大切なのは、補聴器を使う本人が常に中心にあり、状況に応じて、これらの立場が関わるという考え方です。

一人の専門家ですべてが完結するものではなく、それぞれの役割が補い合うことで、より納得のいく補聴器利用につながります。

認定補聴器専門店は、どこまで安心できるの?


認定補聴器専門店とは、補聴器の販売や調整を行う店舗のうち、人員配置や設備、運営体制などについて一定の基準を満たしているとして、業界団体から店舗単位で認定を受けている補聴器販売店を指します。

外部リンク:認定補聴器専門店一覧|公益財団法人 テクノエイド協会

ここで知っておいていただきたいのは、この認定が「個人の資格」ではなく、「店舗・組織の体制」に対して与えられるものだという点です。

認定補聴器専門店であることは、誰が対応しても一定水準のサービスが提供できるよう、環境づくりや仕組みづくりが意識されている、という一つの目安になります。

 

こうした店舗では、補聴器の選定や調整、使い方の説明、購入後の点検やフォローなど、補聴器を日常の中で使い続けるための支援が行われます。

また、必要に応じて医療機関や他の専門職と連携できる体制を整えていることも、認定の前提とされています。

 

ただし、認定補聴器専門店であれば、必ず最適な補聴器が見つかる、すべてを任せて安心、というわけではありません。

医学的な診断や治療の判断は医師の役割であり、補聴器の調整についても、実際には担当するスタッフの経験や関わり方によって差が出ることがあります。

 

認定補聴器専門店とは、

補聴器について安心して相談し、長く付き合っていくための「場所」です。

いくつかある判断材料の一つとして、捉えていただければと思います。

補聴器を「使える」ように調整する認定補聴器技能者とは


認定補聴器技能者とは、補聴器の調整、使い方の説明、効果確認の測定などを専門に行うために、一定の知識と実務経験をもとに認定された専門職です。

補聴器を「その人に合う状態」に近づけていくうえで、中心的な役割を担います。

 

この資格は国家資格ではありませんが、補聴器を扱うための専門知識や倫理、継続的な研修が求められる資格として、業界内では一つの標準的な目安とされています。

実際の現場では、認定補聴器技能者が聴力測定の結果をもとに、音量や音質、装用感などを細かく調整しながら、利用者の声を丁寧に聞き取っていきます。

 

補聴器は、数値通りに設定すれば終わり、という道具ではありません。

「声は聞こえるけれど疲れる」「雑音が気になる」「家ではいいが外では使いづらい」など、使い始めてから初めて気付く違和感もあります。

そうした一つひとつの感覚に向き合い、調整を重ねていくのが、認定補聴器技能者の仕事です。

 

一方で、認定補聴器技能者は医師ではないため、難聴の原因を診断したり、治療の判断を行ったりすることはできません。

必要に応じてお客様を医療機関へ紹介することも含め、自分の役割・範囲を理解したうえで対応します。

 

認定補聴器技能者とは、補聴器を「使える状態」に整え、使い続けられるようにする補聴器調整の専門家です。

資格があるかどうかだけで判断するのではなく、話をよく聞いてくれるか、調整を重ねてくれるかといった点も、安心して相談できるかどうかの大切なポイントになります。

医学的な立場から助言する補聴器相談医

補聴器相談医とは、耳鼻咽喉科医の中でも、難聴や補聴器に関する専門知識をもとに、医学的な立場から助言や判断を行う医師を指します。

補聴器を使ってよい状態かどうか、医療的な配慮が必要かどうかを見極める役割を担います。

 

補聴器相談医の主な役割は、難聴の原因や進行の可能性を確認し、治療が必要な病気が隠れていないかを判断することです。

そのうえで、補聴器の使用が適切か、注意点はあるかといった点を整理します。

 

ここで知っておきたいのは、補聴器相談医が補聴器の細かな調整や販売を行う立場ではない、という点です。

実際の測定や調整、使い方の説明は、補聴器技能者や専門店が担うことが一般的です。

 

「補聴器は病院でないと作れないのでは」と不安に感じる方もいますが、すべてのケースで医師が補聴器の調整まで関与する必要があるわけではありません。

ただし、聞こえの低下が急に進んだ場合や、耳の痛み・めまいを伴う場合などでは、医療的な確認が必須になります。

 

補聴器相談医とは、

補聴器を安心して使い始めるための“医療の視点からの確認役です。

補聴器専門店や技能者と役割を分担しながら関わることで、

より安全で納得のいく補聴器利用につながります。

聞こえを「生活の中」で考える専門職、言語聴覚士とは


言語聴覚士は、聞こえやことば、コミュニケーションに関する支援を行う、国家資格を持つ医療・リハビリの専門職です。

主に、聞こえを「生活の中でどう感じているか」「どうしたら生活の中の聞こえ・コミュニケーションがより良くなるか」という視点から支える役割です。

 

言語聴覚士の強みは、特殊な難聴、珍しい難聴でも正確な聴力検査ができることです。

また聴力検査の数値だけでなく、

「会話が続きにくい」「家族とのやり取りが減った」「電話が苦手になった」など、

日常の困りごとを丁寧に整理できる点にあります。

聞こえを、単なる音の問題としてではなく、

コミュニケーション全体の問題として捉える専門家です。

 

医療機関では、聴力評価や補聴器装用前後の確認、装用後の聞こえ方の変化についての相談などに関わることがあります。

言語聴覚士が補聴器店に所属している場合は、補聴器の音質調整を実際に行ったり、生活場面での工夫について具体的に助言するケースもあります。

 

言語聴覚士が難聴者にどんなカタチで関わるかは、耳鼻科の言語聴覚士か、補聴器店の言語聴覚士かによって異なります。

言語聴覚士は、聞こえを生活や人とのつながりの中で考え、寄り添う専門職です。

言語聴覚士の支援が、必ずしもすべての難聴に必要というわけではありませんが「数値上は問題ないと言われたが、使いづらさが残る」といった場合には、特に大きな支えになってくれます。

結局、補聴器は「誰に相談すればいいのか」

ここまで見てきたように、補聴器には医療、調整、生活支援、体制づくりといった、異なる役割の専門家や組織が関わっています。

そのため、「結局、誰に相談すればいいのか」と迷うのは、とても自然なことです。

 

大切なのは、最初から正解の相談先を選ぼうとしすぎないことです。

聞こえの状態や不安の内容によって、入口は人それぞれ異なります。

 

たとえば、聞こえの低下が急に進んだ、耳の痛みやめまいがある、といった場合には、まず医療機関の受診がおすすめです。

一方で「日常会話が聞き取りづらい」「補聴器について話を聞いてみたい」という段階であれば、補聴器専門店で相談してみて下さい。ご相談の中で、必要に応じて医療につなぐという進み方もあります。

 

補聴器は、一度作って終わり、というものではありません。

使いながら調整し、生活に合わせて付き合っていく道具です。

そのため、一人の専門家だけに頼るのではなく、それぞれの役割を理解したうえで、必要な支援を受けていくことが、結果的に近道になります。

 

「今の自分は、どんなことに困っているのか」

「まずは話を聞いてほしいのか」

「医療的な確認が必要なのか」

そうした点を整理するだけでも、相談先は自然と見えてきます。

 

大塚補聴器では、補聴器に関する制度や専門家の役割を整理しながら、ご自身に合った選択を考えるための情報をお届けしています。

焦って決める必要はありません。

まずは、分からないことを分からないままにしないことから、ゆっくり始めてみてください。

補聴器について、少し話をしてみませんか

どこに相談すればよいか迷っている段階でも大丈夫です。

聞こえの状態やお悩みを伺いながら、 必要に応じて医療機関との連携も含めてご案内しています。


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大塚補聴器を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。

たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。

なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。

※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。

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