フォナックから子ども向け補聴器「スカイM」新発売!Bluetoothで音声が聴けます!
子ども向け補聴器では初めて、スマホからBluetoothで音声・音楽を聞くことができるスカイMが発売されました。電池の誤飲を防ぐチャイルドロック付き。総合支援法対応モデルもあり、お値打ちです。
フォナックは子供向け専用補聴器スカイシリーズを開発
2020年10月、スイスのフォナックから子ども向け補聴器スカイマーベル(略称スカイM)が発売されました。
フォナックは、以前から高齢者向け補聴器と子ども向け補聴器を分けて開発してきましたが、今回発売されたスカイMは、子供向けスカイシリーズの最新モデルになります。
この記事では、スカイMの難聴児の子育てにちょっと便利な新機能をご紹介します。
- 小児の難聴は、これから言語を獲得するという意味で成人と大きく異なります。近年では人工内耳など、補聴器以外の選択肢も増えてきているようです。先天性の難聴では、ろう学校に入れるのか、普通学校を目指すのかも大きな選択です。必ず医療機関でご相談下さい。
- 本記事は、子ども向けの補聴器を選ぶ際の参考にしていただければ幸いです。
Bluetooth機能で、補聴器からスマホ動画の音が聞こえる!
難聴児に限らない話ですが、スマホが当たり前になった現在、子育て中の親にとって、スマホやタブレットは強い味方です。
夕方、料理をしている最中(キッチンに小さい子供が入ってきて危なくないよう)に、スマホでYouTube Kidsを見せていたり、ディズニープラスを見ててもらったり。お絵描きアプリや知育ゲームで遊んでもらうこともあるでしょう。中学生くらいからは、塾や学校で学習用アプリを使うことがこれから増えていきます。
子育てにおいて実家の支援が得られなかったり、夫婦共働きのご家庭だったり、そうでなくても子供を見ながら毎日家事をしていたりしていることと思います。今の時代の子育ては使えるものは何でも総動員して、やっと生活が回るものでしょう。
ここまでは難聴に関係なく、一般的なお話です。
難聴のお子さんの場合、スマホやタブレットを子供に貸し与えても、文字を覚える前の小さなお子さんの場合、まず字幕が使えません。静かな場所で補聴器を使えば会話ができるお子さんでも、スピーカーの音質はどうしても肉声より劣化し言葉が聞き取りにくくなります。音楽・音声が聞き取れなければ動画の楽しさや知育アプリの学習効果は減ってしまうでしょう。
スカイMは、子ども向けとしては初めて、スマホやタブレットなどの音声を補聴器で聞くこと(ストリーミングといいます)ができる機能を持っています。音声が補聴器から直接聞こえるので、音質がとても良くなります。また補聴器の機能によって、音声・音楽が聴力に合わせた音になって聞こえます。小さなお子さんでも楽しみながら補聴器を使えます。
中学生くらいのお子さんの場合、塾などのリモート授業では市販のスピーカーやヘッドフォンより聞き取りやすくなりますから、集中しやすくなる可能性があります。
スマホ、PC、テレビ、全てのBluetooth機器と接続できる子ども用補聴器はスカイMだけ!
2020年10月現在、多くの補聴器メーカーで”Bluetooth対応”をPRしている補聴器が登場しています。しかしフォナック以外から発売されている補聴器の場合、iPhoneと一部のAndroidスマホには接続できますが、PCやテレビには接続できません。androidスマホの器種も限られます。
フォナックのスカイMは、ほとんどのBluetooth機器と接続ができます。スマホだけでなく、パソコンやテレビなど、Bluetoothが搭載されているほぼすべての機器からストリーミング(Bluetooth機器の音声が補聴器から聞こえる)が可能です。
スマホから補聴器へのストリーミング機能については、以下の記事をご覧ください。
【最新版】世界6大メーカーのストリーミング機能付き補聴器一覧
おしゃれでかわいいデザインは全98種類!
スカイMでは、子どもに喜んで補聴器を使ってもらうため、たくさんのカラーを用意しています。本体カラーは14色から選べ、フックという耳にかかる部分のカラーも7色から選ぶことができます。組み合わせはなんと98種類!
イヤモールドも11色から選べます。
子ども向けの安全設計
スカイMは、安心して補聴器が使えるように安全設計がされています。
「お知らせLEDランプ」は、補聴器の外側にあるプログラムスイッチが光り、電源や電池残量などを教えてくれるので、保護者の方や先生が一目で確認できます。補聴器の電池切れに気づかずに放置してしまうことがないように設計されています。
スカイMの電池式には、電池の取り出し口にチャイルドロックがついており、電池の誤飲や故障を未然に防ぎます。
補聴器の形は、聴力と使い方に合わせて3種類。
スカイMでは、充電式が1種、電池式が2種発売されています。
充電式 M-PR(対応聴力:軽度~中等度)
リチウムイオン電池使用。3時間の充電で18時間の連続使用が可能で、Bluetoothを接続し続けても10時間使用できます。一日中電源が持つため、急な電池切れの心配はありません。
電池交換式 M-M(対応聴力:軽度~中等度)
312電池を使用しており、1週間~10日に一回ほどの電池交換が必要です。小型なので、小さい耳のお子さんにもフィットしやすい形です。スカイMの電池交換式には、電池の誤飲を防ぐチャイルドロック、電池容量の低下をお知らせするLEDランプがついています。
電池交換式 M-SP(対応聴力:高度)
13電池を使用、10日~14日に一回ほどの電池交換が必要です。高度の難聴までに対応可能な、ハイパワー補聴器です。
スカイMの価格と性能
スカイMには4種類のグレード(価格、機能の差)があります。周囲の音に合わせた雑音の抑制機能などは、補聴器の価格に比例して性能が良くなります。ただしスマホなどとBluetooth接続ができる機能は、お値打ちなスカイM30にも搭載されています。
クラス | 充電式(充電器込) | 電池式 |
---|---|---|
90 (プレミアム) | ¥485,106 | ¥451,500 |
70 (アドバンス) | ¥359,106 | ¥325,500 |
50 (スタンダード) | ¥285,606 | ¥252,000 |
30 (エッセンシャル) | ¥201,606 | ¥160,000 |
要件を満たせば助成金を受けて購入も可能
スカイM30は総合支援法対応モデルでも販売されています。総合支援法は身体障害者手帳を持っている人に補聴器の購入代金が補助される制度です。難聴の程度によって要件があります。詳しくは以下のリンクをご覧ください。
補聴器が安く買える補助金のもらい方「手続きマニュアル付き」
Bluetooth接続の機能が付いているモデルも、総合支援法を利用すると少ない自己負担で購入できる場合があります。この制度の利用を検討される方は、耳鼻科の補聴器外来にご相談ください。
まとめ
この記事では、子ども向けに発売されたスカイMの便利機能についてご紹介しました。
スカイMは、お子さんとご家族の全員が安心して過ごせるよう、安全な設計で開発されています。
スカイシリーズで初めて搭載されたBluetooth機能は、ご家族にとってのサポート役になるだけでなく、リモート学習などを通じてお子さんの学習と成長に役立つでしょう。
お値打ちなスカイM30-SPは総合支援法対応器種です。そのため聴覚障害の手帳を持っていて、公費の助成が受けられればおよそ4400円の自己負担で購入できます。
スカイMの購入をご希望される方は、耳鼻科の補聴器外来への相談がおすすめです。
【監修】
補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。