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テレビの音がよく聞こえない時の原因別の解決策

テレビの音がよく聞こえない時の原因別の解決策

私たち補聴器専門店には「テレビの音がよく聞こえない」という理由で相談を持ち込まれるお客様がいらっしゃいます。実は耳がいい人でも、テレビの音がよく聞こえないことがあります。その場合、補聴器ではなく、テレビの置いてある部屋の環境を整えたり、ひと工夫を加えることで快適に聞こえるケースが多くあります。テレビの音がよく聞こえない時の原因別の解決策をご紹介します。

テレビを見ている場所が悪い場合

ご家庭の中でテレビを見る場合、多くはリビングや自分の部屋が多いでしょう。ホームシアターのように環境が整っている必要はないのですが、環境によっては極端に聞き取りづらくなってしまうケースがあります。

テレビを見る距離が遠すぎる

テレビを見る高齢男性の写真

小さなテレビを遠くから見ようとすると、セリフも聞き取りづらくなります。

テレビは画面サイズの大きさ、視聴するのに最適な距離があります。テレビを視聴するのに最適な距離は、画面の高さのおよそ3倍です。この距離より遠くからテレビを見ていると、テレビの音やセリフが聞き取りづらくなります。

「音量を上げればいいのではないか」と思われるかも知れませんが、遠く離れてテレビを見ようとすると、過剰に音量を上げる必要があります。一部のハイグレードなテレビをのぞき、多くのテレビのスピーカーは、大きな音量にすると音質が劣化する可能性があり、これも言葉の聞き取りを妨げる可能性があるのです。

テレビとの距離が離れすぎているかどうかの判断は下記の表を参考にして下さい。

 

<解決策>
自分のテレビの大きさと最適な視聴距離を知りましょう!

テレビとの距離のイメージ図

テレビとの距離のイメージ図

現在の横長のテレビでは、画面の高さのおよそ3倍程度が最適な視聴距離です。なお昔のブラウン管の時代は、画面の高さの5~7倍が最適な視聴距離として設計されていたようです。

最適視聴距離が変わった理由は、現在のテレビは液晶になり、画質が良くなったため、近くで見ても粗が目立たず、映像の美しさが損なわれなくなったおかげだそうです。

しかし音質に関しては、液晶になったことで低下傾向になったと感じます。
これはテレビが薄くなり、スピーカーを内蔵するスペースが減ったことが原因の一つです。

もし今、リビングでテレビを見ていて、その音が聞こえないようでしたら、自分のいる場所やテレビを置く場所を変えること、もしくは下で紹介しているような外付けスピーカーの設置、またはテレビの買い替えを検討してみて下さい。

 

テレビを見ている場所の近くで家事をしている

キッチンの音

最近の住宅は、リビングとダイニングとキッチンが一つの部屋になっており、カウンターキッチンやアイランドキッチンが増えてきています。リビングでテレビを見る時、すぐ近くで家事をする音が発生していると、何を言っているのか聞こえない状況を作る原因になります。

具体的には食器洗い乾燥機を動かす音、包丁を使う音、揚げ物をあげる音などの料理の音も邪魔になってしまうのです。

キッチンの他にも、当然のことながら掃除機をかける音、空気清浄機のモーター音などもテレビの音が聞こえにくい原因になります。

 

<解決策>
●ヘッドホンやイヤホンを使う
一番簡単な方法は、ヘッドホンやイヤホンを使うことです。
周りの雑音をカットして、聞きたいテレビの音を自分好みの音量で聞くことができます。
なお2人以上でテレビを一緒に見る場合は、テレビの設定でイヤホンジャックだけでなく、イヤホン・スピーカーの両方から音が出るようにしておくとよいでしょう。

●テレビ用手元スピーカーを使う
テレビの近くではなく、自分の手元に置くことができるテレビ専用のスピーカーです。テレビに送信用の機器を接続するだけで、簡単に使えます。

ヘッドホンやイヤホン、テレビ用手元スピーカーには、有線タイプと無線タイプがあります。使い勝手やご予算で、選択していただくと良いでしょう。

音質は商品によって大きく変わってきます。無線タイプで高音質なものは高価になります。数千円程度~5万円以上するものまで、価格幅も広いです。

 

テレビの音が部屋の中で反響している 

打ちっぱなしコンクリート

部屋の壁や天井の材質によって、テレビの音が反響してしまい聞きにくいことがあります。
オーケストラやオペラの会場、映画館などは、観客全員が良い音質で聞き取れるよう反響を考慮して設計されています。

逆に、反響の影響が考慮されない一般住宅では、反響によって音質が悪化してしまうこともあるのです。
一般住宅でテレビの音が聞き取りづらくなる反響は、天井が高すぎること、一つの部屋が広すぎること、壁の素材が打ちっぱなしコンクリートであることなどが要因になるようです。

 

<解決策>
過度な反響を抑えるには、窓のカーテンを閉めたり、フローリングに絨毯を敷くことで改善されることがあります。

このほか、ホームシアター向けの製品には、DIYで自宅に取り付けられる吸音材がさまざま発売されています。
当社で取り扱っている製品ではありませんが、当社の防音室では吸音のためにDAIKENの吸音材オトピタ02Nを採用しています。反響が気になる方は、こういった物も試してみると良いでしょう。(詳しくは大建工業様にお問い合わせください)

 

テレビのスピーカーの音が、自分のいる方向に向かって来ない=音が抜けている

実は最近のテレビに内蔵されているスピーカーには種類があり、それぞれ正しい設置方法が異なります。設置方法が間違っている場合も、音声が聞こえにくい原因になります。

最近の液晶テレビに内蔵されているスピーカーの位置は、およそ3種類あります。

●正面スピーカー
テレビの前面にスピーカーが設置されているタイプで、音が直接聞こえるため、音質や臨場感が高い。古いブラウン管テレビの多くはこのタイプでした。設置方法に特別な配慮は必要ありません。

●下向きスピーカー
テレビの下部にスピーカーが設置されているタイプ。音が床やテレビ台に反射して聞こえるため、音質や方向感が低下する可能性があります。
                   

●背面スピーカー
テレビの背面にスピーカーが設置されているタイプで、音が壁や天井に反射して聞こえるため、音質や方向感がさらに低下する可能性があります。

 

昔のテレビは、画面の両サイドにスピーカーがあったため、テレビの設置場所に関係なくよく聞こえました。

昔のテレビの写真

古いテレビはスピーカーが前面にあるため、正面に座る人によく届きました。

 

最近の液晶テレビは、画面サイズやデザインを優先するために、正面スピーカーを採用しているモデルが少なくなっています。

スピーカーがテレビの下部や背面にあっても、設置方法が正しければ大きな問題にはつながりません。しかし設置方法が間違っていると、音質が大きく劣化してしまう可能性があるのです。

 

【テレビの下方にスピーカーがある機種の設置失敗例】

テレビの下部にスピーカーがある場合は、スピーカーから出た音を反射する物体がテレビの下に必要です。写真のように、壁掛けで設置すると、音が適切に反射してくれないため、聞き取りづらくなります。

テレビの音漏れの写真画像

スピーカーがテレビの下方向に向いているときに壁掛けにすると、音が抜けてしまう。

 

【テレビの後方にスピーカーがある機種の設置失敗例】

スピーカーがテレビの背面にあるモデルでは、テレビの後方、すぐ近くに壁がある前提で、音が壁に当たって反射されるように設計されています。このためテレビの後方にスペースがあったり、リビングの中央にテレビを設置すると、テレビを見る場所に音が届きにくくなります。

なおテレビ後方に、カーテンなどがある場合も音の反射が弱くなり、音声が聞き取りづらくなる可能性があります。

テレビの後ろにスペースや布があり音が拡散するイメージ画像

テレビの後ろ方向にスペースや布があり、音が拡散してしまう設置の例

<解決策>
●テレビの下や後方に反射板を置く、テレビ台を買い替える
テレビのスピーカーの音が反射するように後方や下方の素材もしくは置き場所を直します。材質は、木材やプラスチックなどいくらか硬く、そして平らな物であれば、何でも大丈夫です。

もしテレビを窓際に設置しているなら、カーテンなどの柔らかい素材は音を吸収してしまいますから避けましょう。立体的で複雑な形状の物も、適切でない方向へ音を反射させてしまう可能性があるので、望ましくないと思います。テレビを買い替える前にテレビの正しい設置方法を試してみましょう。

●テレビ用スピーカー、サウンドバーを使う
テレビの設置方法を変えなくても、テレビからの音声の聞き取りを改善する方法として音響機器の追加があります。テレビ用スピーカーやサウンドバーなどの外部機器を追加することで、音質が向上し聞きやすくなります。                  

テレビ用スピーカーやサウンドバーなら、スピーカーが正面を向いているので、今のテレビの設置方法を変えず、追加で設置するだけで済みます。なお、こちらのお値段は数万円~数十万円と様々です。

 

聴力が少しだけ低下している場合の解決策

ここまでは、聴力が低下していなくてもテレビの音が聞こえにくい原因と解決策についてご紹介してきました。ここからは、聴力の低下が原因でテレビが聞こえにくい場合の解決策についてご紹介します。

テレビの音声設定を変えてみる

テレビを見る

年齢とともに聴力が下がる加齢性難聴の場合、高い音から聞きにくくなります。テレビの音質が、重低音を強調した設定になっていると聞き取りがより難しくなります。こういった場合は、音質設定を変えて高い音を強めると言葉がハッキリします。

近年のテレビの多くは、音質を自分好みに変更するイコライザー機能が搭載されています。お使いのテレビによって、音声設定のできる範囲は異なりますので、ぜひ確認してみましょう。

音の高さを変えるイコライザーがあれば高音を強めたり、低音を弱めると聞こえ方が改善される可能性があります。音量を大きくする前にぜひ試してみて下さい。

テレビの音声の聞き取りは、通常の会話より難しい
  • 私たちの日常会話は、双方向のコミュニケーションです。
  • 目の前にお友達がいれば、お互いに話しますし、聞き逃したことがあっても聞き返すことができます。
  • 対面での会話と比べて、テレビは一方通行です。テレビの出演者やアナウンサーが話した内容を聞き取るだけになるので、会話のように話してくれたことを聞き返して確認することができません。
  • また親しい友人やレジでのお買い物など、出てくる話題が予想できる対面での会話と比べて、テレビで初めて聞く人物の名前や固有名詞などを正確に聞き取ることも実は意外と難しいことなのです。

 

コミューンを使ってみる

聴力の低下が原因で、テレビの音が聞こえにくい場合、一般的なテレビ用スピーカーやサウンドバーはあまりお勧めできません。これらは基本的に健聴者を想定して作られているためです。

加齢などが原因で聞こえにくい可能性があるなら、難聴に特化した専用のスピーカーがおすすめです。

コミューンの補聴器の写真

comuoon mobile lite TV

テレビを見る夫婦の写真

例えばコミューンというスピーカーがあります。音響専門の研究者が、難聴になった自分の家族のために開発したという歴史があります。

難聴の方にとって聞きやすい音質になり、また音に指向性があるため、スピーカーが向いている方向に絞って音が届くので、聞いている本人にとっては音が大きくなりながら、周りの人にうるさくなりません。

すでに自治体や医療機関でも、その信頼性から導入が進んでおり、難聴でテレビが聞こえにくい方には特におすすめです。

 

ネックスピーカーを使ってみる

軽度難聴から中等度難聴まで進行すると、自分にとってちょうど良い音量にすると、うるさすぎてしまう場合があります。
逆に、ご家族にとってちょうど良い音量にすると、難聴の方にとっては音が聞き取れず、楽しめません。

こういった時、首にかける小型のネックスピーカーは便利です。

音は距離に応じて小さくなるため、難聴の方がネックスピーカーを使っていても、ご家族にとってはそれほどうるさい音にはならないのです。大きすぎる音を聞き続けると聴力が低下する原因になってしまうため、ネックスピーカーの長時間の利用はおすすめできませんが、補聴器よりも気軽に試してみることができると思います。

 

テレビの音声を聞くことに特化したお値打ちな補聴器&オプション機器

テレビの音声だけが聴こえにくい場合、実は補聴器も対策になります。

補聴器は一人ひとりの聴力に合わせて音質を作り出す、音のオーダーメイド品です。一般的な音響装置と異なり、耳の状態に合わせた音質になります。さらに補聴器には「テレビの聞き取りを改善させる」ためのオプション機器が、メーカー各社から発売されています。

これらオプション機器は、テレビの音声を電波で補聴器に届けてくれます。この危機を使うと、距離や周りの雑音は関係なくなり、とても良い音質でテレビの音声を聞くことが出来るようになります。

テレビ本体のスピーカーから出てくる音は大きくしなくて良いので、周りの方に、大きすぎる音量で迷惑をかけることも無くなります。

主要な補聴器メーカーであれば、テレビが聞こえにくい状況を改善させるオプション機器はどこでも生産しています。

 

【Phonak社のオプション機器の一例】

フォナック製の補聴器とオプション機器のイメージ画像
 

【シグニア補聴器のオプション機器の一例】

シグニア製の補聴器とオプションのイメージ画像

 

【スターキー補聴器のオプション機器の組み合わせの一例】

スターキー製の補聴器とオプション機器のイメージ画像

テレビの聞き取りの改善のみを目的に、補聴器とオプション機器を組み合わせて使う場合、補聴器本体には高度な機能・性能が必要ないので、補聴器本体の価格も安く抑えることができます。

この記事では、テレビが聞こえにくい原因の改善にフォーカスした事例をご紹介しましたが、補聴器を一つ持っておくと、ご家族や友人との会話も楽しみたいという気持ちになった時に便利です。

テレビが聞こえにくい方やご家族との会話について、お困りであれば、ぜひプロショップ大塚へご相談ください。

 


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補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。

たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。

なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。

※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。

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