Widex補聴器からスマートな新製品「SmartRIC」が発売されました。
2024年4月、ワイデックス補聴器から新製品SmartRICが発売されました。旧製品からデザインが刷新され指向性マイクが水平になり、騒音下での聞き取りが改善しています。
また新型のポータブル充電ケースが付属します。バッテリーを内蔵し、本体を5回フル充電できるので旅行や出張におすすめです。
新デザインで指向性マイクの性能が改善
SmartRICでは旧製品からデザインが刷新されました。今回のデザインの変更は見た目だけではなく、補聴器の機能にも大きく影響を与えています。
補聴器本体のデザイン
SmartRICではデザインが刷新されました。
これまでの耳掛け型補聴器と異なり、本体が細くスマートになっています。
この本体のカーブは人間の耳の上部のカタチに合わせて設計されており、補聴器本体の重心が低い位置になるので、補聴器を付けたまま活発に動いた時も着け心地が安定するようになりました。今まで以上に耳にぴったりフィットします。
新型マイクにより雑音下での聞こえが改善
SmartRICでは雑音と言葉を分ける機能が改善されました。
補聴器に搭載されているマイクの角度が水平になったことで、補聴器をつけた人が顔を向けている方向の音を優先して拾う機能(指向性)が働きやすくなりました。
雑音のあるところでも向かい合って会話をしたときに、周りの雑音を抑えつつ、正面の相手の声は十分な大きさで聞くことができます。
マイクの風除けカバーで風雑音が軽減
SmartRICではマイク部分にカバーがつきました。
特に、屋外でアクティブに活動する補聴器ユーザーの悩みであった、風の雑音が軽減されます。
風雑音を最大20dB減衰させられるので、風が強い日やゴルフ場などの広い場所での活動がこれまでより快適になります。
高速処理によって実現された「ピュアサウンド」
自然な音質を実現させるため、SmartRICには「ゼロディレイテクノロジー」が搭載されました。
ディレイとは日本語で”遅延”のことです。この機能は補聴器のマイクに届いた音を遅延なくレシーバから出力することで、音質を画期的に改善してくれます。
補聴器はマイクに入った音を内部のデジタルアンプ(コンピュータ)で処理し、レシーバから処理された音を出す構造になっています。
デジタルアンプ(コンピュータ)は、補聴器の利用者の耳や使用環境に合わせて、音を大きくしたり、雑音を抑制したり、リアルタイムに音の増幅量を計算して調整しています。
この計算には、どうしても6~9ミリ秒ほどの時間がかかってしまいます。
つまり通常の補聴器を使っているときの音は、ごくわずかですが遅れて聞こえているのです。
この遅延は、特に軽度難聴の補聴器ユーザーにとって問題でした。
補聴器から聞こえる人の声を機械的に感じてしまったり、補聴器から聞こえる音に集中できず言葉の聞き取りに違和感を覚えてしまうことがあり(軽度難聴に限った話ですが)、これが原因で補聴器をやめてしまう人もいました。
SmartRICに搭載された「ゼロディレイテクノロジー」では、この音の遅延を1ミリ秒以下に抑えることに成功しました。
これにより違和感の少ない自然な音として聞こえるようになりました。
従来からワイデックスの補聴器は遅延が少ないのが特徴でした。「ゼロディレイテクノロジー」が機能するSmartRICでは、さらに改善されています。
軽度難聴におすすめ
ゼロディレイテクノロジーは、補聴器が通常行っている周波数ごとの音の増幅、ハウリング対策、突然の大きな音を軽減する機能などを制限することで実現しています。強力な雑音抑制とゼロディレイは同時に使うことが出来ません。補聴器の雑音抑制機能は、内蔵されているコンピュータの働きによるものですが、コンピュータの計算に数ミリ秒の時間がかかってしまうためです。
ゼロディレイテクノロジーは音質の改善を徹底的に追求した機能です。重い難聴より軽い難聴の方にこそオススメです。
本体バッテリーの増加と新型充電ケースで、旅行や出張が快適に
SmartRICは充電式の補聴器です。付属の充電ケースと併せて最長1週間使用することができるので、旅行や出張など長期のお出かけにおすすめです。
本体バッテリーは最長35時間
補聴器本体に充電池が内蔵されており、連続使用可能時間は最大35時間となっています。
新型のポータブル充電ケース
ポータブル充電ケースは手のひらに収まる大きさで、補聴器本体を最大5回フル充電できます。
ポータブル充電ケースを販売しているメーカーはいくつかありますが、ケースと補聴器だけで1週間以上お使いいただけるSmartRICはバッテリーが最も長持ちする器種の一つです。
旅行や出張にいかない方でも、持ち運びしやすいポータブル充電ケースは便利です。
家を出る直前に「補聴器の充電を忘れた」と気づいても、この充電器があれば外出先でも充電できます。
なお補聴器本体は30分の充電で8時間ご利用いただけますから、移動中に充電すれば補聴器を一日ご利用いただけます。
ポータブル充電ケースはQi規格に対応
充電ケースの充電はQi規格に対応しています。
ケーブルを差し込む手間がなく、Qi充電台の上に充電ケースを置けば非接触で充電が可能です。
SmartRICは5つのカラー展開
新色のローズゴールドが登場しました。ハニーブロンド、シルバーグレー、テックブラック、ダークチェリーと合わせた5色のカラー展開となっています。
SmartRICには4つのクラスがあります。
ワイデックスのSmartRICは4つのクラスが同時に登場します。クラスによって、搭載されている機能が変わります。
SmartRICの機能解説とクラス別の機能表
機能名称 | 440 | 330 | 220 | 110 |
---|---|---|---|---|
ピュアサウンド™ | ● | ● | ● | ● |
トゥルーアコースティクス™ | ● | ● | ● | ● |
サウンドクラスシーン数 | 11 | 7 | 4 | 3 |
チャンネル数 | 15 | 12 | 10 | 6 |
リアルタイムスピーチエンハンサー | ● | – | – | – |
スピーチエンハンサー | ● | ● | – | – |
スマートウインドマネージャー(風雑音 減衰) | ● | – | – | – |
ロケーター | ● | ● | ● | ● |
新変速コンプレッション | ● | ● | ● | ● |
トゥルーサウンドソフトナー | ● | ● | ● | – |
トゥルーサウンドAOC | ● | ● | ● | – |
高音域 強調 | ● | – | – | – |
機能名称 | 440 | 330 | 220 | 110 |
---|---|---|---|---|
ピュアサウンド™ | ● | ● | ● | ● |
トゥルーアコースティクス™ | ● | ● | ● | ● |
サウンドクラスシーン数 | 11 | 7 | 4 | 3 |
チャンネル数 | 15 | 12 | 10 | 6 |
リアルタイムスピーチエンハンサー | ● | – | – | – |
スピーチエンハンサー | ● | ● | – | – |
スマートウインドマネージャー(風雑音 減衰) | ● | – | – | – |
ロケーター | ● | ● | ● | ● |
新変速コンプレッション | ● | ● | ● | ● |
トゥルーサウンドソフトナー | ● | ● | ● | – |
トゥルーサウンドAOC | ● | ● | ● | – |
高音域 強調 | ● | – | – | – |
ピュアサウンド
補聴器からの増幅音と、補聴器を介さない原音との到達タイムラグを減らし、ストレスの少ない自然で快適な聞こえを実現します。
トゥルーアコースティクス
個々の聞こえと装用状態に応じて補聴器の音を補正します。
サウンドクラスのシーン数
あらゆる環境下で音の変化を常に分析し、自動的により快適な聞こえを作り出します。シーン数が多いほど、よりその場に合った聞こえを作り出せます。
チャンネル数
低音域から高音域までの音をいくつに分割処理しているかを示しています。
リアルタイムスピーチエンハンサー
個々のユーザーの聴力レベルと周囲の環境に合わせて、さまざまな環境で言葉をより明瞭に聴き取りやすくしてくれます。
スピーチエンハンサー
個々のユーザーの聴力レベルと周囲の環境に合わせて、言葉を聴き取りやすくしてくれます。
スマートウインドマネージャー(風雑音減衰)
風切り音だけを軽減し、言葉を聴き取りやすくしてくれます。
ロケーター
周囲の環境に合わせて、マイクが音を拾う範囲を自動的に調整します。音の出所が分かりやすくなります。
新変速コンプレッション
状況に応じて対応スピードを変化させ、聞こえを最適化します。
トゥルーサウンドソフトナー
食器がぶつかる音などの衝撃音を和らげます。
トゥルーサウンドAOC
音の出力時に発生するひずみを事前に検知し抑えます。
高音域強調
高い周波数の音を強調することで、音楽や自然の音を豊かにしてくれます。
デジタルピナ
人間の耳介のように働き、音のする方向の特定を容易にします。
SmartRICのクラス別価格
ワイデックスのSmartRICは4つのクラスがあり、クラスによって、価格が異なります。
メーカー希望小売価格
クラス | 440 | 330 | 220 | 110 |
---|---|---|---|---|
片耳価格 | 663,000円 | 413,000円 | 313,000円 | 243,000円 |
両耳価格 | 1,133,000円 | 693,000円 | 483,000円 | 373,000円 |
メーカー希望小売価格
クラス | 片耳価格 | 両耳価格 |
---|---|---|
440 | 663,000円 | 1,133,000円 |
330 | 413,000円 | 693,000円 |
220 | 313,000円 | 483,000円 |
110 | 243,000円 | 373,000円 |
おすすめはコスパがいい220
4つのクラスの中で、特におすすめなのは220です。多くの人に必要な機能を搭載しています。
また新製品であること、円安であることなどを考慮すると、これまでのモデルと比べてかなり価格が抑えられていると思います。
SmartRICを試してみましょう。
SmartRICはより自然な聞こえを追及するワイデックスのこだわりが満載の新製品です。
SmartRICの聞こえ方や音質が気になった方は、お気軽に当店の試聴サービスをご利用ください。
【監修】
補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。