RIC耳かけ型補聴器のメンテナンス方法3種類
補聴器を快適に使い続け、故障を予防するには、日々のメンテナンスが効果的。補聴器のお手入れには、ご自分で出来ること、販売店でのクリーニング、メーカーでのメンテナンスなど、いくつか種類があります。この記事では、小型耳かけ補聴器(RIC型補聴器)のメンテナンス方法について紹介します。
自分で出来る補聴器のお手入れとクリーニング。
補聴器を購入したあと、ご自宅で補聴器のお手入れを定期的にすると、補聴器は長持ちします。
できれば毎日すること。
清潔に保つ、クリーニングクロスで拭く
補聴器を拭くときは専用のやわらかい布、ティッシュペーパーを使いましょう。
※ウェットティッシュは、アルコールが含まれているものだと、本体をいためてしまう恐れがあります。アルコールが入っていない赤ちゃん用でも水分が侵入してしまい故障の原因になります。
耳にかける形の補聴器は、汗で汚れることがあります。できるだけ毎日拭いて下さい。
就寝時は補聴器を乾燥ケースにしまう。
補聴器は精密機器です。湿気や水気に弱いため、使わない時に乾燥させておきましょう。通常、補聴器を購入すると乾燥剤入りの専用ケースがサービスで付いてきます。
補聴器を使わないときは、乾燥ケースの中に保管しましょう。
①まず電池のカバーを開ける。
電池カバーのフタを開け、中の湿気が取れるようにしましょう。
②電池カバーを開けたまま、乾燥ケースへ入れる。
補聴器を乾燥ケースへ入れたら、ケースのフタをしっかり閉めてください。フタを閉めないと、乾燥できませんし、乾燥剤の効果がすぐなくなります。
乾燥ケースによっては、フタが磁石になっているものがあります。これは取り出した使いかけの電池が無くならないように、貼っておくための工夫です。
乾燥剤が不要な電動乾燥ケース(除菌機能付き!)もあります
乾燥剤いらず、乾燥と除菌もしたい人は専用のケア用品もあります。30分で急速に乾燥・除菌ができます。
シグニア パーフェクトドライラックス (45度の熱式乾燥タイプ)
充電式補聴器をお持ちの方には、こちらがおすすめです。補聴器を充電器にセットしたまま、乾燥・除菌が一度に出来ます。乾燥時間は30分です。
WIDEX DRY CAP UV(風式乾燥タイプ)
週一回ほどのお手入れ
週一回は補聴器の耳せんにブラシをかけて、耳垢の汚れを落とすようにしましょう。
耳せんの汚れを落とす専用のブラシがあります。
上の写真にある黒い持ち手のブラシは、取り扱いが細かいのでおすすめしません。白いブラシを使ったブラッシングの方法をご説明します。
既製耳せん(やわらかいイヤチップ)の場合
ブラシをかけるときは、ブラシが下、補聴器が上になるように持ちます。補聴器の音の出口が下に向くように、しっかり持ちましょう。ブラシは動かないように片手で支えて、補聴器はもう片方の手で、力を入れずに左右に動かします。
※ブラッシングの注意1
ブラッシングの際、ブラシが上で補聴器が下になると、耳垢が耳せんの中に落ちてしまいます。必ずブラシが下、補聴器が上になるようにブラシをかけましょう。
オーダーメイド耳せんの場合
オーダーメイド耳せんの場合も、ブラッシングの方法は変わりません。ブラシをかけるときは、ブラシが下、補聴器が上になるように持ちます。補聴器の音の出口が下に向くように、しっかり持ちましょう。ブラシは動かないように片手で支えて、補聴器はもう片方の手で、力を入れずに左右に動かします。
※ブラッシングの注意2
ブラッシングの際、ブラシを上下に動かすと、耳垢を中に押し込んでしまう場合があります。ブラシは左右に動かしましょう。
2~3カ月に一回すること
補聴器ケースの乾燥剤の使用期限を確認する
乾燥剤には使用期限があります。毎日、少しずつ湿気を吸収して、最後には効果が無くなります。毎日きちんと乾燥ケースに保管しても、乾燥剤の使用期限が切れていたら意味がありません。
乾燥剤は使用期限が切れると、色が変わるなど、効き目が無くなったことが分かるようになっています。
上の画像を拡大してみると、
乾燥剤の使用期限は、忘れがちです。乾燥剤を交換したら、乾燥ケースの見える場所に、交換した日を書いて記録しておくと良いでしょう。
耳せんの先にある耳垢フィルターを交換する
小型耳かけ型補聴器(RIC型)は、耳せんの中にスピーカー(レシーバーともいう)部品が内蔵されています。このスピーカーの中に耳垢が侵入すると、よく聞こえなくなります。
耳垢の侵入を防ぐため、スピーカーの先端部分には、耳垢が奥に入らないための耳垢フィルターがついています。
この耳垢フィルターは、一般の方でも、一応は交換可能です。ただし、とても細かい作業になります。手先に自信があり、お忙しい方はご自分で交換していただき、そうでない方やご心配な方は、販売店で交換してもらうと良いでしょう。
補聴器の販売店で出来る補聴器のクリーニング
ご自宅用のお手入れ・クリーニングを代わりに行う
ここまで、ご自宅でのお手入れ方法をいくつかご紹介しました。しかし高齢で手先の器用さに自信のない方は、販売店まで足を運んでください。私たちスタッフがお客様の代わり以上に、お手入れ・クリーニングをさせていただきます。
補聴器内部まで乾燥をかける
補聴器真空乾燥機は、まず極細のバキュームで、音の出口の耳垢を直接吸い取りきれいにします。その後、真空に近い状態のカプセルに補聴器を入れることで、補聴器内部の汚れを強力に吸い取ります。
耳せんの先を洗浄する
耳せんの先端部分は、補聴器から適切に取り外すと水洗いができるようになっています。(※補聴器本体は濡れると壊れます!)
販売店では、耳せんだけを取り外して、超音波洗浄機で水洗いします。
劣化した耳せんを交換する
既製品のゴム製耳せんを使っている場合、何年も使っていると劣化、変色、変形などが起こる場合があります。耳せんの種類によって、無料のものから、数百円程度の有料のものまであります。劣化した耳せんは、交換しましょう。
補聴器メーカーでの分解掃除と点検。
保証期間内であれば、無料でできます
補聴器を購入してから2年以上、経過しているなら、年一回程度はメーカーへ分解掃除(オーバーホールともいう)に出しましょう。自動車の車検のようなもので、正常に動作するか点検してもらえます。そのとき微かでも不調が認められれば、部品を交換し、正常に動作する状態に直してもらえます。
メーカーでの分解掃除は、保証期間内であれば無料です。
保証期間終了後は、5,000円~6,000円程度の費用が発生します。
※故障部品があれば、別途部品代が発生します。
まとめ
普段、自分でやること。
・清潔なクリーニングクロスで拭く。
・毎日乾燥ケースに入れる。
一ヶ月から半年に一回程度、やること。
・お店に行ってクリーニングをしてもらう。
一年~二年に一回、やった方がよいこと。
・メーカーへ分解掃除と点検に出す。
補聴器は、ここまで紹介したメンテナンスを行っていただけると、故障が減り、より長く使っていただくことができます。