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聴力低下と難聴は別物!-年齢による聴力低下はいつから始まる?-

聴力低下と難聴は別物!-年齢による聴力低下はいつから始まる?-

聴力低下は、実は若い時から始まっています。しかし若いころの聴力低下の多くは、日常生活で困るほどではありません。日常生活で会話が聞き取りにくくなるほど聴力が下がった状態を難聴といいます。このページでは聴力低下と難聴の違いについて説明します。

聴力低下は20代から!

私たち聴覚の専門家は、お客様から「耳って何歳から遠くなるの?」というご質問をいただくことがあります。

実は、聴力低下は20代から始まってしまうのです。
この話を聞くと皆さん驚かれます。しかし実際には不安に思われるような大きな問題ではありません。
聴力が低下し始めることと、難聴によって会話が困るようになってしまうことは、全く違うのです。

女性の耳

20代から聴力が低下し始めるというのは、人生で体力のピークが20歳前後にあるのと同じことです。少しずつ体力が落ちたり、走るのが遅くなるのと同じように、耳の聞こえも少しずつ低下していきます。
この聴力の低下は、普通に生活している時には、自覚することが出来ないほど緩やかな変化です。20~30歳台の頃に聞こえにくさを感じることはほぼ無いでしょう。

聴力低下がある程度進むと難聴となり、聞こえにくさを感じるようになります。
聞こえに困るほどの難聴になってしまう年齢は、個人差が大きく、一人ひとりで全く異なり、一概に言えません。
しかし、急激に聴力が低下する年齢が55歳前後にあること、またその予防方法などは少しずつ分かってきました。

「モスキート音」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
  • モスキート音とは、周波数(音の高さ)にすると17,000Hz前後のとても高い音です。
  • 人間は概ね20Hzから20,000Hzまでの音が聞こえると言われていますから、17,000Hzはギリギリ聞こえるくらいの非常に高い音なのです。
  • 加齢による難聴では高い音から聞こえにくくなるため、聴力低下が進むとモスキート音は聞こえなくなってしまいます。
  • 都市部の大きなビルや百貨店の出入り口では、若者が集まりすぎないように不快なモスキート音を発生させる装置が設置されています。加齢で聴力低下が進んでいる場合は、モスキート音が聞こえず、不快さも感じません。

聴力低下が加速し始める年齢

聴力はある年齢を境として急激に低下します。

過去の研究では、たくさんの人の聴力を実際に調べ、年齢ごとの聴力をまとめています。

年齢別平均聴力

立木孝 他1)より引用・一部改変

このグラフは年齢ごとの平均聴力を表したものです。周波数別に、どれだけ小さい音が聞こえるかを示しています。

縦の軸は、音の大きさを意味します。折れ線が上に行くほど聴力が良く、小さな音でも聞こえ、下に行くほど聴力が悪くなり、大きな音でないと聞こえないということです。
横の軸は、音の高さ(周波数)です。右側に行くほどキーの高い音で、左に行くほど低い音です。

このグラフを見ると、年齢を重ねるにつれ、徐々に右肩下がりの線になっていくことがわかります。
つまり人間は加齢に伴い、高い音から徐々に聞こえにくくなっているのです。

年齢による聴力の低下ペースを見てみましょう。54歳までは聴力の低下は、とてもゆっくりと進んでいきます。しかし55歳以降は、比較的急速に低下していきます。
このグラフからは聴力低下が加速し始める年齢は、55歳前後にあると言えそうです。

どのくらい聴力が低下したら難聴?

聴力の低下は、年齢とともに徐々に進みます。それでは難聴になるのはどのくらい聴力が低下した状態なのでしょうか?

健康な範囲の聴力低下ではなく、会話に困るレベルまで聴力が低下した状態を、初めて難聴といいます。

”難聴”のレべルについてはWHOが定義しており、軽い難聴から重い難聴まで段階があります。

WHOによる聴覚障害のグレード
WHOの基準では、平均聴力が25dBを超えると軽度難聴になります。
分類上、もっとも軽度な最初の難聴です。軽度難聴とはどの程度の聞こえ方なのでしょうか?

軽度の難聴であれば、周りの環境にもよりますが、1m以内にいる人の言葉であれば、まだ聞き取ることができます。聞き取りづらくなるのは、小さな声や離れたところからの声、マスク越しの会話などです。
軽度の難聴でも、会議や打ち合わせの声が聞こえにくいなどの具体的なお困りごとがある方は、積極的に補聴器をお試しになる人がいます。

しかし、人との会話が少ない方の場合、軽度難聴くらいだと、普段の生活では難聴に気づかない方もいらっしゃいます。

WHOが分類している難聴の度合い2)と先ほどの年齢別平均聴力と見比べてみましょう。
先ほどの年齢ごとの聴力グラフでは、70歳台後半頃には平均聴力が25dBHLを超えていました。
つまり個人差はありますが、70歳台後半を迎えた多くの方は、軽度難聴と呼ばれる状態になっているようです。

WHO聴力表の平均聴力レベルとは?
  • ここで書いてある平均聴力レベルは、健康診断で簡易に測定した聴力とは異なります。
  • 平均聴力レベルは、耳鼻咽喉科の検査室で正確に聴力を検査した結果に基づいたものです。
  • 耳鼻咽喉科の検査では、さまざまな周波数で、聞こえるか聞こえないかのギリギリの音量を測定します。その中から、会話を聞き取るのに重要な周波数を使って、計算されるのが平均聴力レベルです。
  • 日本では一般的に、500Hz,1000Hz,2000Hzの3周波数の聴力から算出しますが、WHOの基準では4000Hzの周波数も加えて計算しています。
  • 英語などでは「s」や「th」などの高い音の聞き分けが重要となるので、4000Hzの周波数も重視しているのかもしれません。
  • 平均聴力の計算方法はこちらをご覧ください。
  • 難聴レベルってなに?聴力検査の結果(オージオグラム)の見方

耳は戻らない消耗品。若い頃から大切に

病気やケガが原因の難聴は、治療で治る可能性があります。
しかし加齢による聴力の低下は、元通りに戻すことはできません。
そのため聴力を保ち、難聴を予防することが重要になります。

聴力の低下は生来の体質も影響しますが、人生の長い年月の過ごし方が大きな影響を与えているようです。

近年、WHOは聴力低下の予防として、騒音を避ける必要性を訴えています。
これは聞いている音の音量と、音を聞いている時間のかけ算で、耳が受けるダメージが変わってくると分かってきたためです。

具体的な例では、毎日の通勤で聞く交通騒音も、長年聞き続けると耳へのダメージになってしまいます。

対策として、電車やバス、オートバイに乗る時は耳栓を使って交通騒音を避ける。毎日イヤホンで音楽を聞くなら、音量を必ず50%以下にすることなどが推奨されています。

こういった対策を40歳以下の年齢からしっかり続けていけば、聴力低下のスピードは抑えられると考えられています。

最近は聴力低下が早く始まっている!?

聴力低下の予防方法が少しずつ分かってきたのは最近のことです。今から予防を始めても、世の中全体で効果が表れるのは何年か先の未来のことになるでしょう。

それでは現在を生きる私たちの聴力はどうなっているのでしょうか。

2021年の5月に年齢と聴力の変化に関する最新(2021年10月現在)の研究3)が発表されました。
この研究は、年齢や性別ごとの聴力を、長年に渡って追跡調査したものです。その中に気になる内容がありました。

10才から49才までの方の平均聴力を、2000年から2010年までと、2011年から2020年までの期間で比較したとき、直近の10年間の方が昔より低下していたのです。
この結果は、最近の若い人は、昔の若い人より聴力低下が早く始まっている可能性を示しています。

現代人の聴力低下の速度が早まった原因は、大きな音を聞き過ぎているためではないかと言われています。

電車内でイヤホンをして音楽を聴く若者

最近は通勤・通学中に、イヤホンで音楽を大音量にして聞いている方も多くいらっしゃいます。このまま大きな音を日常的に聞き続けてしまうと、聴力が低下して難聴になってしまう年齢が、どんどん早くなってしまう危険性があります。

繰り返しになりますが、聴力を守るために若い時からの予防をぜひ心掛けてください。

最後に

加齢による聴力低下の進み方は、生来の体質や人生の過ごし方によって一人ひとり全く違います。
もし聞こえに関する困りごとを感じたら、ぜひ専門家にご相談ください。

現在、聞こえに関する困りごとを感じない方も、ぜひご自分の耳を大切にして、騒音を避け耳栓を使ったりしてください。自分の耳でよく聞こえる生活を長く楽しめますよ。

引用・参考文献

1)立木孝他,「日本人聴力の加齢変化の研究」,『AUDIOLOGY JAPAN』, 2002, 45 巻, 3 号, p.241-250

2)World Health Organization,Report of the Informal Working Group on Prevention of Deafness and Hearing Impairment Programme Planning, Geneva, 18-21 June 1991,https://apps.who.int/iris/handle/10665/58839(最終アクセス日2021.10.12)

3)Koichiro Wasano他,「Patterns of hearing changes in women and men from denarians to nonagenarians」,『The Lancet Regional Health – Western Pacific』,2021,Volume 10, May 2021, Pages 100152


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私が書きました

森谷大地 写真

森谷 大地
【言語聴覚士】

コミュニケーションにお困りの方に寄り添える仕事を目指し、2012年に言語聴覚士免許取得。8年間の病院勤務にて聴覚障害の領域などを担当。難聴の方の聞こえを改善するため、補聴器を専門にして働きたいと考え、2020年プロショップ大塚に入社。耳鼻咽喉科での勤務経験を活かし、さまざまな情報や知識を分かりやすくお届けすることを心がけています。

保有資格:言語聴覚士

補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。

たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。

なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。

※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。

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