シグニア補聴器から新製品「IXシリーズ」登場。にぎやかな場所でしっかり聞こえる?


2023年11月、補聴器メーカーシグニアから、新製品「IXシリーズ」が発売。
2025年11月にはシグニア初の小型オーダーメイド充電式補聴器「Insio Charge&Go CIC IX」が登場しました。
補聴器を着けても目立たず、電池交換不要な充電タイプなので取り扱いも楽ちんです。
この記事では、IXシリーズの機能と各モデルのオススメポイントを紹介します。
騒がしい場所でも会話への集中を補助:2つのロックオン機能
補聴器にはいろいろな場面での会話に対応できるように、雑音を取り除く様々な雑音抑制機能が搭載されています。
シグニアの最新シリーズ「IXシリーズ」は、世界初のロックオン機能を搭載し、複数の相手の言葉を追いかけ、会話をすみずみまで正確に再現します。
①聞き取りを妨げる音を減らし、声を追いかけ会話を補足する「スピーチロックオン機能」
多人数で会話するとき、従来の補聴器は広い守備範囲(フォーカスする角度)で複数人の音声を拾っていました。
守備範囲が広いため、自分にとって興味のない距離が遠い人の声や守備範囲内で発生した雑音も入ってしまうのです。

広い守備範囲では、多人数の会話が聞き取れるものの、必要のない余計な音を拾ってしまいます。逆に守備範囲を狭めると、雑音は減らせるものの、全員の声が拾いきれないという問題がありました。

新発売のIXシリーズではスピーチロックオン機能を搭載することで、全員の声を追跡し守備範囲としつつ、余計な音を拾わないことができるようになりました。
前後左右に関係なく、音声の方向にいる話している人を検出し、守備範囲とします。1人だけでなく複数人の声に反応して1人1人をフォーカスし、しかも発言者が移動しても守備範囲の角度は発言者の動きを追跡します。
そして音声が無い方向の音は強力に抑えるため、余計な音を拾いません。

②言葉のすみずみまで余さず取り込む「ワードロックオン機能」
IXシリーズでは、スピーチロックオン機能で余計な音を拾わないようにするだけでなく、拾った声をよりクリアに聞き取りやすくする「ワードロックオン機能」が搭載されています。
従来から、補聴器には難聴者の聴覚に合わせて音質を調整する機能がありました。
具体的には、聞き取れない小さな音はたくさん増幅し、元々聞こえる音や大きすぎて不快に感じる音に対しては音量を増幅しない機能です。これは「聴覚に合わせて音を圧縮する」と言われています。
この圧縮機能は必要不可欠なのですが、人の言葉を聞いたときに「分かるけど、不自然さを感じる」という避けられないデメリットがあります。
IXシリーズのワードロックオン機能では、このデメリットの解消を目指しています。
人の言葉が聞こえてきた瞬間のみ、一時的に圧縮を弱めることで、言葉の一文字一文字のツブの不自然さが、従来の補聴器よりも解消されているのです。
この機能には、他の効果も期待されています。補聴器を使いこなせるようになるまでの期間の短縮です。
補聴器を初めて装用した人は、聞こえ方が変化します。そのため、補聴器の音に慣れるには数週間程度の時間が必要と言われてきました。
ワードロックオン機能が上手く作用すれば、言葉の音声信号が圧縮でつぶされずに済みます。これは「元々記憶している音と近い」と感じる可能性があります。




ワードロックオン機能とスピーチロックオン機能の効果を調べるため、この2つの機能の有無で、騒音のある場所での聞こえ方を比較する試験が行われました。機能をONにすると、OFFのときと比べて聞き取りが25%*¹向上することが確認されています。
*¹ 2023年WSオーディオロジーグループ調べ
IXシリーズ、各モデルの特徴・おすすめ
IXシリーズは、形や装用感によって向いているシーンが異なります。
ここではそれぞれのモデルの特徴と「どんな方に向いているか」をまとめました。
シグニア初!小型オーダーメイド耳あな型にも充電式が登場!
【充電式】小型オーダーメイド Insio Charge&Go CIC IX

Insio Charge&Go CIC IX
本体と充電ケース

Insio Charge&Go CIC IXを
装用した様子
サイズが小型で補聴器を使っていても、外からはほとんど分かりません。
その小ささにも関わらず、充電式のため電池の交換が必要なく、取り扱いが簡単です。
目立たなさと取り扱いの簡単さを両立したシグニア初の充電式で小型のオーダーメイド耳あな型補聴器です。目立たなさと簡単さのいいとこ取りを期待される方におすすめです。
また騒がしい場所での聞こえについては、前方の声を集中して聞きやすくする「ワンマイク指向性」を搭載しており、小型サイズなのにしっかりサポートしてくれます。
(2025年11月発売)
【電池交換】オーダーメイド耳あな型 Insio ITC/ITE IX

Insio ITC IX本体

Insio ITC IXを装用した様子
標準サイズの耳あな型補聴器です。
指でつまみやすく、付け外しが簡単で、取り扱いの簡単さをご希望の方におすすめです。
また雑音を抑制する機能については、二つのロックオン機能をしっかり搭載可能です。
カラーはベージュ、ブラックの2色展開です。
(2025年5月発売)
【電池交換】極小オーダーメイド Insio CIC/IIC IX

Insio IIC IX本体

Insio IIC IXを装用した様子
IXシリーズの中で、もっとも小さいタイプです。
とても小さいサイズなので、この補聴器を使っていても他の人からはまったく見えず、気付かれません。
いつまでも若い気持ちで、身だしなみをパリッと整えていたい人におすすめです。
騒がしい場所での聞こえを助ける「ワンマイク指向性」を搭載しています。
(2024年5月21日発売)
IXシリーズには2種類の既製品の耳あな型補聴器が存在します。
既製品はオーダーメイド品と異なり、ご来店いただいた当日にご試聴いただけるのが特徴です。
【充電式】すぐに試せる既製品耳あな型 Silk Charge&Go IX
【充電式】すぐに試せる既製品耳あな型 Active IX
取り扱いがシンプル・親切な耳かけ型モデル
【充電式】取り扱いが改善!バッテリー長持ち! Pure Charge&Go BCT IX

Pure Charge&Go BCT IX
本体と充電ケース

Pure Charge&Go BCT IXを
装用した様子
IXシリーズの耳掛け型の中では最新モデルになります(2025年11月時点)。
日常の取り扱いに関する親切な機能が多数アップグレードされました。
電源オンが一目見てわかるLEDライトが搭載されました。補聴器を耳から外したときのスイッチの切り忘れが無くなります。
またバッテリーが大型化され、補聴器単体だけで54時間、充電ケースと合わせれば1週間を超える驚異のバッテリー性能になりました。
取り扱いの簡単さを期待される方、補聴器の充電を忘れてしまいそうな方、旅行が多い方におすすめのモデルです。
(2025年11月発売)
【充電式】高度・重度難聴対応!Motion Charge&Go IX

Motion Charge&Go IX
本体と充電ケース

Motion Charge&Go IXを
装用した様子
高度・重度の難聴に対応したパワー型の耳掛け型補聴器です。
これまで高度・重度難聴用の補聴器はバッテリーの電流・電圧などの関係で電池交換式ばかりでした。
ついに技術革新が追いつき、高度・重度難聴の方でも充電式の耳掛け型補聴器をお選びいただけるようになりました。
高度・重度の難聴の方で、充電式補聴器を使って電池交換の手間から解放されたい方はぜひ試してみて下さい。
(2025年11月発売)
【充電式】定番モデル Pure Charge&Go IX

Pure Charge&Go IX
本体と充電ケース

Pure Charge&Go IXを
装用した様子
IXシリーズの耳かけ型で、最も売れている定番モデルです。
機能もフルで搭載されており、IXシリーズの聞こえの改善機能をご利用いただけます。
初めて補聴器を体験される方、安心・安全な定番モデルを選びたい方におすすめです。
(2023年11月発売)
【充電式】耳への着け心地が心地いい Styletto IX

Styletto IX本体と充電ケース

Styletto IXを装用した様子
耳に装着したときの着け心地を優先してデザインされたのがStyletto IXです。
細長くスリムな形状は、耳の後ろの狭いスペースにキレイにおさまります。
またStyletto用充電ケースは、とてもコンパクトなので持ち歩きにも便利です。
着け心地を優先する方、メガネと耳掛け型補聴器を同時に使いたい方、耳が小さい方におすすめです。
(2024年11月発売)
IXシリーズのクラス、機能、価格
IXシリーズは5つのクラスで発売中
IXシリーズは5つのクラスがラインナップされています。
| 7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX | |
|---|---|---|---|---|---|
| ワードロックオン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| スピーチロックオン*1*2*3 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| ダブルプロセッサー*2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| モーションセンサー*4 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| OVP機能*1*5 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| ビーム指向性*1*2*3 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| ワンマイク指向性*6 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| スピーチフォーカス*2*3 | 〇 360° |
〇 前後 |
ー | ー | ー |
| 音質調整のチャンネル数 | 20ch | 18ch | 16ch | 12ch | 8ch |
| 突発音抑制 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
| 風雑音抑制 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 反響音抑制 | ◎ 自動 |
〇 | ー | ー | ー |
| 12kHz広帯域 | 〇 | ー | ー | ー | ー |
| 7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX |
|---|---|---|---|---|
| ワードロックオン | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| スピーチロックオン*1*2*3 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| ダブルプロセッサー*2 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| モーションセンサー*4 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| OVP機能*1*5 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| ビーム指向性*1*2*3 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー | ワンマイク指向性*6 |
| 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
| スピーチフォーカス*2*3 | ||||
| 〇 360° |
〇 前後 |
ー | ー | ー |
| 音質調整のチャンネル数 | ||||
| 20ch | 18ch | 16ch | 12ch | 8ch |
| 突発音抑制 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
| 風雑音抑制 | ||||
| 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
| 反響音抑制 | ||||
| ◎ 自動 |
〇 | ー | ー | ー |
| 12kHz広帯域 | ||||
| 〇 | ー | ー | ー | ー |
各機能の解説
・ワードロックオン
1つ1つの音が持つ音波を分析して正確に再現する。
・スピーチロックオン
複数の動く人の声を判別・追跡することでより聞きやすくする。
・ダブルプロセッサー
言葉と環境音を別々に処理、楽に聞き取れる。
・モーションセンサー
モーションセンサーがユーザーの状態(運動・静止等)を判別する。
・OVP機能
「自分の声」と「周囲の声」を判別し「自分の声」を快適にする。
・ビーム指向性
両耳装用で正面の音だけをフォーカスする。
・ワンマイク指向性
両耳装用で正面の音にフォーカスする。
・音質調整のチャンネル数
聞こえの帯域を複数に分割、より細かい調整が可能。
・突発音抑制
突発的に響くような衝撃音を抑制する。
・風雑音抑制
風雑音を抑制する。
・反響音抑制
ワンワン響く反響音をしっかり抑える。
・12kHz広帯域
12kHzまでの高音域を出力、より豊かな音色を実現する。
IXシリーズのクラス別価格表
IXシリーズは、補聴器のカタチ・デザインが違っても、クラス・機能が同じなら原則同じ価格になります。オーダーメイドで一人一人に合わせて作る耳あな型補聴器も同価格です。(※Pure Charge&Go BCT IXをのぞく。)
| クラス | 7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX |
|---|---|---|---|---|---|
| 片耳価格 | 610,000円 | 410,000円 | 270,000円 | 220,000円 | 170,000円 |
| 両耳価格 | 1,220,000円 | 820,000円 | 540,000円 | 440,000円 | 340,000円 |
| クラス | 片耳価格 | 両耳価格 |
|---|---|---|
| 7IX | 610,000円 | 1,220,000円 |
| 5IX | 410,000円 | 820,000円 |
| 3IX | 270,000円 | 540,000円 |
| 2IX | 220,000円 | 440,000円 |
| 1IX | 170,000円 | 340,000円 |
| クラス | 7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX |
|---|---|---|---|---|---|
| 片耳価格 | 630,000円 | 420,000円 | 280,000円 | 230,000円 | 180,000円 |
| 両耳価格 | 1,260,000円 | 840,000円 | 560,000円 | 460,000円 | 360,000円 |
| クラス | 片耳価格 | 両耳価格 |
|---|---|---|
| 7IX | 630,000円 | 1,260,000円 |
| 5IX | 420,000円 | 840,000円 |
| 3IX | 280,000円 | 560,000円 |
| 2IX | 230,000円 | 460,000円 |
| 1IX | 180,000円 | 360,000円 |
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IXシリーズは、騒がしい場所で会話に集中できるような機能が充実した補聴器です。
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【監修】
大塚補聴器を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。
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