中耳炎経験者が補聴器を考えた時に気をつけること
中耳炎で手術を受けた方は注意が必要です
人生で一度は中耳炎を経験したことがある人は少なくありません。中耳炎が原因で難聴になった方が補聴器を試すとき、通常の加齢性難聴とは異なる注意点があります。耳の穴の形状変化、中耳炎が再発する可能性、補聴器に必要な機能と値段。これらが大きく変わってきます。
治療が完全に終わってるか?治療による改善の可能性が無いことの確認
治療で回復すれば補聴器は不要
補聴器は難聴の方が使うものですが、難聴の中には、治療で回復する場合があります。
中耳炎が原因の難聴は、治療で改善する可能性がもっとも高い難聴です。特別な理由がない限り、基本的には補聴器の前にまず治療することがおすすめです。
中耳炎といっても、急性中耳炎、慢性中耳炎、滲出性中耳炎、真珠腫性中耳炎など、数多くの種類があります。1~2週間程度の短期間で治る中耳炎もあれば、治療に数カ月の時間がかかる中耳炎もあります。時間がかかる中耳炎の多くは、慢性中耳炎と呼ばれます。
特別に急ぐ理由がない限り、補聴器を購入するのは、耳の治療を先に完了させるのが良いでしょう。急いで補聴器を購入しても、治療で回復した場合、補聴器が不要になってしまう可能性があります。
なお中耳炎の治療が完了しても、聴力が完全には回復しない場合もあります。特別な事情がなければ、聴力の回復が見込めないとわかってから補聴器を始めても遅くありません。耳鼻科医のアドバイスに従ってから始めることをおすすめします。
慢性中耳炎で、治療の完了を待たずに、補聴器を使い始める場合の注意点
耳あな型補聴器とRIC補聴器は、耳だれで補聴器が壊れる可能性あり。
慢性中耳炎で耳だれなどの症状を繰り返す方は、耳の中にレシーバーなどの部品が入る耳あな型補聴器や小型耳かけ型補聴器(RIC)だと、機械が壊れてしまう可能性があります。
耳だれが出ている状態でも、故障する可能性が低い補聴器はあります。標準タイプの耳かけ型補聴器です。これは耳の外にすべての電気部品が収まっています。音の出口である耳せんの部分は、ゴムやアクリル樹脂で出来ています。そのため、この部分が汚れたとしても、補聴器本体の電気部品は痛みません。
中耳炎の治療をしても、聴力が回復しなかったら?
中耳炎による難聴は、中耳炎の治療で回復することが多くあります。しかし、中耳炎の治療が完了しても、聴力が改善しないケースもあります。
この場合は耳鼻科の医師にアドバイスに従って、補聴器を使い始めることになります。
中耳炎のみが原因なら、安い補聴器でも対応できることが比較的多い。
ケース1:中耳炎の後遺症としての難聴
一つ目の例は、中耳炎の治療をして炎症などの病気が治っても、後遺症として難聴が残るケースです。
このケースでは、比較的価格が安い補聴器でも十分に聞こえの効果が得られる可能性が高いです。価格が安い補聴器というのは、下記の機能が少ない場合が多いです。
価格が安い補聴器というのは、下記の機能が少ない場合が多いです。
・言葉以外の雑音を自動で抑制する機能
・音質をきめ細かく微調整する機能
・人の言葉のメリハリを強調する機能
上記の機能は、もちろんあった方が便利で快適です。加齢性の難聴の場合は、とても大きな助けになる機能です。しかし中耳炎の後遺症のみが原因の難聴では、これらの機能を必要としないケースが多く、結果的にお値打ちな補聴器でも十分に便利な生活を送れる方が多いです。
混合性難聴なら、加齢性難聴と同じ対策になる。
ケース2:中耳炎以外が原因の難聴が隠れている
中耳炎の治療が完了しても、聴力が回復しない場合、その原因は中耳炎の後遺症だけとは限りません。中耳炎に隠れて、気付いていなかった老化による加齢性難聴(老人性難聴ともいう)が、いつの間にか進行していたというケースです。
このケースの対策は、一般的な難聴です。中耳炎の治療完了後に、補聴器の購入を検討していただくと良いと思います。
中耳炎の術後耳だと、耳型採取で注意が必要
補聴器の形は、耳かけ型と耳あな型があります。
どちらであっても、補聴器を作る際には、耳の穴の形に合わせる為に、耳の穴の型を採取することがあります。
一般的な難聴で、この耳型採取に失敗することは、ありません。しかし中耳炎の治療で、耳の手術を受けた覚えがある方は、注意が必要です。
耳の手術を受けている方の一部には、外から見えない耳の穴の奥の方(外耳道)の形が、変形している場合があります。
上のイメージ画像のように、耳の穴の奥が広がっている方の耳型を取ろうとすると、型用の印象材が、奥で広がってしまい、粘土が固まった後に外せなくなってしまう場合があります。
※手術の方法によって外耳道の変形がない場合もありますが、耳型採取の際は耳鼻科医に診てもらう必要があります。
耳の手術を受けた経験がある方が、補聴器の相談をする場合、耳鼻科医に外耳道の変形がないか診てもらいましょう。
過去に手術を受けた耳鼻咽喉科が、もっとも確実だと思います。もし遠方であったり、すでに閉院されているなら、補聴器について詳しい耳鼻咽喉科を選びましょう。「補聴器適合判定医」や「補聴器相談医」という資格を持ったドクターがいる病院の補聴器外来であれば、スムーズに対応してくれると思います。
中耳炎経験者が補聴器を始めるなら“オトスキャン”設置の補聴器店がおすすめ
オトスキャンは、世界初の3Dデジタルイヤスキャナーです。レーザーを用いて、非接触で耳の形状を立体的に撮影することが出来る装置になります。
これによってオーダーメイドの耳あな型補聴器やオーダーメイドの耳せん(イヤモールド)お作りする際、お客様への負担を減らすことが出来るようになりました。
耳の病気やケガの経験者の方には今まで以上に安全になり、より良い着け心地の補聴器が作れるようになりました。
中耳炎の治療が終わっていて、補聴器をご検討の場合は、オトスキャン設置の補聴器店にご相談ください。
2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様の耳に合った補聴器をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器と難聴について、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。
保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者
★ Twitter はじめました。耳の話を真面目に書いてます! : @mimi_otsuka