補聴器から聞こえる異音の種類一覧、ハウリング、マイクノイズなど。
調整が適切ではない補聴器を耳につけると「サー」「ピー」「ザザザザ」など、通常なら聞こえない変な音が聞こえる場合があります。このよく分からない音の原因と対策をご紹介します。
ハウリングによるピーピー音(フィードバックともいう)
原因
補聴器を使っていると、ピー!という音が聞こえる場合があります。これはハウリングとか、フィードバックとか呼ばれる現象です。耳せんにすき間が多いと、このハウリングは起こりやすくなります。
補聴器は、マイク(マイクロホン)に入ってきた音を、アンプで増幅して、スピーカー(レシーバー)から出します。この時、スピーカーから出てきた音が、すべて鼓膜に届いてくれることが理想です。
しかし実際には、音が耳せんのすき間から、耳の穴の外に漏れてしまうことがあります。音が外に漏れると、その音は再びマイクに入ります。
マイクに入った音が、また増幅され、スピーカーから出てきて、隙間から外に漏れ、またマイクに入る。この音がぐるぐる回ってしまうと「ピー!」という音が発生します。
この音がぐるぐる回ってしまう現象を、ハウリングとかフィードバックと言います。
耳せんにすき間が多いと、このハウリングは起こりやすくなります。
対策
■耳せんが原因の場合
基本的な対策は、耳せんが自分の耳の穴の大きさに合っているかの確認になります。もし耳せんのサイズが、小さければ、耳せんのサイズを変更します。
■取り扱いがうまくできていない場合
ご本人の取り扱いがうまくできていない場合もあります。補聴器は、耳の奥まで入れて、正常によく聞こえるように調整されています。しかし人によっては、補聴器を耳の穴に対して浅く入れて使う方もいらっしゃいます。取り扱いについて、もし自信がなければ、専門店に相談して確認してもらいましょう。
最後に、補聴器を耳に入れたり出したりする最中に「ピー!」という音が発生してしまう場合についてご説明します。補聴器を耳の穴に出し入れする途中のハウリング音を防ぎたい場合は、ご本人の取り扱いで対応していただくことになります。
耳の穴に入れる前には、補聴器のスイッチを切っておきます。耳の穴にしっかり入れた後に、スイッチを入れるという取り扱いです。補聴器を外す際には、最初にスイッチを切っていただき、そのあとに補聴器を外してください。
過剰なマイク感度や過剰な音の増幅によるマイクノイズ
原因
補聴器に限らず「マイク」という機械装置は、周りが無音だったとしても、実はわずかな信号を発生させています。これはマイクノイズと呼ばれ、補聴器に限らず、すべての音響機器に共通した現象です。
補聴器のマイクは、スマホやカラオケのマイクと比べても、小さな音に対して、特に感度が良い部品を採用されています。
補聴器は「難聴の方が使うもの」という性質上、マイクノイズの対策よりも、言葉がハッキリ分かることに重きを置いて開発されています。ある程度より重い難聴の方だと、マイクノイズが発生していても、それが聞こえないからです。
近年、軽い難聴の方が補聴器を使う場面が、とても増えてきたため、軽い難聴の方が補聴器を使うと、マイクノイズが聞こえてしまう場合があります。
対策
■補聴器を購入済みの方の場合
補聴器の調整で直します。言葉の聞き取りに影響しない範囲で、マイクの感度を少しだけ低下させると、マイクノイズも軽減します。
■まだ補聴器を購入していない方
補聴器のメーカーを選ぶ際に、聴力に合わせて適切な感度のマイクの補聴器を、お選びすることが良いでしょう。
実は聞こえることが正常な生活音(家電のモーター音)
原因
私たちの生活環境は、静かな場所で誰とも話してなくても、無音ではありません。
実は、耳のいい人なら、自然と聞こえている環境音がたくさんあります。
例えば、エアコン、冷蔵庫、パソコンなどのモーター音、これらは耳の良い人なら、常に聞こえている音です。耳の良い人は「聞こえることが当たり前」の状態で24時間、普通に生活しています。そのため無意識に無視しています。
難聴になった方が、補聴器を初めて使った時には、これら生活環境の音を久しぶりに聞くことになります。そのため、最初の一週間程度は、とても気になってしまうことがあります。
先の例では、家電のモーター音を上げましたが、そのほかにも、換気扇の音、ポケットの中に入れているキーホルダーのカチャカチャ音、屋外の虫や鳥の鳴き声などが聞こえると、補聴器の初心者の方は、少し驚くことがあります。
対策
聞こえることが正常な生活音であっても、補聴器を使うご本人が不愉快を感じるなら、それは問題です。よくわからない音が聞こえて、驚いたり不愉快を感じた時は、どこから、何の音が聞こえているのか、探してみましょう。
まず、どこから音が発生しているのか確認しましょう。
音がするのは家の中だけなのか、家の中でも特定の部屋や場所なのか。その近くに、コンセントがつながった機器類が置いていないか。もし家電や換気扇、エアコンなどがあるなら、補聴器を着けたまま、その機械に近づいてみましょう。
音の発生源を探して、それが見つかると、多くの方は「聞こえて当たり前」ということに気付き、不安や不快感を感じにくくなります。
これは耳の良い人なら、聞こえていて当たり前の生活音だけに限った対策です。不愉快さが気になる場合は、すぐ専門店にご相談ください。
故障
原因と対策
補聴器が故障したために、異音がすることもまれにあります。
補聴器を長年使った結果による経年劣化の故障では、多くの場合、音が出なくなったり、音が小さくなったりします。
しかし補聴器の初期不良による故障では、症状として異音が出る場合がまれにあります。
補聴器の故障は、私たち専門家が実物をお預かりして、お調べして、初めて原因が確認できます。
補聴器の音に違和感を感じたら、お早めに補聴器の専門家にご相談ください。
2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様の耳に合った補聴器をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器と難聴について、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。
保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者
★ Twitter はじめました。耳の話を真面目に書いてます! : @mimi_otsuka