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突発性難聴の症状は仕事や生活へどう影響する?対策と経済的支援


突発性難聴の症状は仕事や生活へどう影響する?対策と経済的支援

突発性難聴は、原因不明の病気です。急に難聴になる病気はいくつかありますが、原因不明の難聴のことを突発性難聴と呼びます。突発性難聴と診断されると、不安を感じることもあると思います。この記事では突発性難聴の治療が終わった後、聴力が元通りには回復せず重い難聴が残った方のために、仕事と生活への影響とその対策をご紹介します。

【目次】

突発性難聴になった方で、元通りに回復する人は40%ほど、60%は難聴が残る。

厚生労働省の情報によると、突発性難聴は発症してから一週間以内に適切な治療を受けた場合、40%は完治します。50%の方は改善しつつも、元通りにはなりません。10%ほどは、治療の効果が見られないようです。これは発症してから一週間以内に適切な治療を受けた人の場合です。仕事などの予定のために、すぐに治療を受けられない人も少なくありませんから、突発性難聴の後遺症で困っている人は大勢いると思います。
米国のガイドラインによると、病院での治療が一段落しても難聴が残る場合は、残った聴力を活かし、様々な方法で生活の不便を補うことが推奨されています。対策は様々あるのですが、片耳だけが突発性難聴になった場合と、両耳とも聞こえにくくなった場合で対策が大きく異なってきます。
本記事では、少なくても片耳に、高度または重度の難聴がある方に役立つ対策をご紹介していきます。軽度難聴または中等度難聴の方は、早めに補聴器を使ってみると効果的です。

参考:突発性難聴について | e-ヘルスネット(厚生労働省)臨床診療ガイドライン:突然の難聴

片耳が突発性難聴になった場合、困るのは人が多い状況。

基本は突発性難聴にならなかった良い耳(良聴耳)を最大限に活用すること。

突発性難聴は、片方の耳のみ発症することがほとんどです。残った方の良い耳を活用していくことになります。なお左右の耳を比べて、聴力が良い方の耳を良聴耳、聴力が悪い方の耳は悪聴耳といいます。

困る状況と対策①聞こえない側(悪聴耳)から話しかけられると言葉が分からない。

うるさくない場所でも聞こえない側(悪聴耳)から話しかけられた場合、相手の声が小さく、また極端に分かりにくくなることがあります。たとえば美容院や歯医者などでの会話は、相手の話しかけてくる角度によって聞こえなくなります。この原因は相手と自分の角度によって、自分の頭そのものが障害物になり相手の声(音)が良聴耳に届きにくくなるためです。
悪聴耳から話しかけられた声が、良聴耳に届くまでに、どれくらい音が小さくなるか数値で表すと最大15㏈です。これは距離4m分にもなります。頭という障害物の影響は意外と大きいのです。

左耳が突発性難聴の場合、右耳だけで聞くので声・音が小さくなり聞こえにくい。

左耳が突発性難聴の場合、右耳だけで聞くので声・音が小さくなり聞こえにくい。

対策:頭の向きや角度を工夫しましょう。
基本的に良聴耳側がよく聞こえていれば、相手の口から悪聴耳までの距離が70㎝程度なら、およそ聞こえるはずです。聞こえにくい時は距離を縮めて試してみましょう。
自分の頭の向きや角度を変えて、相手の口に自分の良聴耳を少しだけ近づけます。このとき頭が障害物にならなければ十分ですから、極端に良聴耳を相手の方向に向ける必要はありません。自分が、相手の顔を見やすい範囲で、角度を調節してみて下さい。

話す人の口元を見る効果は大きい。
  • 相手の表情や口元の動きが内容のヒントになります。難聴の方を対象とした研究ではありませんが、にぎやかなところで相手の口元をみて会話することで30%も聞き取りがよくなったという結果が出ています。
  • 参考:音節明瞭度と単語了解度に及ぼす視・聴覚の統合効果

困る状況と対策②にぎやかな場所で言葉が聞き取れない。

片耳が突発性難聴になっても、静かな環境で正面から話しかけられるときは、ほとんど聞こえると思います。しかし周囲がにぎやかな場所では急に聞き取りが悪くなります。たとえば満席のファミレスや喫茶店、街中の人が多い路上での会話です。

混雑しているレストランでは聞き取りにくい

混雑しているレストランでは聞き取りにくい。

突発性難聴になる前は、にぎやかな場所でも、ある程度言葉が聞き取れていたと思います。にぎやかな場所で言葉が分かるのは、脳が無意識に左右の耳を使い分けるからです。人間は騒音の発生源が右側にあれば、左の耳で言葉を聞き、この逆に騒音の発生源が左側にあれば、右の耳で言葉を聞いています。

対策1:ちょっとだけ静かな環境を選びましょう。
親しい友人と会うときに店を選ぶなら、広くてにぎやかなファミレスより、喫茶店の方が静かなことが多いです。基本的に、狭い小規模な店ほど静かです。
居酒屋の場合は、壁のないオープンな広い空間のある店を避けましょう。もし可能なら個室のある店、もしくは小さな店舗で他のグループ客が少ない店を選びましょう。
混雑しているレストランより、静かな喫茶店を選びましょう。

対策2:路上では自分の立つ位置を選びましょう。
路上で人と一緒に歩くときは、良聴耳を相手に向けるよう、位置を調整しましょう。もし難聴を隠したいのでなければ「片耳が聞こえにくいから、こっち(良聴耳側)に立って欲しい」と積極的に伝えてみて下さい。相手が覚えてくれるとは限りませんが、多くの人は協力してくれると思います。
なお路上で友人や家族と二人並んで歩いているときに、良聴耳を相手に向けていても話している内容が分からなかったとしたら、それは突発性難聴が原因ではなく、耳の良い人でも聞き取れないと思います。過度に心配なさらないで下さい。

困る状況と対策③急に悪聴耳の方向から話しかけられると、言葉が分からない。

アパレルショップやドラッグストア、百貨店の店員など、接客業で働く方は、急にお客様から話しかけられることがあります。ここまでに紹介した対策が使えない状況では、補聴器が有効です。

対策:片耳難聴専用のクロスを使いましょう。
悪聴耳の聴力が残っていれば、悪聴耳に普通の補聴器を使って聞き取りの改善を目指すことになります。もし悪聴耳の聴力があまり残っていない場合は、クロス(送信機)を使うと有効です。クロスは悪聴耳側の音声をマイクで拾い、良聴耳に着けた補聴器に電波で送信します。これにより、悪聴耳側の音声を良聴耳で聞き取ることが出来ます。悪聴耳側にだけ補聴器を着けても効果がない方に有効です。
聞こえない側の音を聞き取りたいときは片耳難聴専用のクロス補聴器

悪聴耳側から何度も声をかけられる場面が多い方にメリットが大きいです。接客業でお客様に四方から声をかけられる方、営業職で打合せ環境が決まってない方にも役立ちます。立ち位置を気にせず、会話に集中することができます。

困る状況と対策④呼ばれた時、どこから呼ばれたのかわからない。

突発性難聴になると、音の方向が分かりにくくなります。人間は左右の耳に届いた音の大きさの左右差などで、音の方向を無意識に判断しています。そのため片耳が急に難聴になると、音の方向感がわからなくなります。音の方向が分かるための直接の対策はほぼありません。ただし悪聴耳の難聴が軽いものなら、突発性難聴になってから年数が経過すると、だんだんと音の方向が分かるようになってくる場合があります。左右の音のバランスを無意識に学習するためです。

対策:視線を上げて音の発生源を探しましょう。
音の方向が分からないと、たとえば車のクラクション音が聞こえてもどこから聞こえたのかがわからないということになります。突発性難聴になる前は、無意識で音の方向が分かり、安全か危険かも判断できたと思います。音の方向が分からないのは、時に危険なこともありますから、視線を上げて周りを確認することは、習慣として身に着けていただくと良いと思います。

音の方向がわかる仕組みについて詳しく書いた記事があります。こちらをご覧ください。
人間が音の方向を理解する仕組みと、音の方向が分かる補聴器 | 補聴器専門店プロショップ大塚(認定補聴器技能者運営)

困る状況と対策⑤悪聴耳に音が響く、割れる、不愉快さがある。聞き取るのに集中力が必要・疲れる。

突発性難聴の一部の方は、音の聞こえ方に大きな変化が生じることがあります。
具体的には悪聴耳に入ってくるすべての音が不愉快に響いたり、割れた音に感じられたりするものです。これに似た症状として、ドアを勢いよく閉めるような少し大きい音をとても大きく不愉快に感じる場合もあります。

対策:悪聴耳に耳栓を使うと有効な場合があります。
ただし耳栓を使いすぎると、症状(音に対する不愉快さ)がさらに悪化する場合があります。必ず専門の医師と相談しながら耳栓を使う頻度を決めましょう。

そっくりな症状でも原因が異なる、補充現象と聴覚過敏
  • 突発性難聴の方が訴えることの多い症状で「音が響く、割れて聞こえる」というものがあります。これは聴覚補充現象(リクルートメント現象)か、聴覚過敏が原因であることが多いです。
  • 聴覚補充現象は、耳の中にある雑音を自動で小さくする働きを持った細胞(外有毛細胞)のダメージによって発生する症状と考えられています。音の大きさの感覚が異常になることで、音の変化をとても敏感に感じてしまいます。音によっては実際以上に大きく・不快に感じてしまうこともあります。お客様の言葉としては「小さな音は聞こえないけど大きい音はつらい」という訴えとして表現されることが多いです。ダメージを受ける細胞が、突発性難聴と重なっているため、突発性難聴になると同時に聴覚補充現象になる場合があります。
  • 聴覚過敏(音過敏とも)は、街中の雑踏など大抵の方が我慢できる程度の雑音であっても、強い苦痛を感じてしまう症状です。原因は諸説ありますが、有力な説をご紹介します。難聴による聴覚過敏は、耳の障害により聞こえが低下するため、それを補おうと脳が異常に興奮して、音刺激に過敏になってしまうという説です。
  • 突発性難聴になって聴覚補充現象が発生しているときに耳栓を使って対策すると、一時的にストレスが減らせる可能性があります。ただし耳栓を常に使っていると、脳の興奮が原因の聴覚過敏が発生し、総合的なストレスがさらに増えてしまう可能性があります。耳栓を使った対策をする場合は、ぜひ専門の医師にご相談下さい。
 

片耳難聴で経済的な支援が受けられる場合がある。

難聴の度合いや症状に応じて国または自治体から様々な助成や支援が受けられる場合があります。支援制度をご紹介します。
※実際に該当するかは一人ひとりの状況によります。

厚生年金の加入中の方は、障害手当金。

厚生年金に加入中の方で、片耳の平均聴力が80㏈以上(高度難聴)になった場合、障害手当金(一時金)が支給される場合があります。年金の納付状況など、いくつかの条件があります。お近くの年金事務所や年金相談センターの窓口にご相談ください。

参考:障害厚生年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構 聴覚の障害 認定基準|日本年金機構 2 認定要項(6)国民年金法施行令別表 |厚生労働省(別表第2 6項)

突発性難聴は身体障害者手帳を持たなくても、障害者総合支援法による支援を受けられる。

難聴になり身体障害者手帳を持っていると、行政の様々な支援が受けられます。
通常、中等度の難聴では身体障害者手帳をもらえません。しかし突発性難聴は、厚生労働省の定めにより、身体障害者手帳を持っていなくても必要と認められた支援が受けられます。
私たちも調査しましたが、この”必要と認められた支援”の内容を、国が決めるのか地方自治体が決めるのか、一人ずつ個別に決めるのか、よく分かりませんでした。問い合わせ窓口は、お住まいの市区町村になります。
下記リーフレットをご持参のうえ「突発性難聴なのですが、どんな支援が受けられますか?」と相談してみて下さい。
・厚生労働省/障害者総合支援法の対象となる難病が追加されます

自治体独自の制度により助成金の補助がある場合も。

自治体によっては、医療費や補聴器購入費の助成を独自のルールで行っている場合があります。詳しくはお住いの市区町村の障害福祉担当課にお問い合わせください。

例1、静岡県/特定疾患医療費助成の申請方法について

例2、千代田区ホームページ/ 補聴器購入費の助成

難聴の当事者から話を聞きたいときは、難聴の人が集まる団体へ。

難聴関連の団体は、大きく分けて先天性の重度難聴者向けの団体と、ケガや病気による難聴者向けの団体に分かれます。ケガや病気による難聴の団体をご紹介します。

・一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 「難聴者・中途失聴者のホームページ」

・片耳難聴の情報・コミュニティサイト「きこいろ」

突発性難聴の人が両耳とも難聴になった時の対策。

最初に右耳が突発性難聴になった方が、70歳になったころ左耳が加齢にともなう難聴になるケースがあります。その他に、右耳が最初に突発性難聴になり、数年経過して左耳も突発性難聴になることはあります。

両耳が難聴になった場合は片耳だけが難聴だった時と比べて、仕事や生活の不便さが増えてきます。個人の工夫や努力だけで出来る対策は多くありません。両耳が難聴になったときの効果的な対策は、できるだけ早く補聴器を使うことになります。もし両耳とも最重度の難聴になった場合は、補聴器ではなく病院で手術を受けて人工内耳という道具を使う選択肢もあります。

ここでは補聴器を活用した2つの事例を紹介させていただきます。

事例1:右耳が若いころに突発性難聴、左耳は加齢性難聴になったケース

40代で右耳が突発性難聴になった方が、70歳になったころ左耳が加齢にともなう難聴になるケースがあります。加齢による難聴は誰でも起こる可能性がありますから、これは当たり前のことです。
若いころに突発性難聴になり難聴が残った方の場合、日々の生活の中で良聴耳を酷使しています。良聴耳を使うからといって、それで良聴耳の難聴が人より早く進むことはありません。
しかし両耳が聞こえている70歳と比べて、片耳だけで聞いている70歳は、良聴耳に必要な能力がまったく異なります。極端な表現ですが、良聴耳だけで2倍の能力が欲しいのです。そのため良聴耳が加齢によって、少しでも聴力が低下すると、すぐに困る場面が出てきます。

まず加齢性難聴の耳にだけ補聴器を使ってみて、不足があれば両耳に。
聴力が残っている良聴耳が加齢によって難聴になった場合の対策はシンプルです。基本的には良聴耳に補聴器を使うだけです。突発性難聴を患った悪聴耳は、長年の間、音を聞かないことに慣れているため、補聴器を使って聞こえを補おうとしても、リハビリにかかる時間が長くなります。
リハビリの負担を考えると、まずは加齢性難聴になった良聴耳だけに補聴器を使い、それでも不足があれば両耳に補聴器を使ってみるという順番で対策するのが良いでしょう。
片耳に補聴器を使うときに目指す効果は、ちょっと前の聞こえを取り戻すこと(今より5~10歳若いころの聞こえ)になります。「残っている片耳まで難聴になってしまった」と心配される方が多いのですが、良聴耳だけに補聴器を使うことで、困りごとが解消されるケースが多いです。

事例2:両耳が中度~高度の突発性難聴になったケース

両耳が突発性難聴になったAさんの事例をご紹介します。
Aさんは両耳が同時に突発性難聴になったわけではありません。Aさんは、40歳で左耳が突発性難聴になりました。治療を受けましたが、左耳は中等度の難聴が残りました。病院では検査結果から「左耳もいくらか音は聞こえているはず」と言われましたが、よく聞こえる方の右耳をふさぐと、左耳はほとんど何も聞こえないように感じました。
右耳は何も異常なく、よく聞こえていたのでAさんは補聴器の必要性を感じませんでした。日々の仕事と生活の中で多少の不便を感じるものの、先に紹介したような”自分にできる対策”を行って生活してきました。
ところが50歳になったある日、今度は右耳も突発性難聴になりました。急いで治療を受けたものの、よく聞こえていた右耳は、左耳よりもさらに聞こえづらい高度難聴になってしまいました。

利き耳が変わる?聞こえないと思っていた左耳が、意外と聞こえるようになった。
右耳の聞こえが高度難聴になったAさんは、落胆しましたが、右耳の治療が終わってしばらくしたころ、不思議なことに左耳で少し音が聞こえることに気づきました。言葉もときどき、少しは分かります。もちろん小さな音は聞こえませんし、左耳の聞こえ方は不自然極まりないのですが、何も聞こえないわけではありません。どうも「左耳はまったく聞こえない」というのは、右耳がよく聞こえたために感じた思い込みだったようです。
Aさんは、もっと聞こえるようになることを期待して、補聴器を試してみることにしました。

音が小さい?言葉が分からない?音が不快に感じる?
40歳のころ突発性難聴になり聞こえないと思い込んでいた左耳が、意外と聞こえるといっても、言葉ははっきりしません。また音の違和感があります。小さい音は聞こえないが、大きい音はうるさく不愉快に感じます。

Aさんは、自分が感じている耳の聞こえ方を、詳しく補聴器専門店の担当者に話して相談しました。そして3つの検査を受けました。
・小さい音がどれくらい聞こえるか?(最小可聴閾値検査、いわゆる普通の聴力検査)
・大きい音に不愉快を感じやすいか?(不快閾値検査)
・ちょうどよい音量の時に、言葉がどれくらいハッキリするか?(語音弁別能検査)

Aさんは検査の結果から2つのことを説明されました。
・両耳とも大きい音に対して不快さを感じやすい状態であること。
・補聴器を使った場合に予想される効果が「左耳の言葉の聞き取りは最大70%が限界、右耳は最大50%」ということ。
この結果の説明を受け、よく聞こえる可能性が高い左耳だけに補聴器を試すことにしました。

補聴器を使っていないAさんの感覚としては「左耳で人の言葉が時々わかると言っても、普段の会話で分かるのは4割以下」です。もし70%も分かるようになるなら、今よりずっと助かるはず。貸し出し補聴器の試聴サービスを利用してみることにしました。

その後、左耳は40歳の頃から音を聞かないことに慣れていたため、補聴器に慣れるまで3か月という時間がかかりました。しかし諦めずに頑張った結果、目標だった普通の会話が70%を聞き取れるようになりました。

Aさんは左耳につづき、右耳も突発性難聴になったときは、これからの生活をどうしようと思い悩んでいました。しかし補聴器を着けたことで日常生活にほぼ支障ない程度まで聞こえを取り戻すことができました。
現在、Aさんは「仕事のために、もう少し聞こえるようになりたい」ということで、右耳にも補聴器を使うリハビリに挑戦中です。

両耳が最重度の突発性難聴の場合、人工内耳という選択肢がある。

重い難聴の方は、耳元で大きな声を出されたときだけ、少し音が聞こえます。しかし、それでも言葉の内容がほとんどが分かりません。重度難聴は音が聞こえないだけでなく、言葉を聞き分ける能力が低下してしまっていることがあります。この場合、補聴器を使っても十分な効果が期待しづらくなります。
補聴器で補いきれない重度の難聴の方には、人工内耳という選択肢があります。人工内耳は専門の病院で耳の手術を受けて、専門家とともに根気強くリハビリテーションを続けていくことで、聞こえが少しずつ改善していきます。突発性難聴になって両耳が重度難聴になっても、現代では医学の進歩のおかげで聞こえる生活を取り戻せる可能性があります。

人工内耳をつけた様子

人工内耳をつけた様子

両耳難聴なら片耳難聴より、さらに手厚い経済的な支援が受けられる場合がある。

難聴の度合いや症状に応じて国または自治体から様々な助成や支援が受けられる場合があります。支援制度をご紹介します。
※実際に該当するかは一人ひとりの状況によります。

難聴の度合いで障害者手帳が発行される。

障害者手帳の交付を受けることで、補聴器購入の際に助成が受けられます。また、税金や公共料金の控除・減免も受けることが出来ます。お住いの市区町村の障害福祉担当課にお問い合わせください。

難聴の身体障害者手帳については、こちらをご覧ください。
難聴者が身体障害者手帳をもつメリットは? | 補聴器専門店プロショップ大塚(認定補聴器技能者運営)

身体障害者手帳とは別に、障害年金が受けられる可能性がある。

誤解している方が多いのですが、身体障害者手帳を持っていることと、障害年金を請求できることは別ものです。
個人事業主などの国民年金に加入している人は、障害基礎年金が請求先です。会社に務めており厚生年金に加入している人は、障害厚生年金が請求先です。

国民年金に加入中の方で、以下の方は障害基礎年金1級、2級に該当します。

~聴覚の障害、認定基準より抜粋~
1 級: 両耳の聴力レベルが 100 デシベル以上のもの
2 級: 両耳の聴力レベルが 90 デシベル以上のもの 、もしくは身体の機能の障害が前各号と同程度以上と認められ る状態であって、日常生活が著しい制限を受けるか、 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの

厚生年金に加入中の方で、以下の方は障害厚生年金3級に該当します。

~聴覚の障害、認定基準より抜粋~
(5) 「両耳の聴力が、40 センチメートル以上では通常の話声を解することができない程 度に減じたもの」とは、次のいずれかに該当するものをいう。
ア 両耳の平均純音聴力レベル値が 70 デシベル以上のもの
イ 両耳の平均純音聴力レベル値が 50 デシベル以上で、かつ、最良語音明瞭度が 50% 以下のもの

上記の他に保険料の納付状況など、いくつかの条件があります。国民年金の方も厚生年金の方も、詳しくはお近くの年金事務所や年金相談センターの窓口にご相談ください。

参考:障害基礎年金の受給要件・支給開始時期・計算方法|日本年金機構 聴覚の障害 認定基準・認定要領

同様の悩みを抱える両耳難聴の方が集まる主な団体

難聴関連の団体は、大きく分けて先天性の重度難聴者向けの団体と、ケガや病気による難聴者向けの団体に分かれます。
全日本ろうあ連盟
・一般社団法人全日本難聴者・中途失聴者団体連合会 「難聴者・中途失聴者のホームページ!聞こえのためのホームページ」

最後に

突発性難聴は病名こそ珍しくありませんが、まだ正確な原因が解明されていないので、発症された方は大きな不安を感じておられると思います。
特に片耳だけが難聴の方々は、病院での治療が終わると多くの場合、定期的な聴力のチェックを促されるだけです。今後、どう生活していけばよいのか困惑されたのではないでしょうか。日本では「片耳が聞こえていれば聞き取りには困らない」という考え方が医療者の間でも強く、本記事で紹介したような生活上のアドバイス、聞こえのリハビリ、片耳難聴向けの補聴機器はあまり普及していません。
現在では、難聴に対して様々な対策があります。生活習慣を見直して予防する努力もありますし、両耳が難聴になってしまったとしても人工内耳などの対策があります。
この記事が不便と不安を感じる方々にとって、安心して社会に参加するきっかけになれば幸いです。


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私が書きました

森谷大地 写真

森谷 大地

コミュニケーションにお困りの方に寄り添える仕事を目指し、2012年に言語聴覚士免許取得。8年間の病院勤務にて聴覚障害の領域などを担当。難聴の方の聞こえを改善するため、補聴器を専門にして働きたいと考え、2020年プロショップ大塚に入社。耳鼻咽喉科での勤務経験を活かし、さまざまな情報や知識を分かりやすくお届けすることを心がけています。

保有資格:言語聴覚士

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