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補聴器から変な音がしても、音源が分かると安心する話

補聴器から変な音がしても、音源が分かると安心する話

補聴器を初めて使う方が驚くのは、エアコンの音、扇風機の音、家電全般、キッチンの料理と洗濯物などの身近な生活音が聞こえるようになることです。

最初は「補聴器から変な音がする…」と不安になるかもしれませんが、「それはエアコンの音ですよ」と音源を具体的にお伝えすると、多くの方が「こんな小さな音も聞こえるんだ!」と驚きつつも安心できます。音の正体が分かることで、ノイズも次第に気にならなくなります。

今回は、補聴器ユーザーから伺った「こんな音が聞こえるようになった!」という実際の体験談をご紹介します。

原因不明の音源はどうするの?

基本的に補聴器で久しぶりに音が聞こえても、不快でなければ(耳のいい人が聞こえている音なら)聞こえることは良いことです。
でも、まれに「なんの音か分からないけど、音が聞こえて気になる!」という訴えをいただくことがあります。音源が見つけられないと気になってしまうんですよね。

今まで一番難しかった音源探し

今までで一番難しかったのは「いつもじゃないけど、定期的にゴーって音が聞こえる。かなり大きいけど1~2分で止まる。洗濯機や食器洗い乾燥機は動かしてない。いつも時間が決まってる」というもの。

お話をうかがっても音源が分からず、補聴器にも異常なく、ご自宅までうかがって10分ほどしたら分かりました。

新幹線の音

音源は新幹線の走行音でした。

在来線も並走しているんですが、そっちは補聴器のノイズキャンセリングのおかげでまったく気付かず、でも新幹線の音は線路が近いこともあって聞こえていたんですね。

窓を開けて、次の新幹線をお客様と一緒に見て「この音だったのか!たしかにいつも聞いてた音だ」となって納得。

補聴器を付けた直後のご感想

新幹線の音というのは、とてもめずらしいケースですが、補聴器を店内ではじめて着けた方からいただく「音源の質問」もあります。

補聴器店の検査室は無音でとても静かなのですが、そこから出てくると「なんか音がする」となるんです。

検査室の外は音が出るエアコンを使っていますし、換気扇も回っています。

エアコンの音

「たぶんエアコンの音じゃないですか。ちょっと音のする方に近づいてみて下さい」
「微かに聞こえるくらいで、気にならないなら大丈夫ですよ」
「不快な感じや気になることはありますか?」
とお伝えすると、多くの方はもう気にならなくなります。
(※補聴器を適切に調整出来ている場合です)

季節の音がするケース

補聴器を使い始めて慣れてきても、最初の一年間は意外な音源に気付くことがあります。

春は気候が良くなってきて外出も増えるのですが、同時に風が強い季節です。補聴器を使って1年目は「ゴーって音がするから何かと思ったら風の音だった」というお客様。

せみ

夏だと「最近、近所の公園の前を通ると、セミの鳴き声がすごくて(笑)」「暑いしうるさいし、もういい!って思うけど、でも忘れてたけどこれが夏なんだよねー」というご感想をいただくことも。

紅葉狩り

秋になると落ちたばかりの枯れ葉が公園や路上に溜まります。
「落ち葉を踏んだらバリバリって音が聞こえたの。ちょっと驚いたけど、秋が来た感じがしたよ」

やかん、ストーブ

冬になりストーブを使っていると、ヤカンをのせて加湿したり、そのお湯でお茶を淹れることも。
「ストーブにヤカンを乗せてお湯が沸いたら”ピーっ”って音で驚いて。びっくりしたけど空焚きしたり、ヤカンを乗せたの忘れるよりは安全でいいわ」と言っていただきました。

“選択的不注意”を上手く働かせよう

今回の記事は、補聴器が正常で調整も適切に行われていることが前提にあるのですが、補聴器を使って初めのころは、聞き慣れない音が気になることがあります。

これにはヒトの「選択的不注意」という能力が関わっているようです。

選択的注意と選択的不注意

今日の晩御飯に「ハンバーグ」を作って食べよう!と心に決めてスーパーに行くと、たまねぎやひき肉などが目に付きます。

一方で、生鮮食品でもお魚売り場は目に入りません。お肉売場の中にウインナーやハム、レバーなどがあっても目に止まりません。

値引きのシールが入っていれば別ですが、他の商品と同じ様な値段の色だと気に止まりません。

選択的注意とは、自分自身が興味関心がある物に注目し、注意を払う機能です。

この逆で、選択的不注意とは視界に入っても、記憶に留まらない、注意を払わない機能です。

スーパーの事例でいくと、お魚、ハム、レバーなど、自分は買わないと思っているもの(ハンバーグと関係ないもの)は、視界には入っても注意を払いません。おのずと記憶にも残りません。

音に関する選択的不注意

難聴になって対策せずに長い年数が経過すると、音に対して選択的注意・選択的不注意を使い分ける働きが弱くなっている可能性があります。

この状態で補聴器を使い始めると、小さな音が若いころと同じように聞こえるようになっても、若いころ以上に色々な音が気になってしまうのです。

しかし生活の中にある音は耳の良いころには当たり前に聞こえていた音です。
何かの音が聞こえた時に音源が分かると、選択的注意・選択的不注意がより働くようになり、それが不要な音なら気になりにくくなります。

※本記事の内容は、すべて補聴器の音量音質が適切に調整され、耳に合っており、雑音抑制などの機能も適切に動作することが前提です。

補聴器を付けたら家でも音源を探してみましょう

生活音

ご家庭の中によくある生活音の音源

今回の記事は何かの音が聞こえた時、音源が分かると人間は気にならなくなるという話でした。もし不思議な雑音が気になったら音源を探してみると、スッキリした気持ちで補聴器を使えますよ。


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この記事は
私が書きました

大塚祥仁 写真

大塚 祥仁
【認定補聴器技能者】

2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様の耳に合った補聴器をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器と難聴について、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。

保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者

★ Twitter はじめました。耳の話を真面目に書いてます! : @mimi_otsuka

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