シグニア補聴器から新製品「IXシリーズ」登場。にぎやかな場所でしっかり聞こえる?
2023年11月、補聴器メーカーsignia(シグニア)から、新製品「IXシリーズ」が発売。追加モデルとして2024年5月にオーダーメイド耳あな型補聴器のInsio IX、11月に耳かけ型補聴器Styletto IXが登場しました。IXシリーズは、世界初のロックオン機能を搭載し、複数の相手の言葉を追いかけ、会話をすみずみまで正確に再現します。
騒がしい場所でも会話に集中:2つのロックオン機能
①言葉のすみずみまで余さず取り込む「ワードロックオン機能」
従来から、補聴器には難聴者の聴覚に合わせて音質を調整する機能がありました。
具体的には、聞き取れない小さな音はたくさん増幅し、元々聞こえる音や大きすぎて不快に感じる音に対しては音量を増幅しない機能です。これは「聴覚に合わせて音を圧縮する」と言われています。
この圧縮機能は必要不可欠なのですが、人の言葉を聞いたときに「分かるけど、不自然さを感じる」という避けられないデメリットがあります。
IXシリーズのワードロックオン機能では、このデメリットの解消を目指しています。
人の言葉が聞こえてきた瞬間のみ、一時的に圧縮を弱めることで、言葉の一文字一文字のツブの不自然さが、従来の補聴器よりも解消されているのです。
この機能には、他の効果も期待されています。補聴器を使いこなせるようになるまでの期間の短縮です。
補聴器を初めて装用した人は、聞こえ方が変化します。そのため、補聴器の音に慣れるには数週間程度の時間が必要と言われてきました。
ワードロックオン機能が上手く作用すれば、言葉の音声信号が圧縮でつぶされずに済みます。これは「元々記憶している音と近い」と感じる可能性があります。
聞き取りを妨げる音を減らし、声を追いかけ会話を補足する「スピーチロックオン機能」
多人数で会話するとき、従来の補聴器は広い守備範囲(フォーカスする角度)で複数人の音声を拾っていました。
守備範囲が広いため、自分にとって興味のない距離が遠い人の声や守備範囲内で発生した雑音も入ってしまうのです。
広い守備範囲では、多人数の会話が聞き取れるものの、必要のない余計な音を拾ってしまいます。逆に守備範囲を狭めると、雑音は減らせるものの、全員の声が拾いきれないという問題がありました。
新発売のPure IXではスピーチロックオン機能を搭載することで、全員の声を追跡し守備範囲としつつ、余計な音を拾わないことができるようになりました。
前後左右に関係なく、音声の方向にいる話している人を検出し、守備範囲とします。1人だけでなく複数人の声に反応して1人1人をフォーカスし、しかも発言者が移動しても守備範囲の角度は発言者の動きを追跡します。
そして音声が無い方向の音は強力に抑えるため、余計な音を拾いません。
ワードロックオン機能とスピーチロックオン機能の効果を調べるため、この2つの機能の有無で、騒音のある場所での聞こえ方を比較する試験が行われました。機能をONにすると、OFFのときと比べて聞き取りが25%*²向上することが確認されています。
*1 Signia IX 7クラスの場合。
*2 2023年WSオーディオロジーグループ調べ
IXシリーズのデザイン
IXシリーズには耳かけ型2種類、耳あな型3種類、計5種類のデザインがあります。
形状によって、特徴や、できることが変わってきます。
耳かけ型のPure, Styletto
IXシリーズの耳かけ型には2種類のデザインがあります。本体についたボタンで音量調整が可能な小型耳かけ型「Pure(ピュア)」、ツートーンカラーでエレガントな「Styletto(スタイレット)」の2種類です。
IXシリーズの耳かけ型補聴器はどちらもスマートフォンとBluetoothで接続できます。スマートフォンから補聴器のボリュームを上げ下げできるので、便利です。
スマートフォンの機種によってはスマートフォンにかかってきた電話の声を直接補聴器から聞くこともできます。ご自分の耳の聴力に合わせた音量・音質で相手の声が聞こえてくるので、電話での会話もスムーズになります。
PureとStylettoの違いはデザインの他はボタンの有無だけです。値段も同じです。

PureIX。全10色からお好きなカラーをお選びいただけます。

Styletto IX。全4色
オーダーメイド耳あな型補聴器「Insio IX IIC/CIC」
IXシリーズのオーダーメイド耳あな型補聴器には2つのサイズがあります。
本体についたボタンで音質などの切り替えが可能な「Insio IX CIC」と、サイズの小ささに特化した「Insio IX IIC」です。
耳の型を採って制作するオーダーメイドなので、耳にピッタリフィットします。どちらも電池交換式です。

左:ボタンがあるCIC/右:極小のIIC

Insio IX CICを装着した様子。目立ちません。

IICはブラック、ブルー、レッドの3色展開

外から見える部分はモカとブラックの2色展開
充電式の耳あな型補聴器「Silk Charge&Go IX」
IXシリーズの充電式耳あな型補聴器です。
お耳の型を取る必要がないので、すぐにお試しでき、非常に軽い着け心地です。
Insio IX IIC/CICと違い充電式の補聴器なので、電池交換の手間がなく取り扱い簡単です。

Silk IX本体と充電器。スマートなデザインです。

Silk IXを装着した様子。オーダーメイドのものと見え方はあまり変わりません。

Silk IXのカラーは左がブルー、右がレッドのみ。

外から見える部分はブラックとモカの2色展開。
知りたい方はこちら
IXシリーズの価格と機能
IXシリーズは5つのクラスで発売中
IXシリーズは5つのクラスからお選びいただけます。
最高級モデルは7クラス、お値打ちモデルは1クラスになっており、上から7,5,3,2,1のナンバーが振られています。
クラスによって機能が少しずつ異なります。
クラス | 7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX |
---|---|---|---|---|---|
片耳価格 | 634,000円 | 444,000円 | 309,000円 | 259,000円 | 209,000円 |
両耳価格 | 1,224,000円 | 844,000円 | 574,000円 | 474,000円 | 374,000円 |
メーカー希望小売価格
クラス | 片耳価格 | 両耳価格 |
---|---|---|
7IX | 634,000円 | 1,224,000円 |
5IX | 444,000円 | 844,000円 |
3IX | 309,000円 | 574,000円 |
2IX | 259,000円 | 474,000円 |
1IX | 209,000円 | 374,000円 |
7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX | |
---|---|---|---|---|---|
ワードロックオン | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
スピーチロックオン*1 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
ダブルプロセッサー | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
モーションセンサー*2 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
OVP機能*1 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
ビーム指向性*1*2 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
ワンマイク指向性*3 | 〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
スピーチフォーカス*2 | 〇 360° |
〇 前後 |
ー | ー | ー |
音質調整のチャンネル数 | 20ch | 18ch | 16ch | 12ch | 8ch |
突発音抑制 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
風雑音抑制 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
反響音抑制 | ◎ 自動 |
〇 | ー | ー | ー |
12kHz広帯域 | 〇 | ー | ー | ー | ー |
7IX | 5IX | 3IX | 2IX | 1IX |
---|---|---|---|---|
ワードロックオン | ||||
〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
スピーチロックオン*1 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
ダブルプロセッサー | ||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
モーションセンサー*2 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
OVP機能*2 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
ビーム指向性*1*2 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | ー | ー |
スピーチフォーカス*2 | ||||
〇 360° |
〇 前後 |
ー | ー | ー |
音質調整のチャンネル数 | ||||
20ch | 18ch | 16ch | 12ch | 8ch |
突発音抑制 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | △ |
風雑音抑制 | ||||
〇 | 〇 | 〇 | 〇 | 〇 |
反響音抑制 | ||||
◎ 自動 |
〇 | ー | ー | ー |
12kHz広帯域 | ||||
〇 | ー | ー | ー | ー |
各機能の解説
・ワードロックオン
1つ1つの音が持つ音波を分析して正確に再現する。
・スピーチロックオン
複数の動く人の声を判別・追跡することでより聞きやすくする。
・ダブルプロセッサー
言葉と環境音を別々に処理、楽に聞き取れる。
・モーションセンサー
モーションセンサーがユーザーの状態(運動・静止等)を判別する。
・OVP機能
「自分の声」と「周囲の声」を判別し「自分の声」を快適にする。
・ビーム指向性
両耳装用で正面の音だけをフォーカスする。
・ワンマイク指向性
両耳装用で正面の音にフォーカスする。
・音質調整のチャンネル数
聞こえの帯域を複数に分割、より細かい調整が可能。
・突発音抑制
突発的に響くような衝撃音を抑制する。
・風雑音抑制
風雑音を抑制する。
・反響音抑制
ワンワン響く反響音をしっかり抑える。
・12kHz広帯域
12kHzまでの高音域を出力、より豊かな音色を実現する。
最長3ケ月お試しできます!
IXシリーズは、騒がしい場所で会話に集中できるような機能が充実した補聴器です。
当店では最新のIXシリーズもお試しいただけます。
【監修】
補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。
たくさんの難聴の方々に、もっとも確実によく聞こえる方法をご提供することが私たちのミッションです。
監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。
なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。
※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。