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オーティコンから新製品「インテント」登場、AI雑音抑制が大幅改善

オーティコンから新製品「インテント」登場、AI雑音抑制が大幅改善オーティコンから新製品「インテント」登場、AI雑音抑制が大幅改善

2024年6月オーティコン補聴器から「インテント(Intent)」が発売されました。新開発の「シリウス」チップが搭載されAI雑音抑制が大幅に改善、日常生活で刻々と変わる周囲の音環境に対応できるようになりました。レシーバーや本体内蔵のバッテリーが一新されたことで、付け心地は今まで以上に軽くなりました。

新チップ「シリウス」で雑音抑制が大幅に強化!

現在の補聴器は、内蔵されているコンピュータ・チップの性能が聞こえ方に大きく影響するようになりました。
内蔵のコンピュータが、補聴器のマイクに入力された音の信号を処理して、難聴の人にとって言葉が聞き取りやすい音質へと変換する役割を担っているのです。

新製品インテントには、新開発されたチップ「シリウス」が初めて搭載されました。
演算性能が大幅に強化されたことで、補聴器に内蔵される雑音抑制の機能が大幅に強化されています。

インテントの最大の特徴は進化した雑音抑制機能なのですが、これを開発するには最新のAIテクノロジーが活用されています。
オーティコンの特徴的な雑音抑制とAIの役割について解説します。

AI雑音抑制とは?インテントではどのようにAIが使われている?

近年発売された補聴器の一部には「AI」機能が搭載されています。
AIとは人間の知能を模倣し、予測やテキストの生成などのタスクを行う技術のことです。

AIも最初から賢いわけではなく、人間の子供が大人になる過程で様々な知識や技術を身に着けるのと同じように、人間がAIに教材を与えて学習させることで、物事を上手に処理できるようになっていきます。

インテントに搭載されている雑音抑制の機能は、ディープ・ニューラル・ネットワーク(通称DNN)という手法を用いて学習が行われました。

DNNはAIを学習させる技術としては最先端の一つです。人間の脳の神経であるシナプスとニューロンを模倣した多層的な回路を用いて分析し、学習する手法です。

オーティコンはAIに雑音と言葉の聞き分けをDNNで学習させ、最新の雑音抑制機能を開発したのです。

DNN学習のイメージ図

Mette Brændgaard*, Valentina Zapata-Rodríguez*, Ioana Stefancu, Raul Sanchez-Lopez, Sébastien Santurette Centre for Applied Audiology Research, Oticon A/S.2024.4D Sensor technology and Deep Neural Network 2.0 in Oticon Intent™ Technical review and evaluation.p8より引用

雑音抑制を開発したDNNテクノロジーの進化

オーティコンがDNNを活用した雑音抑制機能を搭載した製品を発売するのは、インテントが初めてではありません。旧製品(モア)にもDNN1.0を用いて開発された雑音抑制が搭載されていました。
しかしAI技術の進歩は日進月歩です。インテントに搭載されているDNN2.0ではDNN1.0の当時と比べ、AI研究を行っている研究所のコンピュータの性能、補聴器に搭載されているチップの性能などが大きく向上しています。

OticonのDNN1.0とDNN2.0の学習の比較(イメージ)

学習チャンネルの細かさを表すイメージ図

OticonのDNN1.0とDNN2.0の学習の比較(イメージ)

学習チャンネルの細かさを表すイメージ図

旧製品ではAIの学習チャンネルは24チャンネル(DNN1.0)でした。今回発売されたインテントでは、AIの学習に256チャンネル(DNN2.0)が用いられました。
チャンネルというのは、音をどれくらいきめ細かく分けているかという単位です。

学習チャンネルが24から256に上がったということは、低解像度のカメラから超高解像度のカメラにアップグレードするようなものです。低解像度のカメラでは見逃していた細部まで、超高解像度のカメラなら鮮明に捉えることができます。
学習チャンネルが10倍以上にきめ細かくなったことで、より高性能な雑音抑制技術を開発できるようになったのです。

実際の雑音抑制の結果(スペクトログラム)

実際に雑音の中での言葉の聞こえ方はどれほど進化しているのでしょう。
それを測定したものが次のグラフ(スペクトログラムといいます)になります。

ドイツ語文 “Die Strasse war sehr befahren”(道路はとても混んでいた)を、とても大きな雑音の中で聞いてもらった時に、DNN1.0とDNN2.0で雑音抑制が働いたうえで、どれくらい言葉のメリハリがハッキリ残るのかを表しています。
DNN2.0の方が色の濃淡のメリハリがハッキリしていることから、雑音抑制機能が大きく進化していることが分かります。

OticonのDNN1.0とDNN2.0の雑音抑制機能の比較(実際)

画像左はDNN1.0の雑音抑制の結果、画像右はDNN2.0の雑音抑制の結果。音源やノイズは両者同じ。引用元:Mette Brændgaard*, Valentina Zapata-Rodríguez*, Ioana Stefancu, Raul Sanchez-Lopez, Sébastien Santurette Centre for Applied Audiology Research, Oticon A/S.2024.4D Sensor technology and Deep Neural Network 2.0 in Oticon Intent™ Technical review and evaluation.p13

OticonのDNN1.0とDNN2.0の雑音抑制機能の比較(実際)

画像上はDNN1.0の雑音抑制の結果、画像下はDNN2.0の雑音抑制の結果。音源やノイズは両者同じ。引用元:Mette Brændgaard*, Valentina Zapata-Rodríguez*, Ioana Stefancu, Raul Sanchez-Lopez, Sébastien Santurette Centre for Applied Audiology Research, Oticon A/S.2024.4D Sensor technology and Deep Neural Network 2.0 in Oticon Intent™ Technical review and evaluation.p13

スペクトログラムとは?
  • 上で紹介したグラフは、スペクトログラムといいます。横軸は時間経過、縦軸は周波数、色の濃淡は音圧を表しています。色が黒いほど静かで、色が明るいほど大きな音が発生していることを表しています。

4DセンサーがAI雑音抑制をさらに賢く働かせます

インテントの上位機種に4Dセンサー(じぶんセンサー)が搭載されています。
4Dセンサーは、4つの要素を観察・分析することで、補聴器を使っている人の意図を汲み取り、その情報を補聴器に内蔵されたコンピュータに渡すことで、雑音抑制機能がより効果的に働いてくれます。

4つの要素は次の通りです。
1)周囲360度の音環境
2)自分の発話、周りの会話の活発さ
3)自分の頭の動き
4)自分の体の動き

これまでの補聴器も内蔵の指向性マイクロフォンによって(1)周囲360度の音環境、(2)自分や周りでの会話の活発さについては把握できていました。

インテントでは新たに本体内に加速度センサーを搭載することで、補聴器を使っているユーザーの意図を汲み取るようになりました。

私たちは何がしたいかによって頭や体の動きが変わります。たとえば、目の前の会話相手の話に集中するとき、体はほとんど動かずにじっと正面を向きますし、歩いていて何かを探しているときは、大きく体や頭の向きが変わります。
加速度センサーで(3)自分の頭の動き、(4)自分の体の動きを測定できれば、そこから逆算して補聴器ユーザーが何を求めているかのヒントが得られるのです。

4Dセンサーは、その時に計測した4つの要素すべての情報を組み合わせて、補聴器ユーザーが求めている音や情報が何なのかを推測して、雑音抑制をその時の状況に合わせて最適化してくれるのです。

4Dセンサーの効果は、雑音下における話題の理解

インテントを開発したオーティコンの技術資料の一部から、4Dセンサーの効果を検証したレポートの内容を(できるだけ簡単に)ご紹介します。

ひとつめのレポートは、日本の宴会などでも現実にありそうな、言葉の聞き取りがとても困難な環境を再現したものです。

この実験では、被検者はインテントを両耳に着けた状態で15人に囲まれます。常にスピーカーから騒音が流されている中で、15人のうち最大4人が同時にバラバラの話題で話します。

被検者は、話題を指定されるので、その話題についてしゃべっている人を見つけます。その次は数十秒間の間(引き続き、他の音声や雑音でうるさい中で)その話題を聞き続けて、最後に、その話題についてイエス/ノーの質問に答えてもらいます。

この実験、耳のいい人だったとしても、非常に難しいことを要求されています。

実験では30人の被検者に参加してもらい、4Dセンサーありのグループと4Dセンサーなしのグループで、それぞれ平均値を比較しました。その結果が下のグラフです。

オーティコン インテントの4Dセンサーの効果

Federica Bianchi*, Kasper Eskelund*, Valentina Zapata-Rodríguez*,Raul Sanchez Lopez, and Pernille Aaby Gade Centre for Applied Audiology Research, Oticon A/S.Oticon Intent™ – Clinical evidence BrainHearing™ benefits of the 4D Sensor technology を参考に当社作成

このすごくシビアな環境の中で15%もの違いが出るというのは、とても大きな効果です。
4Dセンサーが働いていると、自分が聞きたい話題の人がどこにいるかを早く発見して、言葉を正確に聞くことを助けてくれるようです。

4Dセンサー未搭載だとどうなの?

インテントは最高級のインテント1からお値打ち価格のインテント4まで4つのグレードが同時に発売されました。実は4Dセンサーが搭載されているのはインテント1とインテント2だけです。
4Dセンサーが搭載されていないグレードだと、どうなるのでしょうか?これについても実験結果があります。

頭部型のマネキンを使い耳の奥の鼓膜部分にマイクを設置、鼓膜に届く音質がどれくらい言葉を聞き取りやすいかを試験した結果です。音声と雑音は同じ音圧に設定されているので、人間ならとても言葉が聞き取りづらい環境です。

インテントのひとつ前のモデルであるRealとインテント4DセンサーOFF、インテント4DセンサーONの3つを比べたところ、4DセンサーOFFでも旧製品のRealより12%の相対的な増加を示しました。

オーティコン製品の雑音下での音声明瞭度指数

Mette Brændgaard*, Valentina Zapata-Rodríguez*, Ioana Stefancu, Raul Sanchez-Lopez, Sébastien Santurette Centre for Applied Audiology Research, Oticon A/S.2024.4D Sensor technology and Deep Neural Network 2.0 in Oticon Intent™ Technical review and evaluation.p11-12.を参考に当社作成

4Dセンサーが無くても、雑音がある場所での聞こえが改善するなら、やはり新たにDNN2.0で開発された最新の雑音抑制の進歩が大きいと考えてよいでしょう。

雑音抑制については、インテント1からインテント4まで性能の違いはありますが、すべてに搭載されています。試聴したうえで、聞こえ具合とご予算のバランスの良いモデルを選んでいただくのが確実な選び方になると思います。

音声明瞭度指数(Speech Intelligibility Index)とは?
  • SIIは音声明瞭度を予測する指標です。音声信号の明瞭度、背景雑音の有無、聞き手の聴力などの要素に重み付けをして算出されるもので、音声信号の聞き取りやすさを考慮して音声がどの程度理解できるかを推定します。SIIの値が高いほど、音声を理解する手がかりが増え、聞き取りやすくなることが見込まれます。

補聴器本体とレシーバーのデザインが一新

レシーバが3.0にバージョンアップ!音質改善!

補聴器はマイクに入力された音の高さ(周波数)と音の大きさに応じて、出力する音の大きさを変えています。
音の情報を周波数ごとに細かく認識、分析することでさまざまな環境に対応できたり、より自然な音の聞こえ方に近づいて感じることがあります。
インテントは特に低音域が拡張され、80Hzから10000Hzに対応できるようになりました。

サイズとバッテリーの持ちについて

インテントは本体のサイズが小さくなりました。
2mm程本体の長さが短くなりました。

点線で描かれているのが旧製品のサイズ。より小さくなり、軽い着け心地になりました。

補聴器に内蔵されているバッテリーのサイズが312電池のサイズから13電池のサイズに変わりました。
これにより、多くの機能を動作させたまま従来と大きくは変わらない稼働時間を実現することが出来ます。

充電器について

インテントと付属の充電器

従来の非接触充電から接触充電に変わり、充電時間が2時間に短縮されました。
疲れて補聴器をつけたまま寝てしまった日でも、朝起きてから充電すればおでかけの準備中にフル充電が可能です。

インテントは4つのグレードが同時発売、グレードでどうちがう?

機能について

インテントは1~4の4つのグレードが同時に発売されました。
グレードによって雑音抑制の性能、一部機能の有無が変わります。

インテントの主な機能一覧

 Intent1Intent2Intent3Intent4
言葉の聞き取りモアサウンド・インテリジェンス
3.0
Level 1Level 2Level 3Level 4
4Dセンサー
*加速度センサ-
環境分類5分類5分類3分類
バーチャル外耳3段階2段階1段階1段階
空間バランサー100%60%60%40%
ニューラルノイズ抑制
難しい環境/シンプルな環境
12dB / 6dB10dB / 4dB8dB / 2dB6dB / 0dB
サウンドエンハンサー3段階2段階1段階1段階
風切り音/擦れ音スタビライザー
モアサウンド・アンプリファイア
3.0
突発音スタビライザー6段階5段階4段階2段階
モアサウンド・オプティマイザー
音空間認知機能4つの帯域4つの帯域4つの帯域
音質クリアダイナミクス
信号処理チャネル64ch48ch48ch48ch
フィッティング周波数帯域10kHz8kHz8kHz8kHz
低域ブースト(ストリーミング時)
コネクティビティ
ストリーミング(2.4GHz 低消費電力 Bluetooth®︎)

機能解説

モアサウンド・インテリジェンス3.0
以下の7つの機能が相互に働き、周囲360°の音をクリアで自然なバランスで維持しその情景を届ける。

・4Dセンサー(加速度センサー)
装用者の聞きたいこと(意図)をくみ取り、そのニーズに基づいて適切な聞き取りのサポートを提供する。

・環境分類
装用者によって異なる、聞こえ難い環境とそうでない環境を選ぶことで補聴器のサポート量を調整。

・バーチャル外耳
耳の形状を加味して周囲の音のバランスを取る。

・空間バランサー
側面から後方のノイズを選択的に押さえることで言葉の聞き取りをサポート。

・ニューラルノイズ抑制(難しい環境/シンプルな環境)
1200万の音を学習した人工知能(DNN)によって、音質を高く保ち、環境に即応しノイズを抑える。

・サウンドエンハンサー
ノイズのある聞き取りの難しい環境でも、会話音を強調して聞き取りを助ける。

・風切り音/擦れ音スタビライザー
風の音や補聴器を触った時に擦れる音を瞬時に抑え、快適な聞こえを維持する。

モアサウンド・アンプリファイア3.0
音の情景の変化に即応し、高解像度(メリハリのある)な音を届け様々な環境で聞きやすくする。

・突発音スタビライザー
会話の理解を損なわずに突発的に起こる不快な音を快適に調整。

モアサウンド・オプティマイザー
ハウリングを予防し、最適な音量で聞こえをサポートし、軽度から高重度まで装用感を向上。

音空間認知機能
もっとも興味をひかれる音を見つけ出す能力を高める。

クリアダイナミクス
騒がしい環境でも、ゆがみのない高音質を実現。

信号処理チャネル
チャネルが多いほど、信号の忠実度と処理を向上。

フィッティング周波数帯域
数値が大きいほど高音域の音をより自然に再現でき、言葉の了解度や音質の向上が図れる。

低域ブースト(ストリーミング時)
ストリーミング中に失われがちな低域の音を再現し、豊かでゆがみのない音質をうみだす。

コネクティビティ
最新のBluetooth規格LE Audioに対応。高品質・低遅延なストリーミングを低電力で実現。iPhoneとの直接ストリーミングに加えて、Androidデバイス(ただしASHA対応器種)からの直接ストリーミングが可能に。

インテントを3カ月試聴してみましょう

インテントの良いところばかり多数紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
インテントは懇親会など大人数の集まりによくご出席される方、夫婦で散歩して車の走行音がうるさい場所でも横からの声を聞き取りたい方などには特におすすめです。

補聴器をご検討中でアクティブにお出かけする機会があるなら、一度は試聴してみる価値があるモデルです。

新製品のため、まだ数台ですが無料試聴用のデモ器を各店に用意しております。
インテントの音質・聞こえ方が気になった方はぜひご試聴ください。


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補聴器専門店プロショップ大塚を運営する株式会社大塚の代表取締役。認定補聴器技能者、医療機器販売管理者。

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監修においては、学術論文もしくは補聴器メーカーのホワイトペーパーなどを元にしたエビデンスのある情報発信を心がけています。

なお古いページについては執筆当時の聴覚医学や補聴工学を参考に記載しております。科学の進歩によって、現在は当てはまらない情報になっている可能性があります。

※耳の病気・ケガ・治療、言語獲得期の小児難聴や人工内耳については、まず医療機関へご相談下さい。

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