難聴の高齢者が補聴器をいやがる/つけない理由は負担感!


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難聴の高齢者が補聴器をいやがる/つけない理由は負担感!

補聴器は難聴の方の聞こえを補助する便利な道具です。しかし一部の高齢者は、想像の負担感で補聴器をいやがる場合があります。高齢者本人が「補聴器を使ってみようかな」と思うのは、想像する負担感より、大きなメリットを期待したときです。高齢者の想像の負担感と、実際に補聴器を使うときの現実の負担を解説します。

高齢者が補聴器を負担と思う主な理由

補聴器未経験の高齢者からお話をうかがうと、ご自分から積極的に補聴器をつけようとする方とつけたがらない方に分かれます。
補聴器をいやがる方は、どんな負担感を想像しているのでしょうか?その想像は勘違いでしょうか?それとも実際に補聴器を使うには、大きな負担があるのでしょうか?

うわさ話から想像する補聴器の値段

補聴器の値段についてお友達同士でうわさ話をしている様子。

高齢者は、お友達から聞いた噂話を強く信頼する傾向があります。

高齢者の皆さんの間では、補聴器についてさまざまな噂話が流れているようです。

「〇〇さんが補聴器始めたって。10万円で十分よく聞こえたって言ってた!」


「XXさんが買った補聴器、80万円もしたんだって!!」


「え、本当に!?そんな高いの買ったの!!」

こういった、何が本当か分からない情報が、高齢者の耳に数多く届いています。どんな噂話を聞いているかは、友人関係によって実に様々です。耳に届いた噂話によっては、過剰に高額なイメージを持っている方もいます。

補聴器の値段には実際に大きな幅があります。広告やインターネットを見てみると、片耳数千円から両耳100万円以上のものまであります。

そして日本市場での実際の補聴器の平均購入金額は23万円です。
この23万円という数字は、一人当たりの平均金額です。(一般社団法人 日本補聴器工業会 Japan Track2018調査報告より当社推計) 

この平均23万円という金額を高いと思うか、安いと思うかは人それぞれです。
「難聴の問題を何とかして解決したい。若いころと同じように会話が楽しめるようになりたい」という思いが強ければ、23万円は安く感じるかも知れません。
この逆に難聴の問題を軽く考えていたり、新聞に載っている「格安補聴器3,000円」という広告ばかり見ていると、とても高く感じるかも知れません。

※補聴器一台あたりの平均価格は15万円。人間には耳が左右にあります。補聴器は必ず両耳に使うわけではなく、片耳だけに使う人もいます。補聴器をつけている人のうち、45%の方は片耳、55%の方は両耳に補聴器を使っています。

指先の動きの衰えから、小さな補聴器の取り扱いに負担感

補聴器の電池を取り出す様子。

補聴器は小さな機械です。電池の交換などの取り扱いは負担に感じる場合も。

高齢者にとって、補聴器のような小さな機械を自分で取り扱うということは、負担になる場合があります。
高齢者の手

若い方、手先が器用な方には想像しにくいことなので、高齢者の手先の器用さが加齢によってどのように低下していくか、少しご紹介します。

まずは日常生活の中でよくある服の着替えを例に見てみましょう。

肩や首が自由に動かせる方なら、どんなデザインの服でも好みで選ぶことが出来ます。
さまざまな形の洋服

でもお年とともに肩が動かしにくくなり、腕が上がらなくなると、Tシャツなどの上からかぶって頭を通す洋服は、着ることが難しくなります。
Tシャツの上に✖の画像

もちろんワンピースなどの背中側にフックがある服は着れません。

ワンピースを着る女性

腕を高く上げないとフックがとめられません

このため腕を上げることが難しくなった高齢者は、前ボタンの服だけを選ぶことになります。

シャツを着る様子

前ボタンのシャツなら、腕を上げなくても着られます。

次に、指先の器用さも少しずつ失われていきます。80歳代の平均的な指先の感覚は、50歳以下の人が、手袋を二重にはめた状態とほぼ同じと言われています。

軍手をはめた手

指先が若い頃に比べて動かしづらくなります

この状態になると、今度は洋服のボタンを付けたり外したりが難しくなります。
Yシャツのボタンをとめる様子

男性ならワイシャツを着ることが難しくなり、ボタンの服を選ぶときにも、ボタンが大きな服しか選べなくなります。

小さなボタンと大きなボタン

小さなボタンより大きなボタンを選びます

大きなボタンでも自分で留めることが難しくなれば、次はファスナーの服を選ぶことになります。
ボタンよりファスナーを選ぶ

このように高齢者は、毎日の服の着替えだけでも、指先の動きの難しさを感じている場合があります。
日々、指先の鈍さを自覚している高齢者が、小さな補聴器を取り扱うことについて、大きな負担を想像することはよく分かります。

実際の補聴器は、すべて取り扱いが細かく、高齢者にとって難しいのでしょうか?

小ささを優先した目立ちにくい補聴器については、細かい取り扱いが必要です。

しかし最近の補聴器には、取り扱いの簡単さに特化した商品も出てきています。例えばリウマチで指先にマヒがある高齢者でも、自分で補聴器を取り扱っている例が実際にあります。

取り扱いの簡単さを重視して選んだ補聴器をご紹介しています。下記の記事もご覧ください。
取り扱いが簡単なオススメ補聴器

補聴器に限らず「初めての経験」がすべて面倒くさい

補聴器を使うには、どうしてもご本人が販売店へ出向く必要があります。
難聴によって、どんな困りごとを感じているか、自分で話さなければいけません。
また聴力検査を受ける必要もあります。
検査の後には、補聴器を体験する時間があります。
体験の結果、最終的に補聴器を購入するなら決断が必要です。

このように補聴器でよく聞こえるようになるまでには、いくつかの手順があります。
これらの手順は、補聴器が未経験の高齢者にとって、まったく初めてのことです。
人は高齢になると、新しい経験をおっくうに感じ、行動したがらなくなる傾向があります。これは補聴器に限らないことですが「はじめての経験」は、めんどくさくなりがちです。

このめんどくささが、補聴器をいやがる理由になっている場合があります。

コミュニケーションの場が少なく、難聴に気づいていない

「周りの人は私が聞こえていないと言うけれど、ちゃんと聞こえている。」
補聴器をいやがっている高齢者の方から、よく聞く言葉です。

お年とともに少しずつ進行するのが難聴です。そのため高齢者は、本当に自分の難聴に気付いておらず、自覚していない場合があります。

一人で食事をする高齢女性

老化が原因の難聴が始まるのは、早い方だと60歳代です。この年齢は、仕事を辞めるなどコミュニケーションの場が減る時期とも重なります。ご本人は自分で聞こえの低下に気づきにくいのです。難聴の自覚が無ければ、補聴器にメリットを感じず、負担だけを感じてしまうのは自然なことです。

難聴の自覚がないのは、コミュニケーションの場が少ないことが主な原因になっています。

自覚がない難聴とはまた別に、難聴の自覚はありながらも、自分が難聴であることを否定し、受け容れようとしない高齢者もいます。次の項目で詳しく解説します。

「難聴は劣っている事」と先入観にとらわれ、自分の難聴を無視する

難聴の状態に対して「劣っている」というイメージを持っている高齢者は、現実にいます。

こういった「難聴者は劣っているというイメージ」を持っている高齢者は、自分が難聴になると、どう考えるでしょうか?

まず自分が難聴者になり、自分が劣っているというイメージを持ち始めます。次に、自分が他人からどう思われているか過剰なまでに心配するようになります。自分が他人から劣っていると思われ、バカにされないか?と恐れ、不安になってしまうのです。

難聴を隠したい、不安な高齢女性

こういった心理状態になると、自分が難聴であると自覚していてもそれを認めようとしません。人に気付かれないように、難聴を隠そうとします。
こういった人は、たとえば人と会って話をするときに、自分ばかりがたくさん発言し、相手に話す隙を与えません。これは「相手に話させると、自分の耳が遠いことが見つかってしまう」と恐れているためです。

難聴を隠したい気持ちが強いと、補聴器の利用はもちろん耳鼻科の受診など、いわゆる難聴の対策をすべて拒否したりします。

難聴に対するネガティブな思い込みが強い高齢者は「難聴になった自分」を認め、受け容れることに大きな負担を感じる場合があります。ネガティブな思い込みが強いほど、この負担感は大きくなる傾向にあります。

難聴に対する長年のネガティブな思い込みを変えるには、高齢者本人の勇気と家族の理解、両方が必要になります。

「補聴器まだ早いんじゃないの?」と家族や友人の否定的なコメント

家族に補聴器はまだ早いと言われている様子

「補聴器まだ早いんじゃないの」と家族に言われると躊躇してしまいます

高齢者はお友達から聞いた噂話を強く信じることがあります。
親しく信頼している友人には自分の難聴について相談し、補聴器の利用を検討していることを話し、友人の意見を求めることもあるでしょう。
このとき「補聴器まだ早いんじゃないの?私とこうしてお話しできてるじゃない。」と言われ、補聴器を試そうとした思いを否定される場合があります。

こういった補聴器に対する否定的なコメントを聞くと、補聴器を躊躇させる要因になります。

また具体的な相談の他にも、世間話として「私も補聴器を買ったけれど、役に立たなかったわ」と友人の失敗談も、補聴器を試そうという行動をためらわせます。

なお信頼している友人の言葉は、強い影響力を持っているので、肯定的な話を聞くと、補聴器を使う気になる要因にもなります。
お友達と笑顔の高齢女性

いくつか肯定的なコメントを紹介します。

「補聴器をつけてみて、本当によく聞こえるようになった。もっと早く使えばいいと思った。あなたも早く使った方がいいわよ」

「毎日補聴器を着けていたら慣れてきて、いつも使うようになったの。今もよ。テレビは字幕なしで見れるようになったし、孫と話せるようになったのよ!もっと早くつければよかった。」

「この前、補聴器屋さんに行って、耳に着けて試してみたの。そうしたら、すごくよく聞こえたの。次の年金、来月だし、買おうかなと思ってる」

こういった補聴器を使っている友人からの肯定的なコメントは、補聴器をつける想像の負担感を減らし、聞こえがよくなる期待感を大きくしてくれるようです。

まとめ

高齢者が補聴器を使うことに負担を感じる理由をまとめると、以下の5つです。

・小さな補聴器の『細かい取り扱い』への負担感

・補聴器という『初めての体験』へのめんどくささ

・難聴で『困っている自覚が無い』ため、補聴器のデメリットだけを意識すること。

・難聴になった自分を他人より劣っていると感じ『難聴を隠したい気持ち』が強くなっていること。

・家族や友人から「補聴器はまだ早い」と言われ『他人の意見を覆すこと』への負担感。

ここに紹介した負担感は、ご本人の想像によって膨らんでいる部分があります。

難聴の高齢者にとって、補聴器は「便利そうだけれど未知な道具」です。

ここに紹介した「高齢者が補聴器をいやがる負担感」について思い当たる場合は、私たちのような難聴と補聴器の専門家にご相談ください。

もしご家族に難聴の方がいるようでしたら、ご本人が感じる負担感について、少しだけ考えていただき、ご本人を励ますような声掛けをお願いします。

本記事が、難聴のご本人とご家族や友人のお役に立てば幸いです。


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私が書きました

この記事は大塚祥仁が書きました

大塚 祥仁
【認定補聴器技能者】

2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様によく聞こえる生活をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器、難聴、耳鳴りなどについて、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。

保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者

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