【Q&A】学校の教員を目指していますが、補聴器を使うか悩んでいます
- 私は20代前半、女性、軽度難聴です。補聴器を着けるかどうか悩んでいます。
- 日常会話はさほど問題なく、聞き返すことはありますが普通にコミュニケーションは取れるので困っていません。
- しかし何が問題かというと、私は教員を目指しているため、この聴力は間違いなく障害になると思います。授業で発表させても聞こえる自信は無いし、危機管理ができる自信もありません。
- そこで授業の時だけでも補聴器を着けようと思い、補聴器専門店に行きました。すると、着けるなら仕事中だけでなく仕事以外でも着けていなければいけないと言われました。状況に合わせて着けたり外したりは耳によくないと。
- 職業のことを考えると補聴器は必要ですが、普段は必要性を感じないのに50万円近くを3年おきに払うのも高すぎる気がします。補聴器専門店の方に相談しても購入をすすめられるばかりで、親に相談しても「普通に聞こえているでしょ」としか言われず。ネットにも情報があまりなく悩んでいます。
- 聴力検査の結果も掲載させていただきます。よろしくお願いいたします。
回答
一般に補聴器を勧められるギリギリの聴力ですね。30人の教室だと、後ろの生徒はおよそ距離5mはあるでしょうから、教えていただいた聴力では耳の良い人と同じように生徒さんの発言を聞き取ること困難だと思います。
質問者さんが補聴器を検討するなら、①コスト、②補聴器を使う時間、③周りの人へ難聴を教えるか、④職場での危機管理。この4つについて考えてみるのが良いと思います。
質問者様の質問に沿って、一つずつ見ていきましょう。
①コストについて
教室のみ想定するなら、おそらく騒音下では無いこと、全方向の音を聞き取る必要があること、加齢性の難聴ではなく若いこと、これら踏まえると、あまり高度な機能が必要ない可能性があります。また片耳でも必要十分かも知れません。そうするとコストは20万円以下で済ませられる可能性があります。なお補聴器の平均買い替え期間は4~5年です。経済的な負担感としていかがでしょうか?
②補聴器を使う時間
朝から晩まで使うことを常用と言います。常用必須とするか否かは専門家の間でも意見が分かれます。リハビリとして常用しなければいけない派、そこまで厳密でなくてもいい派、慣れるために使う時間を少しずつ増やすべき派、難聴進行リスクがゼロでないから補聴器を大きい音を聞く時間を減らすべき派と色々です。個人的には、質問者さんの条件なら、必ずしも常用でなくても良いかなと思いました。
③周りの人へ難聴を教えるか
質問者さんの難聴を同僚・学生に打ち明けるかどうかです。打ち明けずに補聴器を着けたり外したりしていると、同じ環境・同じ条件でも相手の声が聞こえたり聞こえなかったりします。そうすると補聴器を外しているとき、他人からは「無視された」と見られることがあるかも知れません。もし補聴器を着けたり外したりするなら、周りへの説明は必要になるのではないかな?と思いました。
④職場での危機管理
学校で緊急事態が起きた際、生徒を守るための適切な判断・行動が必要ということでしたら、勤務時間中は常に補聴器が必要になるかと思いました。音の方向まで分かった方が良いようであれば、両耳に補聴器が必要です。これは人間は左右の耳に届く音量の差分などで方向を認識するため、補聴器が片耳だと分かりにくくなるためです。
総合的なおすすめ
返品キャンセルが出来るよう、オーダーメイドの耳あな型補聴器をまずは片耳のみに買ってみることをおすすめします。多くの場合、購入から90日以内は返品ができます。お店には「お試しの気持ちであり、半分以上は返品するつもりであること」を伝え、返品を快く認めてくれるお店を選ぶと良いでしょう。
その補聴器を使い、大学の小教室などでも構わないので聞こえを試していただくと良いと思います。
学校で補聴器を使うなら、おすすめのメーカーは、フォナックかワイデックスです。
フォナックは、難聴の子供が学校の教室で言葉を聞き取れることに力を入れて開発してきた歴史があります。教室の中で距離が離れた人(先生と生徒)が会話するという意味では、どちらも同じです。
ワイデックスの補聴器も、フォナックと同じく、小さい音つまり離れた人の言葉の聞き取りに優れています。
補聴器メーカー「フォナック」の特徴はこちら
補聴器メーカー「ワイデックス(WIDEX)」の特徴はこちら
※本記事はプロショップ大塚代表のTwitter質問箱へいただいた匿名質問にお答えしたものです。当時の情報のため、現在とは状況が異なる場合があります。