難聴による認知症を予防する方法、補聴器にできること


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補聴器を使って難聴対策すると、認知症にならない!?

2017年12月に放送されたNHKのテレビ番組「ガッテン!」で『認知症を防ぐカギ!あなたの「聴力」総チェック』と題して難聴と認知症との関連性が紹介されました。
番組の冒頭で「認知症の35%は生活習慣次第で予防が可能!さらに喫煙、肥満、高血圧など考えられる原因の中で、一番認知症につながりやすい原因が(難聴と)報告された」とありました。それぞれの影響の大きさと、補聴器による予防効果について、説明します。

認知症の予防って何?

これまでも認知症の原因として、厚生労働省は「加齢」「遺伝性のもの」「高血圧」「糖尿病」「喫煙」「頭部外傷」「難聴」の7つが危ないと紹介し、国民に注意を促してきました。このうち「高血圧」「糖尿病」「喫煙」「頭部外傷」「難聴」の5つは、予防が可能な要素でした。
参考:高齢者の4人に1人は認知症予備軍|プロショップ大塚
参考:厚生労働省 新オレンジプラン

今回、NHKで紹介された論文では、認知症の原因になる要素のうち、どの要素がどれくらい大きな影響を持つのかが説明されています。番組では簡単に紹介されていましたが、内容を詳しく見ていきましょう。

NHKで紹介された論文は、英国の医学雑誌「Lancet」に掲載されたものです。
参考、認知症の予防、介入、およびケア(リンク先は英論文です)

この論文は、認知症の発症リスクを高める様々な危険因子のうち、本人が意識すれば改善可能な9つの危険因子を、認知症の予防・介入・ケアに関する国際委員会がまとめ、発表したものです。
改善可能な危険因子は「幼少期の教育」「高血圧」「肥満」「聴力低下」「喫煙」「抑うつ」「運動不足」「社会的孤立」「糖尿病」の9つです。
現時点では、認知症を完治させる治療法がありません。認知症を発症するリスクは年齢が上昇するにつれて高まります。しかし最近の研究では、ライフスタイルを改善すれば、認知症になるリスクは減らせることが、分かってきました。

改善可能な危険因子を詳しく見ていきましょう。

中年期に聴力低下がある人は認知症リスクが2倍

論文の中では、人生のどの時期に何を予防する必要があるのかに基づいて、小児期、中年期、高年期に分けて、危険因子が分類されています。それをまとめたのが下記の表になります。「相対リスク」というのは、認知症になる可能性を何倍に上げてしまうかを表しています。「人口寄与割合」は、その危険因子を持つ人がいなくなったら、認知症患者が何%減少するかを表しています。年代別に、認知症へ影響がある要素と、影響の大きさは表のとおりです。聴力低下は、認知症になる可能性が1.9倍と、影響の大きな危険因子になっています。

表 改善が可能な認知症の9つの危険因子

危険因子 相対リスク(※1) 人口寄与割合(※2)
小児期
11~12歳までに教育が終了 1.6倍 8%
中年期 (45歳以上65歳以下)
高血圧 1.6倍 2%
肥満 1.6倍 1%
聴力低下 1.9倍 9%
高年期 (65歳超)
喫煙 1.6倍 5%
抑うつ 1.9倍 4%
運動不足 1.4倍 3%
社会的孤立 1.6倍 2%
糖尿病 1.5倍 1%

※1 その危険因子を持つ人が、危険因子を持たない人に比べてどのくらい認知症になりやすいかを示す。

※2 その危険因子を持つ人がいなくなったら、認知症患者が何%減少するかを表す。

(出典:Livingston G,et al.Lancet. 2017 Jul 19)

ここに上げられた9つの要素について、思い当たることがあれば、ぜひ対策してください。認知症への影響が大きく、特に対策すべき要素として、論文では「中年期の聴力低下を全て治療すること」「高齢者全員が禁煙すること」とされていました。

聴力低下って治療できるの?

さて論文の解説はここまでにして、ここからは私たち補聴器専門家からのアドバイスです。
論文中に「聴力低下つまり難聴を治療する」という言葉が登場します。難聴には色々な原因があり、中耳炎などが原因の難聴は治療で完全に治る方もいます。
しかし加齢性の難聴は、耳の鼓膜より奥にある「有毛細胞」という毛のような細胞が、血行不足などの理由でダメージを追っています。一度、ダメージを負った有毛細胞は、現在の医学では治療できないと考えられています。

論文で書かれている「聴力低下を全て治療すること」という言葉の意味はなんでしょうか。実はここでいう治療には補聴器による対策が含まれます。補聴器という言葉は英語で「Hearing Aids」といいます。「Aid」は治療とか手当てという意味です。つまり欧米で「Hearing Aids」というと、機械そのものだけを意味するのではなく、聴力低下した人の聞こえる生活を手当てするという意味を含んでいます。
つまり論文中の「聴力低下を全て治療すること」という言葉には、補聴器を使った対策も当たり前のこととして含まれているのです。

補聴器を使って難聴対策すると、認知症にならないのか?

補聴器による難聴対策は、認知症の予防にどれほど効果があるのでしょうか?
これについては認知症の専門家の間でも、評価が定まっていません。耳のいい人と、同程度に認知症を予防できる(つまり認知症の発症を半分にできる!)という研究者もいます。また効果は限定的という研究者もいますし、補聴器による認知症の予防効果はないと言い切ってしまう人もいます。
評価が定まらない原因は、長期的な調査が必要であること、糖尿病などの難聴以外の影響を分けて研究することが難しいこと、そして補聴器の使用頻度が人によって異なること(毎日朝から晩まで使う人と、必要な時だけ使う人がいます)、これらの不確実な要素が含まれるためです。
ある論文では、補聴器による認知症の予防効果が、もっとも高まるのは、毎日10時間以上補聴器を耳につけているグループだったとする研究もあります。
(補聴器による認知症の予防効果については専門家の間でも議論が分かれています。十分に信頼できる論文や研究が見つかったら、改めてご紹介します)

予防効果については議論が分かれていますが、認知症が発症した後に完治させる治療法が無いことは間違いありません。認知症は、発症を予防したり、進行を遅くすることが、今できる有効な対策になっています。心配な方は、禁煙と補聴器を早めに検討することをおすすめします。

補聴器は買う前に“体験だけ”がおすすめ

認知症を心配される方、ちょっと耳が遠くなったかもと思っている方は、なるべく早めに補聴器を使うことをおすすめします。今すぐ買わなくても、補聴器がどんなものか知っておくために、まず体験だけしておくと良いでしょう。

私たち補聴器専門店プロショップ大塚では、補聴器の三か月無料貸出サービスを常に行っています。お客様に体験していただき、補聴器がどんなものか、ご本人がしっかり分かってから、補聴器を使うか使わないかを含めて、ご自分で選んでもらうためのサービスです。
認知症の予防と、補聴器が気になった方は、まず体験だけしてみましょう。

なお補聴器の無料貸出サービスでは、最初に聴力検査(無料)も行います。この時、検査結果の説明も合わせて行っています。ご自分の聴力が気になる方も、合わせてご相談いただければと思います。
聴力検査について、詳しく知りたい方は、下記の記事をご覧ください。
参考:もう難聴?聴力検査の結果を自分で読んでみよう


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私が書きました

この記事は大塚祥仁が書きました

大塚 祥仁
【認定補聴器技能者】

2006年から補聴器の仕事を始めました。もっとも確実に、よく聞こえる方法をご提供することが、私のミッションです。皆様によく聞こえる生活をお届けするため、毎日毎日、聴覚医学の論文を読み、デンマークやドイツの研究機関と連絡を取り、時には欧州へ勉強に行き、海外から研究者を招き勉強会を開催し、国内の社会人大学院へ通い修士号まで取ってしまいました。本Webページでは、補聴器、難聴、耳鳴りなどについて、確かな情報や最新の情報をお届けしていきます。ご相談の方は、お気軽にご連絡ください。

保有資格:認定補聴器技能者、医療機器販売管理者

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